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ジャンルとは何だろう?(長文)

たまにですが真面目な話をします。

現在、WIZARDWARE魔法戦記「ソフトウェア魔法VS.影の王」をカクヨムコン6の「どんでん返し部門」に応募しています。本作はなぜかSFカテゴリーに登録しています。タイトルからは違和感ありませんが、読み始めると普通のファンタジーじゃないのか、という疑問を持たれる方が結構いらっしゃいます。何より作者自身がファンタジージャンルに登録し直すか、と迷うことさえあります。

理由は単純明快。出てくる単語がドラゴンクエスト系のファンタジー物だからです。舞台は中世かそれ以前の設定で、機械が登場しない文明未発達の世界観です。

他方で、物語は主人公が特別な力を持った血統ではなく、修行して特殊な力を持つわけでもありません。最初から持っている粗末な武器をソフトウェアプログラミングの理屈でひたすら拡張するというものです。実験をしながら試行錯誤し、強大な力を組み上げます。

正直、面倒くさい物語と思われる方もいると思います。ところが、そこがSFの面白さでもあります。SFには科学的な裏づけのないご都合主義は存在しません。プログラミングはどちらかというと科学というより数学寄りの分野です。(離散)数学の裏づけが本作の特徴でもあります。

本作はSF好きの読者には好まれると思います。一方で王道ファンタジー好きの方には面倒な物語だと思います。多くの読者に満足してもらうため、SFジャンルに登録しているというわけです。

堂々とSFの舞台を使い、そこでソフトウェアを語れば何も問題ないのですが、複雑な設定がより複雑になります。機械を組み合わせて数学的な話をしたら、これはもう一部の読者しか受け付けません。

例えば基本的な算数で「分数」を教える際にホールケーキを用意すると思います。複数の飴玉は用意しません。数学を噛み砕いて表現するには、デジタルよりアナログなものの方がわかりやすいことは教科書などを見ても明らかです。わかりやすくするために本作では人間と魔法、文明未発達という世界観を採用しています。特にドラゴンクエスト風な雰囲気はターゲットの読者にとって親しみを感じさせるでしょう。

蛇足になりますが、登場する単語がSFならばジャンルはSFという考え方に私は疑問を持ちます。ロボットが登場しても内容が学園青春物ならば、学園青春ストーリーです。サイバーパンクやスチームパンクが舞台でも内容が冒険物ならば立派な冒険物です。冒険物ならばむしろファンタジーに近いでしょう。舞台が異世界でもそこで機械を開発すればSFです。政治に言及すれば政治物ということになります。

読者が求めるのは物語だと思います。表面に見える単語のみでジャンル分けしては、想像していたものと異なる内容と物語にがっかりする方が出てくるはずです。昨今SFが不人気だと言われますが、物語ではなく単語に親近感がなくなったからではないでしょうか。もうアンドロイドと言ってもブレードランナーを想起する年代はおじさんです。(私もそうです。)若い世代はスマートフォンのOSしかイメージしないでしょう。窓口を広げる意味でも、SFらしくない単語を用いたSF小説が出てきて良いと思います。

私は挑戦してみましたが、どうやら失敗に終わった気が否めません。小学生がプログラミングのアルゴリズムを教わるようになった時代、もっと実践的な技術を表現した小説は受けるだろうと勝手に思い込んでいました。

物語に引き込むため、最初に巨大な敵という出題を課して読者と問題を考えていくというミステリー調のストーリーラインを用意しましたが、あまり反応はかんばしくありません。ミステリーだから当然どんでん返しもありますが、カクヨムコン6の当該部門は混沌とした状態です。今後、私があきらめたときは、同じような活動をしている他の方を見つけて応援していこうと考えています。

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