概要
カネは便利。カネは身を助ける。カネ、カネは……カネってなんだ?
大都心の一歩手前、少しセレブなベッドタウンの四軒寺市。市内の大学に通う青山遙は、春休みのある日、道に迷った住宅街で古びた洋館を発見する。主人は、金銭絡みの事件を専門に扱う「お金の探偵」を名乗る、軟派で胡散臭い赤石哉汰という男。警戒して一度はその場を去る遙であったが、彼女の周囲で起こる事件のために、彼に依頼を持ち込むことになる……
身近だけれど、忘れてしまいがち。カネに始まる謎をめぐる連作短編ミステリ。
身近だけれど、忘れてしまいがち。カネに始まる謎をめぐる連作短編ミステリ。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!身近だけど奥深いおカネの謎
お金にまつわる謎をテーマにした日常系の連作ミステリーです。主人公の大学生・遙と謎の探偵・赤石を中心に、遙の友人や赤石の兄・征吾といった、魅力的なキャラクターがあふれています。文章も軽快でとても読みやすく、また各話もちょうどよい長さのため、テンポよく読み進めることができました。
お金は私たちの生活と切っても切り離せないだけに、お金の謎はそのひとの人生に関する謎でもあるように思います。謎めいたお金の探偵である赤石自身が、まさにそのことを体現しているようです。そのために、お金の謎を解いているはずが、それに関わるひとの暮らしや心情までがあぶり出されることにもつながってきて、非常にうまい作品設定…続きを読む