概要
時代は幕末。
人の心を食らって生きる兇魂が世を彷徨う。
兇魂が人の体を蝕むと人は正気を失い、乱心した化け物と化していた。
古より帝に仕えし「魂喰」が兇魂を喰って祓う京の町。
その地へ新たに旗を上げたのが烏合之衆、新選組。
公武合体の名の下、治安維持の為に帝に仕える魂喰と幕府預りの新選組が手を組む。
めまぐるしく時世が動く中、新選組の藤堂平助と魂喰の貂が出会う。
藤堂は刀で世を変えたいと意気込む青年であり、貂は人を斬ることが出来ないと悩む青年であった。
そんな二人がお互いを知っていくと、思いを尊重しあえる友人へと関係は姿を変える。
新選組は尊王攘夷をかかげ、己の魂の存亡をかけた争いへと身を投じていく。そして魂喰は帝を守らんとし、歯向かう者たちとの因縁の戦いへと挑んでいく。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!散り際に見る命の煌きは、儚くて力強い。
多くの人に聴き馴染みのある「新選組」の歴史に、人の死後に姿を現す化け物を祓う「魂喰」を掛け合わせた歴史ファンタジー作品です。
取り繕っても仕方ないので正直に言うと、私は歴史に全く明るくないです。名前や名称は聞いた事があるけど、それがどういう内容で誰が何を成したのかもわからない。それでも最後まで読み進められたのは、この作品の中で多くの生き様を垣間見ることができたからです。
命よりも大義のために刹那を生きた男たちと、名を残さず人の行く末を見守り続けた者たち。彼らを通して見る幕末の世界はすごく窮屈で、息苦しくて、やるせなくて。どうしてこうなってしまうのだろう、どうしてこんな選択しかできないのだろ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!京乱の夜を駆ける二人の友情
幕末の京都を舞台に、幕府側の『新選組』と帝につく妖たちの集団『魂喰』が手を組んで今日の街を守るところから始まる。
幕末の男たちの生き様は、やはり熱く、強く、そして、儚い。
この話の主人公である藤堂平助も、基本的には読者よりの感性でいてくれて、私達に寄り添ってくれる。しかし、彼もまた幕末を駆け抜ける男だ。
勿論、他の新選組も周りの人達も、幕末の世を生きる人達として出てくる。
何度だって「何であなた達はそうなんだ!」と叫ばせ、何度でも「だからこそ彼らなのだ」と読者を納得させるのは、作者の手腕故だろう。
また、今回の話はただの事実ではなく、魂喰というファンタジー要素もあり、それが一層作品を面…続きを読む - ★★★ Excellent!!!幕末を舞台にした『情』の物語
人を乱心させ、京では実体化した化け物にまでなる兇魂。
それを祓うは『魂喰』と呼ばれる集団。
そして、京の治安を守るために組織された言わずと知れた『新撰組』。
この二つが手を組んで、京の街の治安のために働くのが大筋なのだが、きな臭い事件の連続。
暗い策謀もあり、潔い決意もあり、悲しい結末もある。
歴史として最終的に『新撰組』がどうなるのか知っているだけに、属する人々に思いを馳せずにはいられない。
しかし、物語の中の彼らは生き生きと描かれる。
そして、冷静に物怖じせずに剣を振るい、命を絶つ。
兇魂は化け物であるが、新選組もまた残酷なまでに人を殺し、時には拷問まで行う。
彼らに対立する者たち…続きを読む - ★★★ Excellent!!!凍玻璃の先に見える黎明──
時は幕末。
動乱と革新の時代を駆け抜けた武士たちがいる。
彼らの義心を現す澄んだガラス玉。
その先に見える夜明けが、新しい時代を告げる。
時は来た。色褪せることのない浪漫を今、貴方に──
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素敵な作品を拝読いたしました。
新撰組という刹那に生きた彼らを、丁寧にも妖という斬新な視点で書き上げられていて、新撰組好きとしても嬉しかったですし、改めて彼らの勇姿に胸を打たれました。
実際に存在した人物をキャラに落とす作業は並々でなく大変だと思いますが、
それ故に作者さんの強い意志と想いが伝わる作品だと感じました!
私は狐火さんの飄々としながらも義に厚い性格がとても好きです。
一人一人に野望や…続きを読む