この記事は𝓞𝓾𝓬𝓱𝓲 𝓞𝓽𝓸𝓰𝓪𝓶𝓮 𝓐𝓭𝓿𝓮𝓷𝓽 𝓒𝓪𝓵𝓮𝓷𝓭𝓪𝓻 2024 12/12 分の記事です。
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みなさんこんにちは、B4UT 4thのMasterEveです。
現在Ouchi Otogameサーバーでは家庭用機種の交流戦「おうちフェス」が開催されています。先週末からはじまり、来週、再来週にもたくさんの試合を控えています。
私自身もプレイヤー&運営として関わらせていただいています。出場するのはArcaea, プロセカ, Cytus2, ユメステの4部門で、運営を担当しているのはArcaeaとCytus2の2部門です。
さて、今回の記事は交流戦の運営視点から、交流戦の一要素についてあれこれ書きます。その要素とは、3曲の課題曲から当日どのように1曲に絞るかです。
交流戦に関する話題としてはまあ地味というかニッチな話題だとは思います。もっとこう、自選をどう選ぶかとか、こういう勝ち方をしましたとか、そういう内容が多いですし。
けど、交流戦に慣れてる人ならこの要素もかなり大事なことがわかると思います。選手視点では、これがどの形式になっているかによって課題曲との向き合い方が変わってきますし、運営視点では当日やるべきことが変わるので進行に影響します。ちゃんと考えると方式によって一長一短があるのが見えてくるのです。
そんなわけでこの記事では、いくつかある課題曲決定方式について並べて比べてみようと思います。
補足①
今回主に言及する交流戦は、自分が関わってきたもののうちおうちフェスと、それと同様の形態をもつB4UT部内戦&都*1です。
それ以外であっても、下記のルールに沿ったものであればすべて対象になるはずです。
補足②
この記事のテーマは「予め決められた3つの課題曲から試合本番でどのように課題曲が決定されるか」であって「そもそも3つの課題曲として何を設定するか」ではありません。まあこちらについても書けることはあるけどそれはまた別の機会に。というか他の人々の考え方も知りたいので運営経験者は全員ブログ書いてください。
(アドカレ登録の際に「交流戦の課題曲について」という雑な仮題を入れてしまったのでミスリードになってしまった気がします。すみません。)
12/26追記:B4UTアドカレのほうでミカグラさんが書いてくれてました。助かる~~~~~~~~~~
3qua9la-notebook.hatenablog.com
前提とする対戦ルール
この記事では、おうちフェス等で多く用いられているルールを対象とします。
具体的には、以下の要素を満たすルールが対象です。
①実力の近いプレイヤー同士による1 vs 1の対戦である
②両者の自選曲と、運営指定の課題曲の計3曲で勝敗を決する
③課題曲として事前に3曲提示されており、そのうちの1曲を実際に試合で用いる
今回テーマにしているのは③について。「そのうちの1曲」をどのように絞るかという話です。
なおそのほかのルールについてはここでは気にしないことにします。例えば勝敗決定には勝ち星制や合計スコア制などがありますが、今回はどちらでも構わないことにします。
課題曲決定方式
以下ではそれぞれの方式を並べていきます。
今回のおうちフェスや、過去のB4UT部内戦と都の記録にザッと目を通したところ、大きくわけて4種類の方式が確認できました。
ちなみに結論だけ先に言うと、この方式が絶対いい、というようなものはありません。そのため各方式にはルールとともに(私の考える)メリット・デメリットを併記しました。
なおルール名のほとんどは私が適当に決めています。
1. ランダム選曲
ルール
3曲からルーレットで当たった1曲をプレイ
メリット
・ルールが単純
・操作が少なく、時短につながる
デメリット
・プレイヤーの介入の余地がなく、完全に運ゲー
最もオーソドックスで歴史のある課題曲決定方式であるといえるでしょう。私が入部1年目の頃(2021年度)は交流戦のほとんどの部門でこの方式が採用されていましたし、最近でも多くの部門で採用されています。
しかし、この方式には課題曲決定にプレイヤーが介入できないというデメリットがあります。この点を解消すべく、翌年(2022年度)あたりから使われるようになったのが「BAN」という概念です。
BANとは、プレイヤーが課題曲のうちやりたくない譜面を提示して取り下げを要求することです(ルールによって取り下げ要求が必ず通る場合とそうでない場合があります)。これにより課題曲の最終決定に対してプレイヤーが介入することができます。以下の方式にはすべてこのBANが関係しています。
2. 順次BAN
ルール
・各プレイヤーが、3曲のうちBANしたい楽曲を順番に発表し、残った1曲をプレイ
メリット
・BANした楽曲は確実にプレイしないで済むため、2曲分の対策で済む
デメリット
・2番目に発表するプレイヤーのほうが有利になる(BANの第一候補が同じだった場合2番目のプレイヤーのみ第二候補をBANできるため)
BANを用いた方式の中では最も単純な方式です。3曲のうち1曲はプレイしなくて済むという点が、ランダム選曲との大きな違いです。
この方式において重要な点はBANを発表する順番です。というのもこの順番が有利不利に直結するからです。
この順番は、事前に決まっている場合とその場でルーレットorじゃんけんで決める場合があります。
事前に決める場合2番目に発表するプレイヤーが確実に有利になるため、ハンデの一つとして用いることができます。逆に言えば、ハンデの要らない対等なマッチではあまり望ましくないと言えるでしょう。
ここで懺悔すると、都17th(2023春)にて私が初めて運営に参加した際、私の担当した機種(Arcaea,プロセカ)ではこの点を深く考慮しないまま1P/2Pを決めてしまったため、プレイヤーにとって理不尽な有利不利が発生してしまいました。今更ですが、当時の出場者の皆さまにはご迷惑をおかけしてすみませんでした。
一方BAN発表順をその場で決める場合は、有利側に立てるかどうかがランダムで決まるという意味ではいくらか公平であるといえます。
また実際にこの方法を採用した2023年のB4UT部内戦プロセカ部門では、不利側になってしまったプレイヤーに自選曲プレイ順の決定権を与えることで、有利不利の差がある程度埋まるように対応しました。
3. 心理戦
ルール
・両プレイヤーが、3曲のうちBANしたい楽曲を同時に発表する
・BANされた曲が異なる場合、残った1曲をプレイ
・BANされた曲が同じ場合、その曲をプレイ
メリット
・プレイヤー間の有利不利がない
・操作が少なく、時短につながる
デメリット
・BANはするものの、3曲すべてを対策する必要がある
・対戦相手の情報が少ない場合、プレイヤー視点では実質的にランダムになる
前述のものと異なり、BANを同時に発表する方法です。それにより両プレイヤーに有利不利は発生しません。
「心理戦」は私が名付けたのではなく公式に使われている呼び名です。こう呼ばれる理由は、「BAN被りの場合その曲をプレイする」というルールにより相手の選択を予測することが大変重要になるためです。「あえて2番目にBANしたい曲を書いておく」や「プレイしたい曲を書いて被りを狙う」などさまざまな戦略があります。対戦者同士が互いについてよく知っている場合、最も盛り上がるルールかもしれません。
一方で、上記の通りデメリットもあります。
特に2点目についてより詳しく解説します。例えばプレイヤーAとプレイヤーBの対決で、AさんがBさんについて何も知らないと仮定します。このとき、Aさんから見てBさんが何をBANするかわからないので、各曲が1/3の確率でBANされることになります。
こうなってしまうと、Aさんが何をBANしても結局選ばれる確率はどの曲も1/3になってしまい、AさんとしてはBAN楽曲を考える意味が薄くなってしまうのです。
心理戦方式は、一見プレイヤーの選択が最も反映される方式に思えますが、このような状況も起こりうるということも認識しておいた方がよいでしょう。
このあたりからも課題曲決定方式には一筋縄ではいかない奥深さがあることがわかっていただけるかと思います。
4. 同時BAN
ルール
・両プレイヤーが、3曲のうちBANしたい楽曲を同時に発表する
・BANされた曲が異なる場合、残った1曲をプレイ
・BANされた曲が同じ場合、残った2曲からランダムに選ばれた1曲をプレイ
メリット
・BANした楽曲は確実にプレイしないで済むため、2曲分の対策で済む
・プレイヤー間の有利不利がない
デメリット
・BANが被った場合その場でルーレットを作成することになるため手間が増える
・(特にオンラインの場合)BAN発表が同時であることを保証する必要がある
個人的に順次BANと心理戦の両方のいいとこどりができていると考えているのがこの方法です。同時にBANすることでプレイヤー間の有利不利は発生しませんし、BANは必ず通るので対策は2曲でOKです。メリットだけを拾い上げ、デメリットをなるべく排除できていると思います。
ただ、やや非本質ながら別のデメリットが発生します。
まず1点目は手間が増えることです。BANが被らなければいいのですが、被ってしまうとそこからルーレットを実行するので、ここでもたついてしまうと進行が遅れる可能性があります。
2点目はオンライン部門にて顕著な問題です*2。BANを発表するとき、オフラインの場合はその場で自選ボードを同時に見せ合えばよいのですが、オンラインの場合はメッセージを同時に送信する必要があり、これは簡単なことではありません。
考えられる不都合として例えば次のようなものがあります。
・両プレイヤーが送信する準備ができているかを司会が確認しづらい
・同時に送信したつもりでも通信環境によってラグが生じる
・(ないとは思うけど)↑を装って相手の選曲を見たうえでとっさに自分の選曲を変えることが可能
両プレイヤーが同時に送信すること自体は、自選曲の発表ではよく行われていることです。ただそれが課題曲になると、選択肢が大幅に狭まる(3曲しかない)ため上記の3点目に述べた行為が比較的容易にできてしまうのです。
これを解消するため、現状とっている措置としては「試合前に両プレイヤーともBANする楽曲(とついでに自選曲)を司会に送信しておき、実際の発表は司会が直接行う」というものがあります。雰囲気としてはBPLのようになります。
この解決策には司会の手間が増えるというデメリットがあるのですが、この措置を取らないなら取らないで両プレイヤーの送信準備を確認する必要がある以上、運営の手間は大して変わらないんじゃないかと考えています。
今回のおうちフェスでも私が担当した部門(Arcaea, Cytus2)ではこのような方法をとることにしました。
ちなみにプロセカ部門ではプレイヤーが直接発表する形式をとるそうなので、そちらで得られた経験も今後参考になるでしょう。
ちなみに、私の関係する交流戦でこの方式が使われたのはおそらく都18thのArcaea部門がはじめてです。そして、その際運営としてこの方式を提案したのは(記憶の限りでは)私です。「いやこっちが先だが?」という意見があればお知らせください。一応、上記の懺悔案件以降いろいろ自分なりに考えました。
おわりに
以上のように、課題曲決定方式にはたくさんの種類があり、それぞれに一長一短があります。運営としては、試合や機種にあった方式を選ぶようにしたいですね。
ここで紹介したのはあくまで私が知っている方式のみです。他の方式もあるという紹介や、こんな方式はどうだろうという提案があれば是非教えてください!
また今回は試合形式をかなり絞った前提での話でしたが、そもそもこれとは異なる形式の部門も多くあります。おうちフェスではSteam版ダンカグ部門などがそれにあたります。試合形式そのものについては他もにさまざまな案が出る余地が残されているように思うので、今後も新たな形式と出会えるのを楽しみにしています。
他の試合形式といえば、実はB4UT部内戦のプロセカ部門も少し違った形式で実施されています。考案者は私です。
ということで、B4UTのアドカレではこのことについてまたあれこれ語るつもりです。16日公開予定なのでお楽しみに。
それでは。