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『MarkeZine』(雑誌)

第108号(2024年12月号)
特集「2025年・広告の出し先」

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2024年下半期に話題となった「オフライン広告」 特徴は“探したくなる・調べたくなる・変化する”

 インターネット広告の躍進が著しい昨今でも、OOHや新聞を始めとするオフライン広告は爆発力と拡散力を秘めている。本記事では、広告・マーケティングの情報メディア「アドクロ」で編集長を務める加藤氏が、2024年下半期に話題になったオフライン広告とその傾向について解説する。

OOHは一種のWeb広告?新たに加わった“SNSで拡散してもらう”視点

 電通グループが2024年12月に発表した「世界の広告費成長率予測(2024~2027)」によると、2024年の世界総広告費に占めるデジタル広告の割合は60.8%に達する見込みです。

 しかし、このようなデジタルシフトの流れの中でも、OOH市場は着実に成長しており、2024年の成長率は+4.8%、2025年も+3.9%の見通しとなっています。2025年の新聞・雑誌の成長率予測が-2.5%、テレビが+0.6%という従来型メディアの低成長予測を考えると、OOH市場は極めて好調であると言えるしょう。

 その成長要因の一つとして、SNSの存在は無視できないポイントです。「その場所で見てもらう」だけだったOOHに「SNS(Web上)で拡散してもらう」という目線が加わったためです。これはつまり、出し面がリアルなだけで“OOHは一種のWeb広告”と言えるのではないでしょうか。

 本稿では、2024年下半期(2024年7月~12月)に私が撮影してきた広告の中から、特に注目すべき事例をピックアップ。デジタルとリアルの境界を超えた、新たな広告表現の可能性について、現地での体験を基に考察していきます。

「見せる」広告から「探してもらう」広告に

 まず一つ目の事例は、2024年10月に森永乳業のアイスクリーム「MOW」が展開した「渋谷の街でMOW(モウ)とかくれんぼキャンペーン」の広告です。このキャンペーンは、女優の河合優実さんが起用された広告を渋谷の街から探し出し、その写真に「#MOWとかくれんぼ」を付けてXにポストすると、抽選でアイスがもらえるというものでした。

 同施策で興味深いのは、広告のほとんどがビル間の細いスペースや消火栓、渋谷タワーレコードの入口などと視認性の悪い場所で展開されたことです。これらの場所は広告としては適していませんが、見つけること自体が困難なわけではないという、絶妙な難易度だった点も注目された要因でした。

景色に溶け込むようにデザインされていました

 二つ目は、2024年10月にMLB JAPANが都内各所にて展開したロサンゼルス・ドジャースに所属する大谷翔平選手の広告です。同広告は、今シーズンに大谷選手が記録した「50-50」(50本塁打、50盗塁)を記念して実施されました。

 同広告の特徴的な部分としては、これまでの大谷選手の名場面を振り返れること。渋谷や原宿など都内各所に展開されたビジュアルはそれぞれ異なり、ホームランや盗塁など様々な活躍する場面が切り取られて展開されていました。

写真左が原宿、写真右が渋谷で展開された実際の広告

 また同広告は、ドジャースのレギュラーシーズンが終了した翌日に掲出されたため、そのスピード感も話題になった要因として考えられます。全箇所で異なる場面が採用されていることから、「全部見てみたい」という人々のコレクター精神をあおる演出となっているのもポイントでした。

 これらの事例に共通するのは、従来のOOHのような多くの人に「見せる」広告ではなく、「探してもらう」という能動的な形式に発想が転換している点です。特にSNSとの連携により、探して“見つける”という体験が生まれており、共有したくなるきっかけを創出している点が興味深い事例でした。

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消費者の発信がそのまま広告に つい調べたくなる広告

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この記事の著者

加藤 誠也(カトウ セイヤ)

株式会社ビズパ アドクロ編集長

 食品メーカーで営業職を経験後、2019年に同社入社。主に、編集長として広告・マーケティングの情報メディア「アドクロ」のコンテンツ制作を担当。「広告巡礼」を日課としており、Xでは見つけた広告事例に考察を添えて発信、テレビ出演やセミナー登壇も多数。 

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/12/26 09:00 https://markezine.jp/article/detail/47875

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