ここでは「分散化」を、「問題にかかわる者を意思決定に参加させること」と定義する。フューチャー・オブ・ワーク (Harvard business school press)
- 作者: トマス・W.マローン,高橋則明
- 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
- 発売日: 2004/09/28
- メディア: 単行本
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『フューチャー・オブ・ワーク』 〜選択の時〜 P.24
WEB 2.0という言葉が浸透し、関連書籍も多数出版され、「ユーザ参加型のウェブサービス開発というのがWEB 2.0の一つの特徴」なんて記載を目にすることが多いが、実は一口にユーザ参加型といっても、その質はぴんきりなんではと最近感じている。
「より多くのユーザからタイムリーにフィードバックをもらい、それをサービスに反映させる」なんていうのは非常に表面的な話しで、「ユーザ参加型のウェブサービス開発」の核心は上記の『フューチャー・オブ・ワーク』のPhraseにあるように思えてならない。
「ユーザ参加型」という言葉に重きを置き、サービスの利用ユーザ数を気にしたり、多くの意見や要望が集まることを追いかけるのは本末顛倒。
本当に大事なのは、同じ問題を抱え、同じツールを使ってそれを解決しようとしているユーザのローカルな情報と知恵を結集するための仕組の提供とコミュニティの形成がきちんとなされることなんではなかろうか。
例えば、はてブは「ユーザ参加型」がうまく機能して色々使い勝手があがっている成功例だと思うが、その成功は、
- 適切な問題提起(興味をもったウェブ上の記事やブログのエントリーに埋もれてひっちゃかめっちゃかになっているという問題)
- 問題を解決するための魅力的なツールの提供(あふれかえる情報を分類・再読可能な状態にするはてブというツールの提供)
- コミュニティへの帰属意識の醸成(はてなアイデアへの問題解決に向けての提言と透明性の高い意思決定プロセス)
の3つに起因する。
同じ問題を抱えている人間同士のコミュニティに対する帰属意識の醸成がうまくいけば、ユーザ数・改善に向けてのアイデアは自ずと後からついてくる。別の言い方をすれば、個別のユーザとサービスプロバイダーという関係でなく、同じ問題を抱えるユーザの集合体とそれの解決に向けてのファシリテータという関係をまず構築することが重要と考える。
大分前に使用したら現金化が可能かもしれないポイントを還元するなんてサイトがあったが、ポイント目当てで集まってきた人間同士でコミュニティが形成されるとはとても思えなくそんな無理やりなユーザ参加型のウェブサービス開発は絶対にうまくいかない。