セブ島で2週間英語の勉強をしてきたので感想を書く
俺は大学受験で英語の比重が高くない学科を選び、英語を使えなくても働ける会社を選び、英語を避け続けた結果今の生活があるのですが、最近業務が海外向けメインになりつつあり。
英語ができないと仕事の効率が下がるということと、人任せ状態の海外出張が単純に楽しそうなんで、真面目に勉強を始めようと思ったのです。
んで、つい先日鈴木みそ先生の広告漫画の最終回がはてブのトップに上がっていたサウスピークに行ってきました。
勉強するなら国内の英会話学校だとかオンライン英会話があるじゃん、という話ですが、いきなり始めるにはハードルが高かったんですよね。そもそも日本語でも人と会話するのが苦手なのに、定期的に英語で知らん人とレッスンとか俺には難易度が高すぎる。
じゃあセブに留学なんか尚更無理だろ、というのはその通り。ただ、ここは一度行ってしまえば英語から逃げらんない(レッスンを受けないと退学になる)ので、目ぇつぶって申し込んじゃえば嫌でも勉強できるだろうと。そんで少しでも慣らしてから日本でオンライン英会話をやろうと。
どう考えても手順を間違えてるというか、今文章化して自分でもすげえ頭悪いなと思ったんですが、まあコミュ障の思考なんてこんなもんです。
結果として行って良かったと思うので、思うところを適当に書きます。
入国審査すげえ楽
俺は絶望的なレベルでヒアリングができないので、入国審査からしてスムーズにいけるかどうか不安だったのですが、セブ・マクタン空港の入国審査は一言も喋んないで良かったのが衝撃でした。今ってどこもそうなの?
係員の人がつまんなそーに入国者の写真をとって、ジェスチャーで促されるままにタッチセンサーで指紋をとったらおしまい。日本からの直通便だったんで、基本的に英語が下手くそな日本人相手に話すだけ無駄だと思われてるのかも知れません。
空港までは学校から迎えが来ますし、全然喋れない人でも学校までは楽勝で行けます。道が渋滞してたのか、到着時点で迎えが居なかったのは焦ったけれど。
1日10時間学習
学習要項にも書いてありますが、サウスピークでは平日は1日10時間以上勉強しろと言われます。義務自習などという聞き慣れないワードも飛び交います。基本的に「自習 or Die」です。
実際そんな長時間勉強できるかというと、案外できるんですねこれが。他にすることないから。
これがキュービクルと呼ばれる独房、いや個人用自習室で、俺が行ったプレミアム校ではこのキュービクルが一人一部屋割り当てられます。講師とのマンツーマンレッスンもここで行います。
学習棟にはこのキュービクルがズラッとならんでいて、ますます独房っぽく。早朝だろうが夜中だろうが大抵どっかには人がいて勉強しています。
「皆が勉強しているから自分も」などという殊勝な心がけは俺にはないのですが、ここはネットが繋がらないのでサボろうにもすることがありません。おかげで勉強が捗るしFGOのログボは途切れました。あと坂本竜馬も取れませんでした。
それでもどうでも良くなるというか、逆説的にネットやスマホゲーは無限に時間を吸う化物だと体感しました。インターネット怖え。
とはいえWeblio等のオンライン辞書は熟語や定番の言い回しを検索しやすいという点で電子辞書よりも使い勝手がよく、ちょくちょくWifiのつながる食堂に行っては調べ物をしていました。インターネットすげえ。
なお食堂は自習用に開放されており、皆真剣に勉強しているのでゲームで遊ぶ空気などは皆無です。
自習 or Die
実際問題として、ゲームなんざやってる暇はありません。毎日の課題をやっておかないとレッスンが成立しないし、復習しなければレッスンの学習効果も上がらない。
そして、ここには学習に集中しやすいシチュエーションがあります。レッスンで全然言いたいことが言えなくてヘコむとするじゃないですか。そうすると、会話にテンパる必要もなく単純作業に没頭できる自習がむしろ心の安らぎになるんです。怖いですね。
まあ1週間も過ごせば慣れて、分からなくても聞き返せるし、ゆっくり考えてから喋ることもできるようになるので当初の追い込まれた感じはなくなるのですが、その頃には自習も習慣づいているので、やはり普通にこなすことができます。
自習の手法も細かく指定されているので、ただ忠実に進めていくだけですし、食事時間やレッスンの時間が決まっている関係上嫌でも規則正しい生活になるので、時間や進捗の管理も非常に楽。やっていけばいいだけの空間でやっていくというだけの非常にシンプルな話です。
金払って自習するの?
サウスピークのカリキュラムはレッスンよりも自習時間のほうが長いです。その方が学習効率がいいから、というのがこの学校の言い分。
実際にレッスンを受けてみるとそれも納得の行く話で、結局のところ英会話は自分の中に積み上げた単語や言い回し等の情報を使って相手の言っている内容を把握、それに応じて自分も素早くアウトプットするという作業に過ぎないわけです。そう考えると、ベースとなる情報集積の部分は自習して反復練習するのが一番早いんですね。会話だけでそれを得ようとすると、うまく喋れずアウアウアーとなる時間の分だけ無駄だというのが実感です。
そしてレッスンは実践による確認と修正の場。自習で蓄えた知識がスルッと出てくるかを試し、間違っていれば講師にその場で修正をしてもらう。それを後で復習。
当然これも必要なフェーズです。引き出しを開けるスピードを鍛える訓練。実際喋んなきゃ上達してるかどうかも分かんないしね。
あと個人的に思うのが、英会話学習の効果が一番あがるのが、ちゃんと喋れなくてボコボコにヘコんだ直後なんですよね。
街中で外国人観光客に道を聞かれたりして上手く答えられなかったり、英語での会議で一言も発しない地蔵になったあと、2~3日だけ英会話学習のモチベーションが上がったことはありませんか? そこで状況を反芻して「ああ、あのときはこう言えば良かったんだ」となると、そのフレーズは忘れません。
サウスピークにいるとその気持ちが毎日レッスンのたびに俺を殴りに来るので、自習内容の定着度は最高なんじゃないかと思います。
誤解の無いように書いておくと先生方は皆さん超優しいです。こちらの拙い英語を一生懸命理解して、適切な指導をくれる。こちらのボンクラぶりにも少しもイラついたような素振りはみせず、もう何百回も聞いているであろう日本の話なんかもまるで初めて聞くかのように興味深そうに聞いて会話を促してくれる。教師としてハイレベルだなあと思える方々です。
それでも喋れなきゃヘコむんだよ。そういうもんだし、そうじゃなきゃ覚えないからこれはこれでいいんだと思います。
生活面について
衣食住は「特別良くもないが悪くもない」というのが率直な感想です。神経質な人だと辛いかな、ってぐらい。
部屋はこんな感じ。古いしホテルのように綺麗ではないけれど、掃除は毎日入ってくれるし不快ではありません。小さいエアコンは意外なほどよく効いて、室温も問題なし。ただしクソうるせえので最初の2日程は入眠にてこずりました。そして3日目以降は慣れて熟睡。人間の適応力しゅごい。
水道水は飲めません。飲用水は共用スペースにウォーターサーバーが用意されています。歯磨きするにも水を汲みにいかなくてはいけないのはやや面倒。
トイレは詰まるのでトイレットペーパーが流せません。これはこの宿舎の問題ではなく、全フィリピンがそうだということ。使用済みペーパーは備え付けのゴミ箱に捨てます。これはまあ普通にちょっと嫌。慣れますけども。
あとシャワーが超弱かった。水道水のミネラル分が結晶してシャワーヘッドに詰まるらしく、数本だけ力なく垂れ落ちるシャワーでなんとか体を洗う日々。髪の長い人は大変だろうなあと。
ちなみに定期的にシャワーヘッドの石取りが行われるらしく、最後の3日間だけはシャワーが勢いよく出ました。もっとこまめにやってくれ。
食事は一番の懸案事項でしたが、毎食とも普通に美味しいです。長期滞在の人からは以前はいまいちだったとも聞きますので、良いタイミングで入学したのかもしれません。
あと赤道間近なだけあって南国フルーツがやたらとうまいです。パイナップルとか。
マンゴーは食堂メニューには出ないので、週末に近所で買いました。1個100円ぐらいで買える完熟マンゴー。べらぼうに美味い。
「住」「食」と来て、残る「衣」ですが、月水金にオフィスに洗濯物を持っていけばクリーニングに出してくれるので、服は1週間分だけ用意しておけば十分。これもほんと楽。
「暮らす」ために時間を取られることはほぼないので、時間のありったけを学習に注ぎ込むことができます。別に注ぎ込まなくてもいいです。
あと生活面で切り離せないのが他の生徒との交流。やはり若い人が多いです。セブまでわざわざ勉強しに来る若者は行動力があり、目的もしっかりあって、良い意味で意識が高い。
俺は虫に例えると石の裏でじっとしている類のやつなので、そんなキラキラした若者との会話では適切にダメージを受けるのですが、意外と楽しくもありました。意識の高さに加え、わざわざ俺のようなおっさんに話しかけにくるような社交性と好奇心を持つ彼らですから、間違いなく将来成功すんだろーなとしみじみ思ったり。もはや人間としてのステージが俺とは違う。
あと、数少ないおっさん同士でつるんで飯食うのもまたよし。俺はたったの2週間でしたが、がっつり1ヶ月以上の休暇をとって長期滞在できるおっさん達は個人事業主で面白い仕事をしてたり、会社をいくつも経営してる社長さんだったりするのでこれまた退屈しませんでした。つーか話がめちゃくちゃ面白かったわ。
2週間の滞在で得たもの
とりあえず喋ってみること
率直に言って、2週間程度じゃ英語力は大して向上しないと思います。ただ、英会話そのものには大分慣れました。先に書いた言葉を使えば、自分の中の蓄積はほとんど増えてませんが、アウトプットが若干なめらかになった感じ。
留学前
- 相手が何言ってんだか聞き取れない
- 言いたいことが全く口から出てこない
留学後
- 相手が何言ってんだか聞き取れないけれど「もっとゆっくり言って?」とか「〇〇って何?」と理解できるまで聞き返せる
- ブロークンでもとりあえず何かを発語して意思疎通をはかれる
- 複雑な内容を簡単な文章へ言い替えることが上手くなる
- 慌てずにゆっくり考えてから喋ることができる
正しい音の出し方
発音レッスンで毎日発音をボッコボコに直されます。それですぐ正しく発音できるようになるかというとそんなことはなくて、これも反復練習して口の筋肉を鍛えないと無理です。正しい音が出る形に口を素早く動かせないの。
ただ、正しい音が出る口の形と、その時に出るべき音は2週間でも覚えられるので、日本に戻ってからでも練習できます。
これはいきなり本だけで独習するのは無理だと思います。正しい音とそうでない音の違いが微妙すぎて分かんないので。
自習方法と自習の習慣
これが超短期留学の一番の収穫だと思います。自習方法をここに書いてしまうと営業妨害で怒られると思うので詳細は避けますが、音読ベースの誰でもできるシンプルなもの。この手法自体は市販の音読テキスト(これとか)と大差ないと思っています。つまりはクソ地道で退屈な反復練習。
この手の練習法は挫折した人も多いと思います。何で挫折するかというと、1日1時間を1~2週間やった程度じゃ効果を実感できないから嫌になっちゃうんですよね。
サウスピークの滞在中は音読だけで1日5時間やれって言われるんですよ。2週間のカリキュラムだと一通り体験するためにレッスンを詰め気味にされるので、実際はそこまで時間は取れないんですが、それでも連日3~4時間ぐらいはひたすら同じことを繰り返すわけです。
そこまでやると、うっすらと効果が感じられるようになってくる。例えば、全然何言ってんだか分からずに単語から回答を類推していたTOEICのリスニング問題からおぼろげに文意が拾えるようになるとか。
そうなればしめたもの。ああ、このトレーニングには効果があるんだ、と身を持って理解できればクソつまらん学習も続けることができます。筋トレみたいなもんです。
留学中の自習地獄はこれを最速で体感する効果がありました。続けた先には確実に英語力の向上があると確信できるので、日本に戻ってきてからも毎日欠かさず2時間前後の学習が継続できています。今のところは。
強制的に早寝早起きの生活サイクルになったのも良かった。今は朝6時に起きて、出勤前に学習ノルマをこなす毎日。途切れさせたらあっという間に元に戻ってしまうだろうということも実感としてあるので、1日30分だけだとしても毎日何らかの学習はしようと思っています。
この脅迫観念にも似た継続欲求はあれに似てますね。ログインボーナス。FGOのログボを途切れさせて英会話学習のログボにシフトしたという形。FGOの素材集めなんかは単調でマゾい反復作業という点で英会話学習と大差ないんで、その分の時間は英語に置き換えてもいいかなと。FGOもぼちぼち続けますけどね。
費用
最後にかかった費用を。
- 授業料2週間分(宿泊費・食費・クリーニング代込):127,800円
- 航空券(フィリピン航空・往復):58,210円
- 教科書代(日本で購入して持ち込み):6,372円
- その他滞在費2週間分(税金など):9000ペソ(20,000円強)
計:192,382円 + 9000ペソ
ホリデーシーズンを外してるので、授業料も航空券も安め。日本円で20万ちょいでした。
個人的にはかなり安いと思います。土日を除き、10日でレッスン計40コマ。その辺の英会話学校の週一プラン10ヶ月分を2週間に圧縮できる上に、非常に短いスパンで予習・実践・復習を繰り返すことができるので単位時間あたりの学習効率もはるかに良いと思われます。(思われます、というのは普通の英会話学校に行ったことがないので)
加えて、勉強だけしてればいいよ、と生活の面倒も見てもらえる。俺は留学を経て英会話能力の向上は結局のところ地道な練習量と実践量に帰結する、という当たり前の結論を得ました。となれば、サウスピークという学校はそれらのブーストとしてはかなり手軽かつ楽な手段だと思います。
英語を使ってやりたいことのビジョンが明白にあるのだったら、さっさと留学してしまうのも一つの手です。日常的な学習の習慣もなく、何から手を付けて良いかわからない学習初期ほど、このブーストは有効だと感じました。
ということで、英会話学習にセブ行きは結構おすすめです。おわり。