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Matzにっき


2005年08月03日 OSCON 3日目 [長年日記]

_ [OSS] OSCON Wednesday

月曜と火曜はチュートリアルであったので、 実質的には今日からいわゆるOSCONと言っても良いと思う。 朝からキーノートが開かれていたのだが、スロースターターの私は参加できなかった。 OSCONレポーターにもなろうとおもってたのにこんなことじゃダメじゃん。

しかし、私の代わりに聞いてくれている人はちゃんといるわけで、 MYCOM PCのレポートを 参考にされたい。japan.linux.comにも記事がある。

Tim O'Reillyのキーノートでは「Ruby」とか「Rails」とかいう単語も聞こえたらしい。 やっぱぐずぐずしてないで会場に行けば良かった。

_ [OSS] Perl 6 Update

基本的にDamian Conwayがプレゼンテーションをして、Larry Wallが手助けをするというセッション。 Perl6の仕様の具体化が進んでいないわけではない(婉曲な表現)ということを意味する内容であった。 また、知らない機能やら演算子やらが増えていて、驚嘆するわけだが。

驚くべきはさらに新しい演算子が導入されて、Perl6の演算子優先順位のレベルは22であること。 さらにそれはPerl5よりも2少ないこと。うーむ。でも、今調べたらRubyでも23レベルあるなひとつは使われていないけど。

新しく聞いた演算子

範囲演算子
末尾を含まない「..^」(Rubyの「...」)、先頭を含まない「^..」、 先頭と末尾を含まない「^..^」。Damianはこれを「Neko operator」と呼んでいた。 2ちゃんかっつーの。
単項イコール
ファイルハンドルから一行取り出す演算子。 Perl5だとスカラコンテキストでファイルファンドルを評価することに等しい。 明示的な演算子を必要とするようになったのね。良いことだと思う。 Rubyだとgetsメソッドだな。 デフォルトファイルハンドル(ARGV)から1行読み込むのは「=<>」であり、 「fish operator」と呼ばれていた。

こんな調子で本当にPerl6は実現できるのか、たとえ実現できても使いこなせる人はいるのか。 なかなか難しい謎だ。

_ [OSS] Apocalypse Now! - Perl 6 Is Here Today

Brian IngersonがPerl6の実装(Pugs)について解説したもの。 Perl6はエンジン部であるParrotは多少進んだものの、フロントエンドはいつになることやら、 という感じだったのだが、Autrijus TangがHaskellでコンパイラを書いたことによって 一気に現実化した。Pugsがどこまで動くかというような話。

Autrijus自身は政治的な事情から「アメリカには来れない(来たくない)」とのことだったので、 Brianが代わりに発表ということに。途中で紹介されたビデオは爆笑ものだった。Ruby界にもこういう才能が欲しいと思ったら、 実はすでにいたことが後に明らかになるのであった。

その後、昼食。今日はRich Kilmer、Nicolas Cannasse, Glenn VanderburgとOCCのカフェテリアでピザとスープ。

午後は聞きたいセッションがたくさんあったのだが、時差ボケと寝不足で体調がすっかり悪くなってしまったので、ホテルに戻って寝ることにする。とても残念だ。

_ [OSS] 聞き逃したセッションたち

結局、聞きたかったのに聞けなかったセッションは以下の通り。 見ればわかるがめちゃめちゃ重複しているので全部聞くのは最初から無理だったんだけど。

  • PHP Security Briefing

    1:45pm - 2:30pm; PHPのセキュリティモデルについて聞いてみようかなと思って。 ま、ネットで調べられるけどね。

  • Perl 5.8 and Unicode

    2:35pm - 3:20pm; 弾さんのプレゼンは聞いておきたかった。 技術的な内容はともかくとして(失礼)、今回聞き逃していちばん残念だったセッション。

  • State of PHP

    4:30pm - 5:15pm; PHPの創始者、BrianRasmus*1 Lerdorfの話。 Rasmusは今Yahooに勤めているそうだ。

  • Extracting Rails from Basecamp

    5:20pm - 6:05pm; the best hacker of the yearの話を聞いておきたい、とか。 実際にはこれとほぼ同じ話を後で聞くことになる。

  • State of the Python Union

    5:20pm - 6:05pm; Guido van Rossum。 このあたりでやや体力が回復して会場に復帰。 おしまいの辺りちょっとだけ聞いた。私が会場に着いたときは、最近のPEPについて解説していた。 例外PEP(PEP344)とかの話をしていた。Rubyの例外にちょっと似てるなあ。

  • Design and Implementation of the Perl 6 Compiler

    5:20pm - 6:05pm; Pugsの話じゃないみたい。

*1  PHP作者の名前間違ってました。なんでBrianだと思ったんだろう。Rasmusというのは北欧系の名前、らしい

_ [OSS] FOSCON

OCC (Oregon Convention Center)で開かれているのは O'Reilly Open Source Convention。こちらはFree/Open Source Conference。

OSCONは結構な参加費を取る。700ドルだったか。スピーカーじゃなきゃとても参加できない。 そこでポートランド近辺に住んでいるがOSCONに参加するほど(経済的・時間的な)余裕がないギークたちが集まって開かれたのがこのFOSCONである。今回はRubyをテーマに結構な人数が集まった。 なんか寄付箱が置いてあるが、それ以外は無料らしい。

発表者は

  • David Heinemeiser Hansson
  • Rich Kilmer
  • Glenn Vanderburg
  • _why the lucky stiff

だった(他にもいたっけ?)。それぞれOSCONでの発表をそのまま(だと思う)。 なかなか興味深い。

一番面白かったのはやっぱり_why。Chanky BaconやLeast Surprisedのアニメもぶっとんでいたが、 エレキギターを持ち出して熱唱しはじめたときには会場爆笑。

♪ インスタンス変数は〜アットマークで始まる〜 ♪ クラス変数は〜アットマークがふたつ〜

とか、

♪ install.rbとsetup.rb〜 ♪ install.rbはみっつのステップでインストール完了〜 ♪ setup.rbはなにをやってるかわからない〜 ♪ 使ってないから〜

とか。アニメについてはここから BitTorrentでダウンロードできる(らしい、Torrent使ってないから)。

FOCONの写真はflickrで見ることができる。


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