カメラ・写真系のYouTuberとして活躍中の写真家Jimaさんが「アクションカメラの可能性」を3回にわたって解説する短期連載がスタート! 第1回は、「日常の記録カメラ」としてのアクションカメラの魅力を詳しく紹介します。
DJIの最新アクションカメラ「Osmo Action 4」。本短期連載では、「Osmo Action 4」を使って撮影した映像を掲載しながらアクションカメラの可能性に迫ります
皆さん、初めまして。写真家のJima(じま)と申します。価格.comマガジンには初めての登場になりますので、簡単に自己紹介をさせてください。
私は、「本格的なカメラでの撮影は難しい」と感じている人や初心者の人に向けて、撮影の楽しさを学べるYoutubeチャンネル カメラ塾【JimaTube】を運営しています。「カメラだからこそ楽しめる感動体験」の提供を目指して、カメラや写真、撮影知識に関する情報をわかりやすくお伝えする動画を公開しております。
私自身のカメラ歴は20年です。5年間フォトスタジオにてプロカメラマン兼ディテクターして活動しておりまして、そこで得た知識・経験を生かし、フリーランスとして活躍の場を広げております。
価格.comマガジンでは、動画での説明・解説を含めながら、カメラ・写真に関するさまざまなことをお伝えしていければと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
今回を含め3回にわたって取り上げるのは「アクションカメラ」です。筆者流の活用方法を紹介しながら「アクションカメラの可能性」をテーマに掘り下げていきたいと思います。
アクションカメラというと皆さんはどういう印象を持っているでしょうか? 「スポーツやアクティビティーの撮影で活躍するカメラ」と思う人も多いことでしょう。今から数年以上前、アクションカメラが初めて登場した当時、筆者も「アクションカメラ=アクティビティー用のカメラ」という認識を持っていました。
実際、アクションカメラの位置づけは「アクティビティー用」がメインです。どのメーカーも、アクションカメラをアクティビティー用としてアピールしていますし、そういう使い方をするのが一般的ですよね。
しかし、アクティビティー専用という認識からアクションカメラを使わないのは、少しもったいないなと思います。
今や私たちの日常は映像機器が常に身近にある状態です。
最も気軽に使えるのはスマートフォンで、アクションカメラ、コンパクトデジタルカメラ、レンズ交換式の一眼カメラなどのカメラ製品も用意されています。用途や予算に合わせてさまざまなタイプのカメラを選べます。
そのなかで、撮像素子のサイズが大きくなったり、手ブレ補正機能が強化されたりと、最近はアクションカメラがすさまじい速度で進化しています。ただ、それでも、表現力を含めて高画質な写真・動画を記録するには一眼カメラが有利なことに変わりありません。私は、仕事でもプライベートでも、しっかり撮りたい場合は一眼カメラを使っています。
最近はアクションカメラでも高画質な動画を記録できますが、一眼カメラのクオリティにはまだまだかないません
このように紹介すると、「わざわざアクションカメラを購入する必要があるのか?」と疑問に思う一眼カメラユーザーもいることでしょう。その気持ち、よくわかります。筆者も長らくそのように考えていて「縁のないカメラ」という認識でした。
しかし、2019年5月にDJIから「Osmo Action」シリーズの初代モデルが登場したときに、その認識が一変しました。「GoPro」シリーズ以外の選択肢が現れたのも驚きでしたが、それ以上に、今となっては当たり前の機能である「フロントモニター」を搭載したのが衝撃的だったのです。
「Osmo Action」シリーズは、フロントモニターをいち早く搭載したアクションカメラです(画像は最新モデルの「Osmo Action 4」)
フロントモニターの搭載によって、自分撮りがしやすくなったうえ、撮影時にカメラの裏側に回り込まなくても収録の様子を確認できるのは画期的でした。フロントモニターの採用はアクションカメラがアクティビティー用としてだけでなく、さまざまな場面で役立つ可能性を秘めていることに気づかせてくれました。
「Osmo Action」の初代モデルを手に入れて先入観を持たずに使っているうちに、アクションカメラには以下のような特徴があることがわかってきました。
・小型・軽量で頑丈
・水の中でも安心して使える
・「撮っている」という威圧感があまりない
・映像品質は「そこそこ」
・暗所耐性は「そこそこ」
・10万円以下の製品が主力
これらの特徴から筆者が導き出したアクションカメラの便利な使い方が「自分視点(POV視点/一人称視点)での日常記録」です。
私は写真家であり、常日頃から一眼カメラを持ち出して撮影を行っております。
ただ、一眼カメラを使っていて結果として残るのは「撮影した写真だけ」です。もちろん「写真が撮れればよい」のですが、その写真を撮るのには、撮影場所の雰囲気や撮影にいたるまでの思考を繰り返す時間が含まれています。これらを自分視点の映像として記録しておくのにアクションカメラはとても便利なんです。
使い方は非常にシンプルです。アクションカメラをネックレス感覚でネックストラップとして取り付けて動画を回すだけ。アクションカメラは「勝手に素材(映像)を収録してくれる影のアシスタント」という役割なんです。
ネックストラップにアクションカメラを装着して自分視点で撮影している様子。この使い方は、両手が自由になって自分の行動(撮影)に制限がないのが最大の魅力だと感じています
一眼カメラとは別にアクションカメラを手で持って撮影すれば整った映像を記録できますが、片手がふさがってしまうため現実的ではありません
「自分視点での記録ならスマートフォンを使ってもよいのでは?」と思う人もいることでしょう。
確かに、カメラの高機能化が進むスマホでも、同じように自分視点での記録は可能です。実際、筆者もスマホでの記録を試みた時期もありましたが、撮影中に電話がかかってきたり、気がついたときにはバッテリー残量が少ない状態になっていたりと、いろいろと弊害が発生してしまいました。
スマホには、カメラ以外にも、通話やメール、ブラウザー、電子決済、マップなど生活に欠かせない機能がてんこ盛りです。「スマホでも同じように日常を記録できる」のは確かなのですが、映像を記録するだけなら、やはり専用のカメラに任せたほうがよいと思います。
「Osmo Action」シリーズはバッテリーの交換が可能。複数個のバッテリーを持ち運んでおけば、映像を長時間記録できます
最近は、連絡用と映像収録用に分けてスマートフォンを2台持ち歩く映像クリエイターが増えてします。ただし、カメラとしての使い勝手のよさを考えると、映像記録用としてはスマートフォンよりもアクションカメラに分があると思います。
試行錯誤の結果ではありますが、自分視点で「自分が見た世界」を記録するには、アクションカメラを使うのがベストだと強く感じています。
本記事で紹介したように、アクションカメラは決してアクティビティー専用というわけではありません。アクティビティー用途以外にも「日常を気軽に記録できる」という魅力があるのです。
ぜひアクションカメラを使って気軽に日常を記録してみてください。今は何気ないと感じることでも、映像として記録しておくと数年後に見返したときに価値を感じるはずです。
筆者は、アクションカメラで日常を記録していくうちに、たとえば、旅行中でも観光名所を撮影するだけではなく、準備段階や移動の道中など一連の流れすべてを記録することに価値があると感じるようになりました。こうなると、記録というよりもVlogという表現が適切かもしれませんね。
また、映像で思い出を振り返る際に、映像の解像度は大きな問題にならないということ強調しておきたいです。もちろん、8Kや4Kで残しておければそれにこしたことはありませんが、大切なのは「その時間・場所の感情を呼び戻す映像であるかどうか」ということではないでしょうか。記録として残すのであればフルHDでも十分だと思います。
最新のアクションカメラは4K解像度で記録できます。ただ、記録として残すのであれば解像度はあまり重要ではありません
アクションカメラは、通常の動画以外にも多彩な撮影機能を備えています。そのなかで気軽に楽しめるものとして紹介したいのがタイムラプス動画撮影です。
筆者は、小さい三脚にアクションカメラを取り付けてタイムラプス動画をよく撮影します。設定によって異なりますが、10秒の尺のタイムラプス動画でも10分以上撮影を続ける必要があります。
忙しい日常に対する気持ちのリセットに、この「待つ10分」は意外と大事だなと最近感じることが多いです。アクションカメラを手に入れたら、ぜひタイムラプス動画の撮影にもチャレンジしてみてください。