長年家電業界を見てきた価格.com編集長が、価格.comが保有するさまざまなデータと、自身の知識・経験をベースに、家電製品の最新トレンドを解説。今押さえておくべき機能やスペックを紹介しつつ、コスパ、性能、ユーザー評価などの観点から、今買って間違いなしの製品を厳選して紹介する。
第54回は、昨年秋に注目の最新モデルが登場したことで、人気モデルの入れ替わりが激しいトースターについて、その最新情報をお届けする。
【図1】価格.com「トースター」カテゴリーの閲覧者数推移(過去3年)
トースターと言えば、パンを焼く機械と思っている人が多いだろうが、今やトースター(オーブントースター)は、単にパンを焼くだけに限らず、さまざまな食材を温めたり焼いたりできる便利な調理家電に変わってきている。パンやピザ、餅などの食材はもちろん、グラタンやアヒージョといった料理や、魚や肉のグリルなどもこなせてしまう製品が増えており、ガスコンロやオーブンレンジを使うより手軽で便利という声も多い。
このように、昨今トースターの活用範囲が広がってきているため、さまざまなメーカーがこの分野に製品を投入しており、家電製品の中でも一定の人気を維持し続けている。図1は、価格.com「トースター」カテゴリーの過去3年における閲覧者数推移を示したものだが、この3年間はほぼ横ばいの動きとなっており、コロナ収束後、需要を落としている家電が多い中では、比較的堅調な状況を示している。
なお、トースターが売れる需要期は、毎年1月がピーク。やはり寒い時期こそ、温かいものが恋しくなるのか、冬の時期にトースターはよく売れるようだ。逆に、暑い夏はトースターの需要もグンと下がっている。
【図2】価格.com「トースター」カテゴリーの閲覧者数推移(過去半年)
図2は、直近半年における「トースター」カテゴリーの閲覧者数推移を示したものだが、やはり11月、12月と需要が上がっていっており、年末で一気にピークを迎えている。なお、この年末のピークは、毎年恒例のテレビ特番で、シャープの「ヘルシオ トースター AX-WT1-B」が紹介されたことが大きな理由。とはいえ、今シーズンもやはり年末年始を挟んで需要のピークが訪れていることは間違いない。
【図3】価格.com「トースター」カテゴリーにおける主要メーカー別閲覧者数推移(過去3年)
では、そんなトースター市場の勢力図はどうなっているのだろうか。図3は、過去3年における、価格.com「トースター」カテゴリーの主要メーカー別に見た閲覧者数推移だ。これを見ると、トップの座をほぼ維持しているのは「Aladdin」ブランドを展開する日本エー・アイ・シーで、その人気はこの3年間ほとんど揺らいでいない。同社のトースターは、わずか0.2秒で発熱する独自の「グラファイトヒータ」を搭載し、その立ち上がりの速さからパンの外側をカリッと焼くいっぽう、内部には水分を閉じ込めるため、ふんわりした仕上がりになるということで、価格.com上でも人気が高い。
2位のメーカーは比較的混戦状況だが、象印とパナソニックが比較的安定した状態を保っている。どちらのメーカーもトースター市場では老舗だが、象印が数千円~1万円程度で買える低価格モデルをメインにした「こんがり倶楽部」を展開しているのに対し、パナソニックは、2021年に高級トースターの「ビストロ NT-D700」を発売したのをきっかけに、どちらかと言えば高級路線に舵を切った。ただし、直近では、低価格モデルの「NT-T501」がどちらかと言えば人気を得ている。
その後に続くのが、象印と同様に低価格モデル「やきたて」シリーズを展開するタイガー魔法瓶と、高級トースターの口火を切ったバルミューダという状況が長く続いてきたが、昨年2024年には新たにツインバードがこれにからみ、直近ではシャープが一気に追い上げ、これを抜くほどの勢いで人気となっている。ツインバードについては、2023年11月に発売した「匠ブランジェトースター TS-D486」が、やはり年末のテレビ特番で紹介され、一気に人気になり、その後もほぼこれ1台で人気を維持している。シャープに関しては、元々「ヘルシオ グリエ」という高級トースターが一定の人気を得ていたが、この3年新モデルが出ておらず、人気が低迷していた。しかし、2024年12月に久々に登場した「ヘルシオ トースター AX-WT1-B」が、上記のとおり、年末のテレビ特番で紹介され、一気に注目を集めている状況だ。
このように、価格.comの「トースター」カテゴリーにおいては、日本エー・アイ・シーの「Aladdin」シリーズが安定した人気を維持しており、トップの座をしっかり守っている。この牙城に対して、パナソニック、象印、シャープといった老舗メーカーが、それぞれに工夫を凝らした新モデルで挑んでいるという状況が見て取れる。なかでも今期については、久々の新モデル投入で話題を呼んでいるシャープの動きに注目したいところだ。
※当記事のデータは、「価格.com DataCompass」を使って作成しています。
「価格.com DataCompass」とは、価格.comのビッグデータを基に購入検討ユーザーの動向を分析できる法人向けのマーケティングサービスです
※最安価格とユーザー満足度・評価は、いずれも2025年1月21日 時点のものです
価格.com最安価格:17,299円
発売日:2023年9月22日
ユーザー満足度・評価:★4.36(28人)
わずか0.2秒で発熱する「グラファイトヒータ」を搭載するAladdinグラファイトトースターの4枚焼きモデル。同様の2枚焼きモデルも人気だが、設置スペースなどに余裕があるなら、さまざまな用途に活用できるこちらがおすすめだ。上記「グラファイトヒータ」の働きで、トーストを外はカリッと、中はモチッと仕上げるのはもちろん、付属する2種類の深さのグリルパンを使えば、煮る、焼く、蒸すといった本格的な調理も可能。これ1台でいろいろな料理を作れる。
価格.com最安価格:29,700円
発売日:2024年12月5日
ユーザー満足度・評価:★4.24(6人)
3年ぶりの新製品となるシャープ「ヘルシオ」シリーズのトースター最新モデル。同社のウォーターオーブン「ヘルシオ」と同じく、高熱の過熱水蒸気を利用して一気に焼き上げる方式を採用するのが特徴。トーストの場合、内部の水分量を維持しつつ、外はこんがり焼き上げることが可能で、いわゆるカリモチの仕上がりを実現。本モデルでは、3段階の焼き上がりを選択できるようになり、より好みの仕上がりに近づけられるようになった。揚げ物などの総菜の温めや、グリル系の調理も得意で、まさに「小さなヘルシオ」といった製品だ。
価格.com最安価格:25,800円
発売日:2021年2月1日
ユーザー満足度・評価:★4.59(67人)
パナソニックが2021年に発売した高級トースター。同社のオーブンレンジ「ビストロ」の名を冠するだけあって、単なるトースターにとどまらず、フランスパン、クロワッサン、総菜パン、ピザ、焼きいも、フライあたためなど、15のオートメニューを備え、手軽においしく温め・リベイクなどを行えるのが特徴。トーストに関しては、上下3本の「遠近トリプルヒーター」と、食パンを最適に焼き上げる「インテリジェント制御」によって、厚切り、薄切り、常温、冷凍に関わらず、最適な焼き方でおいしく焼き上げることが可能だ。
価格.com最安価格:17,373円
発売日:2023年11月17日
ユーザー満足度・評価:★4.76(21人)
新潟に本社を置く家電メーカー、ツインバードが2023年11月に発売した、本格的高級トースター。パン職人の浅井一浩氏と共同開発した製品で、秒単位で計測する温度センサーと遠近2種類のヒーターによって、浅井氏伝授の本格的な焼きをシミュレート。一般的なトーストはもちろん、クロワッサンやフランスパン、総菜パンなど、さまざまなパンを焼きたてのおいしさに仕上げてくれる。「価格.comプロダクトアワード 2024」では、調理家電部門の大賞を受賞するほどの高い評価を得た。
価格.com最安価格:9,630円
発売日:2022年6月発売
ユーザー満足度・評価:★4.40(24人)
象印が展開する「こんがり倶楽部」の4枚焼きモデル(2枚焼きモデルもあり)。最大出力1300W、最高温度250度、上下5本のヒーターによる高火力で、外はサクっと、中はふんわりとしたトーストを焼き上げる。また、ピザやフライあたため、ロールパンあたためなど、8つのマイコン自動コースを搭載し、さまざまな用途に対応可能。1万円以下で買える低価格ながら、その仕上がりのよさと利便性には、多くのユーザーが高評価を与えている。
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