広報委員会に属するコミュニケーション推進専門委員会は、2003年の正式発足以来、外部との対話を積極的にすすめています。近年の活動成果について、深澤純一委員長(花王株式会社 生活者コミュニケーションセンター 部長)からお話を伺いました。
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今は技術開発の進歩によって、大変効率的に洗浄できて、より便利な洗剤が、次々につくられています。その一方で、洗剤の成分について誤った情報を見聞きし誤解したまま、使用を控えている方々が少なからずいらっしゃいます。正しい情報を知る機会がないばかりに、技術的進歩の恩恵をうけられないことは、本当に残念です。洗剤は、表示に従って使えば、環境影響や安全性に充分配慮されています。このことを理解していただくため、委員会では、科学を基本にした情報をわかりやすくお伝えする努力をしています。
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■要綱廃止に向け、前向きな対話を継続しています
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一般家庭で合成洗剤の使用が主流となった現在、下水処理場では成分のほとんどが分解除去されることもわかっています。しかし、全国の自治体には、“洗剤を使わないで石けんを使うこと”を定めた、80年代以前の条例や要綱をそのままにしているケースが多々あります。規制のある行政施設では洗剤を使うことができないので、要綱を廃止したいと考える自治体が増えているのも事実です。
委員会では2005年以降重点的に、実態にそぐわない条例や要綱を持つ自治体に対して、見直しを求めてきました。それが最近では、自治体側から「講演に来て洗剤の有用性を説明してほしい」と要望されることもあります。自治体との交流が、意見対立の解消が主な目的だったころから、今はより前向きなものに変わってきたといえます。今後も、自治体への情報提供や、対話を継続していきます。
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■正しい知識を知る機会を増やす、そのための活動
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最近始めた活動に、学校の先生が集まる研修会などでの講演があります。将来にわたり、誤った情報にまどわされることなく洗剤を使っていただくには、子供の頃から正しい知識を身につけてもらうことが何よりも大切です。そのため、先生方から子供達へと、洗剤に関する情報が正しく伝わる仕組みをつくらなくてはなりません。
学校の先生であっても、“石けんと洗剤はどちらも界面活性剤であり、基本構造は同じ”という事実をご存知なく、界面活性剤への不安を口にする方もおられます。そこでまず、界面活性剤は水と油の両方と仲良くできる単純な構造だという点から理解してもらい、その働きがわかる実験をして、油汚れが水中で引き剥がされる様子などを見ていただきます。界面活性剤は、家庭科の洗濯の学習項目にも出てきますが、どうも良い教材資料が不足しているようです。子供向けの実験を紹介したところ、大変インパクトがあったようで、先生方からは「早速、授業で使いたい」と好評でした。その場で受けた質問や相談も取り入れ、回を重ねるごとに内容も伝わりやすいものになっています。
講演会では、すすぎ1回洗剤が節水・節電に役立つことや、容器の樹脂量の削減など、環境負荷を低減する取り組みに関してもお話しします。この活動を続けて、子供達に洗剤についての正しい理解が伝えられていくことを期待しています。 |
■紙面やWEBへの情報掲載は他の委員会と連携して |
洗剤に関する誤った情報は、一部の企業が界面活性剤に関して不安を与える販売手法を行なったり、メディアが科学的な根拠を検証することなく情報を発信すると、生まれることがあります。間違った記事が繰り返し書かれてしまう理由には、メディアの担当者が次々と替わり知識が引き継がれない問題もあります。これには、そのつど対応するだけでなく、やはり情報伝達をしていく仕組みをつくっていくほかありません。
また、過去の資料のチェックや、改訂も忘れずに行なう必要があります。当委員会では、広報委員会や編集専門委員会とも連携し、冊子「暮らしの中の石けん・洗剤」や、ホームページの内容作成などに協力しています。特にホームページは、より多くの方に、気軽に見ていただくことができます。9月から始めた「石けん・洗剤Q&A」ページの掲載にあたっては、時代に即した内容に改訂しました。
今後も、皆さんに洗剤を安心して使っていただくうえで、役に立つ知識などを、広く伝える仕組みを構築していきます。講演・紙面・WEBなどを効果的に組み合わせ、わかりやすいコミュニケーションを展開していきたいと考えています。
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