概要
綺麗なお姉さんの柔らかい手を握りたかった……
――落ちこぼれた
この言葉は正しくないと思ってる。
本当の落ちこぼれというのは初めから存在を認識されないものだから。居るけど。居ない。
だけど、それは……
――這い上がれないという意味じゃない!
文字通りの世界のどん底に落ちた今、ぼくの意思で一歩進めばそれはもう前進だ。
他者にあらゆる面で劣る。
魔力を扱う素質に乏しい。
そんなちっぽけな悩みは、このどん底でなお誇り高く生きる獣を見て吹き飛んだ。
力が弱い……なら精霊の力を。
動きが劣る……なら獣に学ぼう。
魔術が使えない……なら武器を使おう。
ひとりで生き抜ける力なんて、欲張りなことは言わない。
ひとりでダメなら誰かの力を借りて一緒に這い上がる!
これはひとより劣るぼくが精霊と獣という、ひと以外に救われる物語であり、そんなぼくが
この言葉は正しくないと思ってる。
本当の落ちこぼれというのは初めから存在を認識されないものだから。居るけど。居ない。
だけど、それは……
――這い上がれないという意味じゃない!
文字通りの世界のどん底に落ちた今、ぼくの意思で一歩進めばそれはもう前進だ。
他者にあらゆる面で劣る。
魔力を扱う素質に乏しい。
そんなちっぽけな悩みは、このどん底でなお誇り高く生きる獣を見て吹き飛んだ。
力が弱い……なら精霊の力を。
動きが劣る……なら獣に学ぼう。
魔術が使えない……なら武器を使おう。
ひとりで生き抜ける力なんて、欲張りなことは言わない。
ひとりでダメなら誰かの力を借りて一緒に這い上がる!
これはひとより劣るぼくが精霊と獣という、ひと以外に救われる物語であり、そんなぼくが
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!物語は、他者を認識し、認識されることから始まる。
落ちこぼれは、認識すらされないんだ――。
何も持たず、何もかも失った六歳の少年は、崖のどん底で、魔獣に出会う。
食べられると思っていた少年だが、魔獣は少年を食べようとしなかった。
「あのすごい魔獣は、ぼくをエサとしてじゃなくて、『ぼく』として見たんだ」
「ぼくも頑張ればあんな風になれるのかな……」
少年は決意する。生き残ることを。
どん底から、這い上がることを。
過酷な世界で見つける、美しい生と死の姿。
言葉や常識が通じない、凶暴で慈悲深い生き物たちは、弱肉強食の世界で、それだけではないことを証明する。
生き物は、存在を認識することで生きることが出来る。
出会いとは、存在を認識…続きを読む - ★★★ Excellent!!!出会いは奇跡の呼び水だ。曲げない心で這い上がれ!
ワームの襲撃を受け、崖下に一人で落ちてしまった少年。
幼く突出した力もない彼が、様々な困難を義弟たちと力を合わせ、乗り越えていくお話です。
とても読みやすい一人称で書かれており、少年の幼さを表す振り仮名への工夫も為されています。
少年は、力は無くとも、前向きに頑張ろうとする心根が素晴らしく。そこにある物でなんとかしようとし、生きて崖上に戻るという目的のために踏ん張れる根性もすごいのです。感心しつつ、ぐっと力を込めて応援したくなる少年です。
特に推したいのが、彼が崖下で出会い、色々あって共に行動することになる義弟たち! これがまた、嬉しい予想外の感情を与えてくれます。一言で言えば、超可愛…続きを読む