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音質も機能もすごすぎる! Technics新フラッグシップTWS「EAH-AZ100」徹底解説

パナソニックが展開するTechnics(テクニクス)ブランドから、完全ワイヤレスイヤホンの新モデル「EAH-AZ100」が発表されました。昨年末にティザーサイトで映像が公開され、気になっていた人も多いことでしょう。

Technics「EAH-AZ100」(写真左がシルバー、右がブラック)。発売日は2025年1月23日、市場想定価格は39,600円前後

Technics「EAH-AZ100」(写真左がシルバー、右がブラック)。発売日は2025年1月23日、市場想定価格は39,600円前後

今回発表された「EAH-AZ100」は製品名末尾のナンバーからもわかるとおり、「EAH-AZ80」よりも上位グレードとなるTechnics完全ワイヤレスイヤホンの新しいフラッグシップモデルという位置づけです。

「EAH-AZ80」も5点満点の価格.comの満足度・レビューで4.61(2025年1月8日時点)というハイスコアを誇り、2023年6月の発売から1年半以上たった今なお価格.com「イヤホン・ヘッドホン」カテゴリーで高い人気を誇っていますが、新モデルの「EAH-AZ100」もかなりの完成度を誇っていました。さっそく新モデルの特徴を詳しく解説していきましょう。

ハイエンドイヤホン「EAH-TZ700」でも使われた磁性流体ドライバーを初採用。ノイキャン性能や装着感も大きく進化

Technicsブランドは今年でちょうど60周年。国内屈指の老舗オーディオブランドではありますが、完全ワイヤレスイヤホンイヤホン市場には2020年4月発売の「EAH-AZ70W」で参入しました。60年という長い歩みからすると完全ワイヤレスイヤホンの歴史はまだ浅いですが、2021年に「EAH-AZ60」「EAH-AZ40」を、2023年に「EAH-AZ80」「EAH-AZ60M2」「EAH-AZ40M2」を投入するなど、製品スパンの長いハイエンドオーディオ製品と比べると、かなり意欲的に新製品開発を実施していることがうかがえます。

そんなTechnicsブランドの完全ワイヤレスイヤホンの新しいフラッグシップモデルとして開発されたのが「EAH-AZ100」です。「EAH-AZ80」もかなりの完成度を誇っていましたが、「EAH-AZ100」はフラッグシップモデルにふさわしいモデルに仕上げるため、完全ワイヤレスイヤホンに求められる「@音質」「A装着性」「B通話性能」「Cノイズキャンセリング」「Dバッテリー性能」をさらにブラッシュアップしたそうです。それぞれ具体的に見ていきましょう。

@音質

音質面での進化ポイントは、ずばりドライバーユニットです。「EAH-AZ100」は「EAH-AZ80」と同じダイナミックドライバー1基という構成で、ドライバー径も「EAH-AZ80」と同じ10mm径となっていますが、ドライバーユニットがまったく別物になっています。

具体的には、Technics初のハイエンド有線イヤホン「EAH-TZ700」にも採用されている独自開発した磁性流体ドライバーを採用しました。完全ワイヤレスイヤホンで磁性流体ドライバーを採用したのは「EAH-AZ100」が業界初とのことです。

「EAH-AZ100」で採用されている磁性流体ドライバー。「EAH-TZ700」同様、振動板にはアルミニウム素材が、エッジ部分にはPEEK素材が用いられています

「EAH-AZ100」で採用されている磁性流体ドライバー。「EAH-TZ700」同様、振動板にはアルミニウム素材が、エッジ部分にはPEEK素材が用いられています

黒い油のような物体が磁性流体。下からマグネットを近づけると磁力に反応します

黒い油のような物体が磁性流体。下からマグネットを近づけると磁力に反応します

「EAH-AZ100」では「EAH-TZ700」同様、ドライバーのマグネットとボイスコイルの間に磁性流体を充填。振動板と一体となっているボイスコイルのピストン運動をより滑らかにするとともに、振動板エッジ部に柔軟性に富んだ極薄エッジを組み合わせることで、低域の振幅量を確保。豊かな低域からアルミニウム振動板が生み出す高解像度な中高域まで、ダイナミックドライバー1発とは思えない広帯域再生を実現したといいます。

実際に「EAH-AZ100」と「EAH-AZ80」を聴き比べてみましたが、低域は「EAH-AZ80」でも出ていますが、「EAH-AZ100」のほうがくっきりしたキレのあるサウンドで、重低音の再現性が明らかに向上していました。土台となる低域の安定度が高いためか、中高域もとてもリアルで聴きごたえ満点。情報量も多く、音の分離も自然なおかげで、普段聴いている音楽もより立体的で自然な音色として耳に飛び込んできます。

「EAH-AZ80」もかなりの高音質モデルですが、いい音を聴いたときに得られる音楽への高い没入感やそこから得られる満足感という点では「EAH-AZ100」のほうが勝っていると感じました。この音質だけでも「EAH-AZ100」を選ぶ価値はありそうです。

A装着性

「EAH-AZ100」は装着性についても大きな進化を遂げています。「EAH-AZ80」では、耳のコンチャ(くぼみ)への収まり具合を最適化した「コンチャフィット」と呼ばれる独自形状を採用して装着性の向上を図っていましたが、「EAH-AZ100」でもこの流れを踏襲しつつ、イヤホン本体をさらに小型・軽量化。コンチャに収まる部分の体積約30%を見直すことで耳への収まり具合を改善するとともに、本体重量を「EAH-AZ80」の片耳約7.0gから約5.9gへと約16%の軽量化することで、装着感を大きく改善したといいます。「EAH-AZ80」は耳の形状によってはコンチャ部が当たって痛く感じる人もいたそうですが、「EAH-AZ100」では耳に直接触れる内側の形状が大きく変更されており、耳の形状を選ぶことは少なそうです。

「EAH-AZ100」(写真左)と、「EAH-AZ80」(写真右)のイヤホン本体。パッと見ただけでも小さくなっていることがわかります。ちなみに、「アコースティックコントロールチャンバー」や「ハーモナイザー」といった音質に影響のあるアコースティックな部分も、イヤホン形状に合わせて最適化を図ったそうです

「EAH-AZ100」(写真左)と、「EAH-AZ80」(写真右)のイヤホン本体。パッと見ただけでも小さくなっていることがわかります。ちなみに、「アコースティックコントロールチャンバー」や「ハーモナイザー」といった音質に影響のあるアコースティックな部分も、イヤホン形状に合わせて最適化を図ったそうです

「EAH-AZ100」(写真左)と、「EAH-AZ80」(写真右)のイヤホン本体を真横から見たところ。「EAH-AZ100」ではノズル付け根部分のふくらみがだいぶ抑えられています

「EAH-AZ100」(写真左)と、「EAH-AZ80」(写真右)のイヤホン本体を真横から見たところ。「EAH-AZ100」ではノズル付け根部分のふくらみがだいぶ抑えられています

「EAH-AZ100」を装着したところ。装着した際に周囲から見える部分は初代モデル「EAH-AZ70W」に近い円形になりました

「EAH-AZ100」を装着したところ。装着した際に周囲から見える部分は初代モデル「EAH-AZ70W」に近い円形になりました

また、装着時のフィット感を大きく左右するイヤーピースも「EAH-AZ100」ではフルリニューアル。「EAH-AZ80」ではフィット感と音質を両立するため、軸と傘それぞれに硬さの異なる2つの素材を用いた2層構造イヤーピースを採用していましたが、「EAH-AZ100」では低域を逃さずしっかりと鼓膜へ届けるため、軸で用いる素材をさらに2種類に細分化したそうです。なお、「EAH-AZ100」に付属のイヤーピースは専用品になるとのことです。

「EAH-AZ100」(写真上)と「EAH-AZ80」(写真下)のイヤーピースを比べたところ。断面図を見ると硬さの異なる素材を組み合わせていることがよくわかります。ノズル部分の形状が変更されており、軸の部分も楕円形になりました

「EAH-AZ100」(写真上)と「EAH-AZ80」(写真下)のイヤーピースを比べたところ。断面図を見ると硬さの異なる素材を組み合わせていることがよくわかります。ノズル部分の形状が変更されており、軸の部分も楕円形になりました

B通話性能

Technicsブランドの完全ワイヤレスイヤホンといえば、電話機開発で培った通話処理技術を用いた高品位な通話性能もポイントです。「EAH-AZ80」では、独自の通話音声処理技術「JustMyVoiceテクノロジー」で通話時のノイズ除去で自分の声をしっかりと届けられる点がウリのひとつでしたが、今回登場する「EAH-AZ100」では、通話ノイズ除去用のAIチップを搭載した「Voice Focus AI」を新たに搭載。発話者の声をクリアに届けられるだけでなく、通話中に自分に届く通話している相手の声もクリアに聴こえるようになりました。

自分の声に対するノイズ除去だけでなく、通話相手の声に対してもノイズ除去を行う業界初の「Voice Focus AI」を搭載

自分の声に対するノイズ除去だけでなく、通話相手の声に対してもノイズ除去を行う業界初の「Voice Focus AI」を搭載

実際に「Voice Focus AI」の効果を体験してみましたが、声質が若干変わったように感じられるものの、「Voice Focus AI」を無効にしている状況だと周囲の騒音でかき消されて聴き取れなかった声が「Voice Focus AI」を有効にするとしゃべっている内容をはっきりと確認できました。

スマートフォンが当たり前となり、完全ワイヤレスイヤホンは音声コミュニケーションに欠かせないアイテムになりつつありますが、いくら自分のイヤホンのマイク性能がすぐれていて自分の声がはっきりと伝わったとしても、相手の声がはっきりと聞こえなければ音声コミュニケーションは成立しません。テレワーク中のオンライン会議なども増えてきていますが、相手のマイク性能や周囲の騒音状況などにも左右されず、しっかりと音声コミュニケーションがとれるというのは「EAH-AZ100」の大きな強みと言えそうです。

Cノイズキャンセリング

ノイズキャンセリングの進化のポイントは、機能の最適化とハードウェアの改良の2つです。

機能については、これまで初期設定の固定フィルターでのみノイズを除去していた仕組みから、周囲の騒音や装着する人の耳の形状に合わせてノイズキャンセリングフィルターのパラメーターを動的に最適化するアダプティブノイズキャンセリングの仕組みへと改良。ハードウェアについては、フィードバックマイクをより鼓膜に近いノズル(音導管)途中に移動しました。

「EAH-AZ100」(写真左)と「EAH-AZ80」(写真右)のフィードバックマイクの位置を比べたところ。「EAH-AZ80」はノズル根本近くの引っ込んだところにマイクが配置されていましたが、「EAH-AZ100」はノズルの中に移動。鼓膜により近いところで集音することで精度が大きく向上しました

「EAH-AZ100」(写真左)と「EAH-AZ80」(写真右)のフィードバックマイクの位置を比べたところ。「EAH-AZ80」はノズル根本近くの引っ込んだところにマイクが配置されていましたが、「EAH-AZ100」はノズルの中に移動。鼓膜により近いところで集音することで精度が大きく向上しました

これら2つの改良により、電車内や飛行機内などで聴こえる低域〜中域のノイズ、日常生活で聴こえる人の声(300〜3kHz)のノイズをより強力に除去できるようになったほか、ノイズキャンセリング特有の閉塞感やこもり感も改善したそうです。なお、アダプティブノイズキャンセリング仕様となりましたが、これまで同様に100段階のノイズキャンセリング強度の個別調整も可能となっています。

Dバッテリー性能

Technicsの完全ワイヤレスイヤホンは高音質をウリにしていることもあり、2021年発売の「EAH-AZ60」以降は上位モデルを中心にハイレゾ相当の最大96kHz/24bitの音声データを伝送できるLDACコーデックをサポートしていますが、いっぽうでLDACコーデック接続時のバッテリー駆動時間が短いという課題を抱えていました。「EAH-AZ100」はこの部分についてもしっかりとケアされています。

「EAH-AZ100」と「EAH-AZ80」の条件別再生時間

「EAH-AZ100」と「EAH-AZ80」の条件別再生時間

上記の表は「EAH-AZ100」と「EAH-AZ80」の条件別の音楽再生時間をまとめたものですが、やはり注目したいのがLDACコーデック接続時のイヤホン本体の再生時間でしょう。「EAH-AZ80」はノイズキャンセリングONだと約4.5時間、ノイズキャンセリングOFFでも約5.0時間でした。しかもこれはカタログスペックでの数値で、音量や通信状況によってはこの数値よりも短くなる可能性もありました。それに比べると、「EAH-AZ100」のノイズキャンセリングONで約7.0時間、ノイズキャンセリングOFFで約8時間という数値はかなり使える数値になったと言えるのではないでしょうか。

装着性のところでイヤホン本体の小型・軽量化について触れましたが、「EAH-AZ100」(左)は充電ケースも「EAH-AZ80」(右) と同じワイヤレス充電対応のままさらに小型・軽量化しています。バッテリー性能が伸びただけでなく、持ち運びがしやすくなったのもうれしいポイントですね

装着性のところでイヤホン本体の小型・軽量化について触れましたが、「EAH-AZ100」(左)は充電ケースも「EAH-AZ80」(右) と同じワイヤレス充電対応のままさらに小型・軽量化しています。バッテリー性能が伸びただけでなく、持ち運びがしやすくなったのもうれしいポイントですね

空間オーディオやLC3コーデックにも新対応。マルチポイントもさらに使いやすく進化

ここまで「音質」「装着性」「通話性能」「ノイズキャンセリング」「バッテリー性能」の5つの項目別に「EAH-AZ100」の進化ポイントを紹介してきましたが、ほかにも細かな進化点が数多くあります。

そのひとつが「空間オーディオ」への対応です。「EAH-AZ100」の空間オーディオはDolby社の技術を活用したものになっており、ヘッドトラッキング機能も利用可能。Dolby Atmosに対応したスマートフォンと組み合わせることで、映像や音楽をより深い臨場感、没入感で楽しめるようになります。

また、Bluetoothの次世代標準コーデックであるLC3に対応した点もポイントです。「EAH-AZ100」の場合、高音質なLDACコーデックでの運用がメインになりそうですが、通信環境があまりよくない場所で接続安定性を優先したい場合や、映像と音声のズレが気になる動画視聴時などにLC3コーデックをオプションで選択できるという点は歓迎されそうです。

ほかにも、音楽再生一時停止した際に自動的に外音取り込み機能をONにする「ワンタッチ会話モード」や、マルチポイント接続時の「先勝ち」「後勝ち」をユーザーが選択できる機能など、日常生活で活用できる新機能も多数搭載されました。「EAH-AZ80」から搭載された3台のデバイスで同時待ち受けができる「3台マルチポイント接続」もそうですが、こういった便利かつ実用的な機能をしっかり実装してくるところは国内屈指の総合家電メーカーであるパナソニックならではと言えるでしょう。

【まとめ】Technics渾身の高音質完全ワイヤレスイヤホン

ここまでTechnicsブランドの完全ワイヤレスイヤホンの新モデル「EAH-AZ100」の特徴を詳しく見てきましたが、Technicsが最も得意とする音質はもちろんのこと、それ以外の部分も全方位でアップデートし、フラッグシップモデルにふさわしい1台に仕上がっていました。

「EAH-AZ100」の市場想定価格39,600円前後。完全ワイヤレスイヤホンとしてはやや高価な部類ですが、「EAH-AZ80」も市場想定価格は36,600円前後でしたし、「EAH-AZ80」からさらに高音質になり、バッテリー性能も伸びて装着感も向上、通話性能やノイズキャンセリング機能など機能面のアップデートを考えればむしろお手ごろ価格で十分納得できるのではないかと思います。Technics渾身の高音質完全ワイヤレスイヤホン、気になる人はその完成度の高さをぜひ体験してみてください。

Technics「EAH-AZ100」の主要スペック
タイプ:カナル型
再生時間(イヤホン単体):最大7.0時間(ノイズキャンセリング機能オン、LDACコーデック接続時)
再生時間(充電ケース併用):最大18時間(ノイズキャンセリング機能オン、LDACコーデック接続時)
Bluetoothバージョン:5.3
対応コーデック:SBC、AAC、LDAC、LC3
防水対応:○(IPX4相当、イヤホン本体のみ)
ノイズキャンセリング機能:○
マルチポイント対応:○(SBC、AACコーデック接続の場合は最大3台まで、LDACコーデック接続の場合は最大2台まで)
カラーバリエーション:ブラックシルバー

遠山俊介(編集部)
Writer / Editor
遠山俊介(編集部)
2008年カカクコムに入社、AV家電とガジェット系の記事を主に担当。ポータブルオーディオ沼にはまり、家にあるイヤホン・ヘッドホンコレクションは100オーバーに。最近はゲーム好きが高じて、ゲーミングヘッドセットにも手を出している。家電製品総合アドバイザー資格所有。
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