どうしても思い出せない。/「ノルウェイの森」村上春樹
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/03/13
- メディア: 文庫
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初めて読んだ春樹作品はノルウェイの森だった。思春期だったこともあって「か、官能小説だー!」ってそればっかり印象が強くて、以来春樹作品を読むたびに「これはあんまり官能小説じゃないな」「ちょっとだけ官能小説だな」とかそういう感想が先に立つようになってしまい未だに治らない。
あと春樹作品は読んでいるときは楽しくて気持ちよくてグワーと読むのだけれど読み終わると内容も文体も全然思い出せなくなる、これにもまだ慣れない。
有名な「やれやれ」も「スパゲッティ*1」も、小説で読んだときにはちーとも記憶に残っていないので、あとで文体模写コピペを見ては「そんなこと書いてあったっけ……」と狐につままれた気持ちになる。
春樹文学についての「人物や出来事を抽象化し、物語の構造を抽出することに成功して云々」という批評を読んで、ほほうなるほど春樹作品で大切なのはプロセスなのだな、結果や思想は読者に委ねられているのだな、ならば覚えられないのも納得じゃわい、と思ったりするものの、内容を思い出せない感覚はやっぱり不思議体験だ。
夢中で読んだことだけは鮮明に覚えているので尚のこと。
そんなこんなで、私にとって村上春樹は、「面白いのに読み終わったとたん忘れてしまう文章を書く人」という魔術師みたいな位置づけ。
◇◇◇◇◇
※追記※
id:kanimasterさんいつもありがとうございます。