パナソニックが3種類の「おしり洗浄」機能を搭載した温水洗浄便座「ビューティ・トワレ RTシリーズ」を発表。感性工学を用いて洗い心地にこだわった新モデルを見てきました。
温水洗浄便座は、温水の供給方法によって「瞬間式」と「貯水式」の2つのタイプに分類されます。「ビューティ・トワレ RTシリーズ」は、使うときに瞬時に温水を作る「瞬間式」。内蔵タンクに常にお湯を保温しながら貯めておく「貯水式」とは異なり、必要なときに使う分だけ水を温めるので電気代が抑えられるほか、連続で使っても湯切れや湯温の低下が起こりません。
機能が異なる「DL-RT50」「DL-RT40」「DL-RT20」という3機種をラインアップ。全機種にホワイト、パステルアイボリー、ピンクの3色を用意しています。2025年2月19日発売予定
ラインアップ3機種「DL-RT50」「DL-RT40」「DL-RT20」の主な相違点は以下3つ。
●人の動きを検知する「ひとセンサー」を使って入室と退出に応じて便ふたを自動で閉じ開きする「便ふたの自動開閉」機能の有無
●除菌・脱臭効果のある「ナノイーX」機能の有無
●使っていないときは便座の温度を調整するなど賢く省エネする「エコナビ」の有無
すべて備えているのは「DL-RT50」のみで、「DL-RT40」は「ナノイーX」以外の機能を搭載。「DL-RT20」にはこれらの機能は搭載されていません。「便ふたの自動開閉」機能はふたの閉め忘れを防止し、便座ヒーターの保温性が高まって電力消費を抑えられるので、節電を重視するならこの機能を搭載した「DL-RT50」や「DL-RT40」を選ぶほうがいいでしょう。市場想定価格は「DL-RT50」が51,300円(税込)、「DL-RT40」が46,800円(税込)、「DL-RT20」が36,000円(税込)です。
※一部店舗ではメーカー指定価格での販売となります
なお、使用パターンを学習して便座の保温温度を調整する「スマート暖房便座」や「オート脱臭機能」(機種により作動方法は異なります)は3機種共通で備えています。
「スマート暖房便座」は使用しない時間を学習して便座ヒーターを弱くするので、節電に役立ちます
3機種すべて、壁掛けの操作パネルを使うリモコンタイプ。便座側面に操作パネルがある袖操作タイプより操作性にすぐれます
「ビューティ・トワレ RTシリーズ」最大の特徴は、3種類の「おしり洗浄」モードを搭載していること。好みのモードを選ぶだけで、安定した水流の「ソフト洗浄」、空気を取り込んだ「バブル洗浄」、断続的でパワフルな「パワービート洗浄」という3つの異なる水流が出ます。
おしり洗浄時に洗浄水が出る1つのノズル穴から3種類の水流を出すことを実現。ちなみに、ノズルは汚れが付きにくいステンレス製
3種類の水流のイメージ。かなり違うように見えますが、洗浄感も大きく異なるのでしょうか
洗い心地がどれほど違うのか気になったので、各モードを実際に体験してみました。
パナソニックのトイレに設置されていた「DL-RT50」で体験
※以下の各モードの動画はスロー動画イメージです。
▼ソフト洗浄モード
かなり刺激が少ない当たり心地。水が揺らぐ感覚はあるものの、スッと伸びるように出る水流は安定しており、それほど水の動きを感じませんでした。パナソニックによると、ソフト洗浄モードはお尻にトラブルがある人や刺激が苦手な人におすすめだそう。やわらかな水流ですが、当然、洗浄の強さは調整できます。
▼バブル洗浄モード
水に空気を含ませた揺らぎのある水流は、シャワーのよう。肌に水滴がやさしく当たる感覚があります。刺激はそれほど強くはありませんが、ソフト洗浄モードよりも水流にランダム感があり「洗浄している」という感じがやや強い印象。バブル洗浄モードは心地よさを追求し、癒やしを感じられるようにしているそうです。
▼パワービート洗浄モード
水の塊が断続的に飛び出すようなパワフルな水流で、水がボボボボッと連続してお尻に当たる水流をしっかり感じます。「洗った!」という感覚を強く感じるため、使用後のすっきり感はいちばん。パワフルな洗浄感を求める人に最適です。
「3つの異なる水流を作り出す」と簡単に説明しましたが、この水流を作り出すため、「ビューティ・トワレ RTシリーズ」は従来の温水洗浄便座とはまったく異なるノズル構造を開発。水道管からの水をそのままお尻に当てるだけでは水が当たっている感覚が得にくいため、一般的な温水洗浄便座はポンプを使ってノズルから吐水する水にリズミカルな強弱を付けています。「ビューティ・トワレ RTシリーズ」はそのポンプを廃し、ノズル内のメイン水路(下の図版「水路1」)に、サブ水路(下の図版「水路2」)と空気の流入口を配置する構造としました。
メイン水路(水路1)の横にサブ水路(水路2)を配置。サブ水路の反対側に空気の流入口を設けています
サブ水路の水量を減らすと多くの空気が取り込まれるというように、サブ水路と空気の流入口は連動しており、サブ水路の水流量をコントロールすることで3つの水流を作り出します。
ポンプを使わないので、お尻を洗うときの駆動音が静かなのもメリット。そのいっぽうで、山奥などの極端に水圧が低い場所では吐水量が減るというデメリットがありますが、パナソニックによると一般的な住宅環境ではほぼ問題なく利用できるとのことでした。
ソフト洗浄はサブ水路の水量を増やして空気の流入を減らすことで安定した水流を、バブル洗浄はサブ水路の水量を減らし、空気の流入を増やして気泡を混ぜた水流を作り出します。パワービート洗浄は2重構造のノズル外側の空間を水で満たしたり、空気を取り込んだりすることにより、細い噴流と太い噴流を生成。これを繰り返すことで断続的な水流を作り出します
3つのモードを使い分けることで、従来モデルと同じ使用水量でも「よりやさしい当たり心地」と「より強い洗浄力」のどちらも実現
パナソニックの調査によると、温水洗浄便座を買い替えたユーザーの6割以上がおしりの洗浄感に不満があるそう。温水洗浄便座が一定以上普及したことで、今後はより洗浄の「質」が求められるようになりそうです。「ビューティ・トワレ RTシリーズ」は3つの水流により、やさしい水流も強い洗浄力も実現。さらに、癒やしを感じるバブル洗浄という今までにない切り口の洗浄モードを搭載しています。パワフル派からデリケート派まで幅広いユーザーに受け入れられやすいだけでなく、トイレでリラックスしたい人にとっても新しい選択肢になるかもしれません。