本作は、長編にしようというものではないと思います。ただ、拝読していて、直ぐに長編への階(きざはし)となるものを含めていると感じとられました。一つ一つの言の葉を紡ぐ作者様の腕と心がきらりと光った1000文字丁度の短編です。内容は、連弾譜とタイトルにあります。おそらくは、ピアノの師弟のものと思われます。どこかで獅子が現れたような気迫さえ感じました。最初から最後まで、美しい曲は止まることを知らずに流れて行きます。是非、この調べを聴きに、いえ、読みにいらしてください。
師と弟子の話。1000文字短編だけに無駄な言葉がなくそのすべてが熱量をもって降り注ぐ。その言葉は一つ一つが強く心を揺さぶって射抜いてくる。短い時間だが確かな想いを受け取って胸が熱くなった。見事な短編小説。
「1000文字縛りリターンズ」企画作品。以前に開催された「1000文字縛り」企画に参加されている作者さまの「八小節」を先にお読みいただけるといいかもしれません。本作はこちらと対になる作品となっています。同一事象をお互いの目線で奏でる1000文字の世界観。千の文字でこれほどまでに耽美でエモーショナルな物語が綴れるのかと感嘆のため息です。美しい1000文字の旋律を堪能してください。
だれか主催者様へ連絡入れろし(´・ω・`)ごほん、もとい。たった千文字。否、一話の文字数も綺麗に整えられたうえでこの壮大な物語。人が、人として生まれた義務。残す事、伝える事、繋げる事。そんな考え方の出来る大人ですら揺れるジョーカー。……それが恋。二つのテーマを黒鍵と白鍵になぞらえるかのよう。人生そのものが、鍵盤の旋律にのって読者の胸に響き続ける。素敵な御作品を堪能いたしました。
たった1000文字、ジャスト1000文字でどこまでできるかを問う企画「千文字縛りチャレンジリターンズ」。これほどまで練り込まれ、奥行きある世界観が余すところなく表現された作品は他にないであろう。会話文のない回想の中、感情むき出しの弟子が、そのすべてを理解する師匠に厳しくも暖かい言葉で促され、導かれる展開、その師弟関係のベクトルが突如として狂いだす。そんな転の一文から収束までの流れが凄まじく美しく、見事としか形容しようがないのです。
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