概要
男と女、推しとファン──違いすらも受け入れて慈しみ合う2人だったが、突きつけられる社会の正しさに花緒の傷は呑まれていき……。
逃れられない苦悩の先で、再び手を取り合うには。愛や正しさでは救われない2人が、異なる傷を抱えたまま共に生きる道を探し彷徨う物語。
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たぶん、わたしたちはとても暗くて不確かなところに向かおうとしている。
なのにどうして、つながっていると強く感じる。
伸ばした手の先すら見えない暗闇でも、あなたがそこにいるという実感が、鼓動よりも近くにある。 (本文より)
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!巧みな心理戦のぶつかり合いに引き込まれる大人の青春物語
幼いころ、とある事件の被害者となり心にトラウマを負った女性「花緒」。
唯一の心の支えは2.5次元俳優である推しの存在。
だが彼は引退してしまった。
退職し、地元に帰ってきた花緒は普通のアパートで一人暮らしを始める。
だが隣の部屋の住人こそ、引退宣言をして一般人に戻った元「推し」であった――
隣の家に推しが住んでいるというと、
一見ご都合主義のラブコメを思い浮かべるかもしれませんが、全く違います。
心に傷を負った者同士、他人の視線に対して過剰に反応しながら、
少しずつ距離を縮めていきます。
描かれるのは恋愛ではなく再生の物語かもしれません。
傷ついた者同士の邂逅はヒリヒリとした心理戦にも…続きを読む - ★★★ Excellent!!!それに出会ってしまえば、もう今までと同じ人生は歩めない
引っ越したら隣の部屋に推しが住んでいた!
妄想が現実になったようなシチュエーション。しかし、この作品が描くのは推しとの夢に満ちたキラキラライフではありません。
主人公の花緒は、幼い頃にある被害に遭い、心に傷を負っています。それは自分にとっての人生というもの・世界の見え方感じ方というものを決定的に変え、今までと同じようには生きられなくするものでした。
繊細な心理描写により、様々な登場人物との交流や、ゆるやかに変化する関係、そして、花緒というひとりの人間の人生が丁寧に描かれます。
彼女の過去・現在・過程。どうしてそう感じたのか、どうしてそう形作られたのか。
実生活ではあまり触れる機会のないよう…続きを読む - ★★★ Excellent!!!どうしたらこんな
表現が思い浮かぶんだろう、というのが読み始めて最初に思った印象でした!
1章を読み終えて区切りが良いためのレビュー投稿となります!
詩的な表現と言っていいのかわかりませんが、言葉で読み手を惹きこむという感覚を覚える素敵であり怖い作品でした!
とても丁寧・・・繊細と言ってもよい導入から始まるのですが、用意されている話の締めの言葉、捻り出したのではなく自然と息をはくように語られた言葉で一気に物語に意識をもっていかれました。
言葉の選択が素敵な物語なのですが、その言葉に惹きつけられる分、『重い』展開の胸の締め付け具合も比例しているので注意が必要ということだけは伝えておきたいです!
また、全体的に…続きを読む