マーケティングは永遠に変わってしまった
家族がテレビの前に座ってCMを見ている。若者が雑誌の広告を憧憬の眼差しで見つめる。飛行機の中では大勢が同じスクリーンで同じ番組を見ている。
“TVや広告が一方的だった時代を覚えていますか?”
1週間経って冷静に振り返ると、最も印象的だったのは2日目のランチで、スポンサーのResponsysが放映した数分間の映像だった。これらはノスタルジックに演出されていたが、つい最近まで、いや、今でもまだ残っている現実の光景だ。
ネットはインタラクティブになり、ソーシャル化が進んだ。Twitter、Facebook、mixi、Googleなどの勢力図は変わるかもしれないが、企業やコミュニティと会話することを覚えた人類は、もはや閉じこもっていた昔の状態には戻れない。
“マーケティングは永遠に変わってしまった。”
そうだった。Webが進化しただけでなく、マーケティング自体が、企業と顧客の関係が大きく変わりつつあるのだ。
マーケティングはデータドリブンである
これは、初日のジョン・バッテル氏による基調講演の内容ともリンクする。企業と顧客が直接会話する時代において、マーケティングに求められるのは、「Scale + Safety + Quality」に加えて、「Engagement + Measurement」だという。
確かに、新時代のマーケティングでは会話や対話、関わり(Engagement)が重要で、オンラインメディアだからこそ、計測・解析することによって数値に基づくマーケティングや経営判断が可能になる。
現場にいると、ついSEO効果やコンバージョン率のことばかり考えてしまいがちだが、100年後に2010年を振り返るような視点も必要なのだろう。帰国後に現実と向き合う中で、この変化への実感がじわじわと強まってきた。
だからこそ、「次の10年はCMOの時代になる」(ジャシュ・ジェームス氏)というわけだ。
日本との違い~Facebookとモバイル~
初日に発表があるということで楽しみにしていたビッグニュースは、オムニチュア製品とFacebookとの連携だった。日本ではあまり普及していないので関係ないと思ったが、どうもこの温度感は大きく違うようだ。
米国での反響は大きく、未だにTwitterでもRTが流れている。会場にいた何人かの海外マーケターに聞いてみたところ、「Facebook内でページやアプリケーションを公開しているが、解析に制約があるので困っていた」と言う。SEMと同じように集客の手段として取り組みが進んでいるようだ。
「しばらく招待メールを無視していたが、始めてみたら古い友人とたくさん繋がった、もう止められない」と言う人も。「ある若者はマンホールに落ちた時、電話をかける代わりにFacebookのステータスを更新して救助された」というエピソードも、Facebookバイスプレジデントであるダン・ローズ氏によって紹介された。
「Twitterって日本的だよね」という意見も耳にした。その意図は分かりかねたが、Facebookが普及しているのは確かなようだ。日本では関係ないと静観しているわけにはいかない。その日のうちにホテルで利用を開始した。
逆に、モバイルに関しては日本の方が取り組みが進んでいる。大手企業でも、「モバイルのアクセスに関しては、現状、把握すらできていないが、数がまだ少ないので放置している」と言う。「日本はこうだよ」とアピールすべき場面だったのだが、残念ながら筆者はモバイルには疎いので発言できなかった。モバイル先進国で暮らしているのだから、体験して詳しくなっておかないと損だと感じた。