明けましておめでとうございます。
本年も当ブログよろしくお願いいたします。
今年の新年の夜空は木星と火星が加わり、一段と素晴らしい夜空となっています。
7個の1等星より明るい星に、2個の惑星が加わったのが一目に入ってきます。
雲の切れ間から見えた時には息をのむほど美しかったです。
明けましておめでとうございます。
本年も当ブログよろしくお願いいたします。
今年の新年の夜空は木星と火星が加わり、一段と素晴らしい夜空となっています。
7個の1等星より明るい星に、2個の惑星が加わったのが一目に入ってきます。
雲の切れ間から見えた時には息をのむほど美しかったです。
先月14日、夕空に肉眼でも長い尾が見られた紫金山・アトラス彗星ですが、その後は
天気に恵まれず、1週間後見れた時は双眼鏡でしか確認できず大変残念でした。
しかし、カメラで写すとまだ立派な尾が確認できました。
その軌道は閉じることなく、一度だけその姿をみせてくれたのでした。
今後宇宙のどこへ行ってしまうのでしょう?
2024年5月の第2報(ちなみに第1報は2023年8月)に続き、
第3報は素晴らし姿を現した紫金山-ATLAS彗星です。
肉眼でもまっすぐ伸びる尾が確認できました。このような大彗星をみるのは。私は27年前の「ヘール・ボッブ彗星」以来で感激しました。現在の位置は
地球軌道を南から北に抜けたところです。
宇宙とはどのような世界なのか?
コペルニクスからガリレオの時代まで過去2000年の間、宇宙は球体が何重にも重なり、その表面に各惑星がひとつづつ貼りついて回っていてその外側に恒星の貼りついた球体があると考えられてきた。何重にも重なった地球儀のように。地動説を唱えたコペルニクスですらそう信じて疑わなかった。
しかし1609年(江戸幕府が開幕のころ)ヨハネス・ケプラーが出版した「新天文学」により、全く新しい宇宙が示された。その中に「諸惑星は太陽の回りを楕円軌道をえがいており、その楕円の一方の焦点に太陽がある。」
すなわち、「宇宙には地球に似た塊が浮かんでおり、それに作用する力で運動している。」
という新しい自然観をもちこんだ。
数学を使って初めて宇宙の現象を解明したことは、自然法則を普遍化した意味で大きな偉業だった。近代天文学のスタートであった。
上の写真の河出書房新社刊の「ヨハネス・ケプラー」には、この発見までのケプラーの苦悩が描かれていて興味ふかい。絶版のため「国立国会図書館」のWeb上で読める。
1601年、ケプラーはプラハの宮廷天文学者チコ・ブラーエに雇われた。
それはチコと助手のロンゴ・モンタヌスが火星の軌道の研究にお手上げ(観測と計算が
合わないため)で、そのピンチヒッターとしてであった。それから12年ケプラーは
火星の軌道の研究に没等し、ついに1609年あの「新天文学」を出版した。
工作舎刊 「新天文学」 ラテン語原本からの初翻訳で大変貴重な本。
それでは「火星の楕円軌道発見」までを順に見ていこう。
・太陽は火星軌道の中心からずれた位置にある。
・地球と火星の軌道面はほぼ同一面である。
・地球と火星は太陽からの距離に何らかの関係があり、早く動いたり、遅く動いたりする。以上のことから、のちに惑星の運動を支配する重力と慣性に気ずいた。またニュートン力学の発展にも関係した。
先ずケプラーが取り掛かったのは、チコが残した観測データ4か所を使い(背景の星と火星の位置のデータ)火星の近日点と遠日点(衝という)と太陽を結ぶ直線及び火星のおおざっぱな軌道円を求めることだった。
仮に火星軌道の半径を「1」と仮定し、幾何学的(三角関数?)な計算を気の遠くなるような試行錯誤の計算は900枚に及びその結果ケプラーは火星の軌道半径とS,C.E3個の位置を導き出した。
しかし、衝の位置以外の2点を計算するとチコのデータと8分ずれていた。
これはいままで考えられていた「円軌道」ではなく何か別の幾何学的曲線と思はれた。
3)火星の会合周期と公転周期の決定
(6)火星軌道の形の検討
今回のブログの挿絵で出てきた火星の軌道の絵は、話を視覚的にわかりやすく
するためで、実際は絵でみて楕円とわかるほどの楕円ではなかった。
他の「火星の楕円軌道の発見」に関する書物や記事には、作図で楕円とわかった
ような記述があるが、間違いである。
火星の軌道半径を「1」としたとき、真円との最大のズレは計算上わづか「0.00429mm」であった。
ケプラーは軌道の種々の点における20個の火星―太陽間の距離を計算した。
それによると、やはり軌道はある種の長円であって、したがってその円と火星軌道との間に狭い弓形が残ることになる。そのもっとも厚いところでその幅は半径の 0.00429倍になった。
この時点で。ケプラーは上の図のMの角度に興味を持った。太陽と火星軌道の中心との間にできる火星から眺めた角度のことである。この角度は「光学差」と呼ばれた。それは火星が軌道に沿って運動するにつれ変化する。その最大値は5度18分である。ここで彼の著書「新天文学」に書かれているケプラー自身の言葉ではこうである。
「・・・・・ちょうどこの厚さ0.00429の弓形型がなぜ、またどのようにして存在するようになったのかと疑問に思っていた。この思いが私を駆り立てているとき、また、繰り返し繰り返・・・・・見たところ、私が火星に勝利したと思えたのもむなしいことだったと考えているとき、私は全く偶然にあの最大光学差である。5度18分なる角度のセカンドを調べてみたのであった。このセカンドが1.004292と等しいことを知った時。私は眠りからさめるような気がした。・・・・・」
角度M=5°18‘
正割(セカント) Sec5.3°=1/cos 5.3°=1.00429
ついに計算値の最大値0.00429と一致し火星の秘密を知った。
ケプラーはこの時知る由もなかったが、彼の考えは解析幾何学の楕円を表す
式だった。
R=1+e cosβ(楕円を表す式でeは離心率)
最後に「新天文学」に何か所も出てくるケプラーが格別に重視した重要な図
を紹介します。この図を常に眺めて考えていたことでしょう。
参考文献
以上ありがとうございました。一部図版を使わせていただきました。
最後に
私なりに火星の楕円軌道の発見のいきさつを理解したくまとめてみました。
0.00429を見出した具体的な三角関数の計算は、どの文献にもみあたりませんでした。
知って見える方は教えてください。またこのブログのご意見をお聞かせください。
昨年2023年8月の当ブログ第一報に続き、今年の秋に久々に大彗星になるのでは?と期待の紫金山-ATLAS彗星(C/2023A3別名 Tsuchinshan-ATLAS別名ツチンシャン-アトラス?)を先日撮影しました。
※後で紹介する新しい反射望遠鏡で撮影しました。
回りの星の明るさから見ると9等から10等の明るさで、ダストの尾が20分ほどの長さでみえています。まだ火星軌道の外側ですが、すでに長い尾がみえます。
現在南の空の中ほどの「おとめ座」を西進中で6月末ごろまでみえています。
大彗星になる期待が大きくなります。秋が楽しみです。
新望遠鏡の製作
今回のブログの写真もこれで写しました。
※ここ3か月ほどブログの更新が滞りましたが、上の写真の望遠鏡を
作っていました。筒の先端にCMOSカメラが取りつきます。
写真撮影専用のため、目では覗けませんが形状がシンプルで光軸合わせも簡単で軽量のため使いやすいタイプ.です。
F3と明るいため高速移動の小惑星や彗星の尾が写しやすいかと思います。
宇宙とはどのような世界なのか?と考え続けたコペルニクスが「地動説」を
唱えた著書「天体回転論」を出版されたのは彼の死後であった。
それから約150年で宇宙の認識が大きく変わりました。
二人はほとんど同じ時代を生き、「天動説」がまだ主流の時代に「地動説」を推し進めた勇敢な人達でした。互いに手紙を通し交流し研究の意見を交換しあっていました。
ガリレオは独自の宇宙モデルは作りませんでしたが、下記の様な研究を行い、
「地動説」の証拠を示しその発展に貢献しました。
・ガリレオ式望遠鏡の発明
それまでは倍率2~3倍の地上をみる望遠鏡しかありませんでしたが、ガリレオは独自で天体観測が出来る20倍のガリレオ式望遠鏡を作り「地動説」を裏付けるいくつかの天体現象を観測しました。
・金星の満ち欠けの観測
上の図の右上の四角の中はガリレオがスケッチした金星の満ち欠けです。
左側のプトレマイオス体系(天動説)ではこの様な満ち欠けはみられません。
このほかにも「地動説」を裏付ける観測は
・月面の凹凸(山や平原)の発見。
・木星の4つの衛星の公転の発見。
・太陽表面の黒点の自転による移動の発見。
などがあり、理論家のケプラーと違い観測で「地動説」を支持しました。
ガリレオの物理学の貢献=地上の物体の運動
・落体について(ピサの斜塔での実験の逸話で有名)
・放物体の運動
など、詳しくは書きませんが物理学の重要な研究が多く、宇宙と地上が同じ原理であるとすでに思っていたとすればガリレオの宇宙観があったと思えます。
しかし、この時点でもまだ惑星は真円の軌道で回っていると考えられていました。
これを覆したのが次にお話する予定のケプラーです。
参考文献
2)「ガリレオ伝」L・フェルミ、G・ベルナルディ著 ブルーバックス
4)物理学の野望「万物の理論」を探し求めて 冨島佑充 光文社新書