多くの人が行き交う交差点で八潮市と同じような事故が起きたら・・・。全くあり得ない話ではない(Brian MerrillによるPixabayからの画像)

 1月28日の朝9時50分頃、埼玉県八潮市で突然道路が陥没し、トラックが転落してしまった事故の発生は周知と思います。

 では、詳しい場所はどうでしょう?

 現場は八潮市役所からつくばエクスプレス「八潮駅」方向に少し南下した県道松戸草加線と潮止通り、浄水場通りが交差する「中央1丁目」変形6差路交差点

 交差点の中央部分に突然、直径約5メートル、深さ約10メートル穴が開く陥没が生じました。

「穴の深さ約10メートル」というのは、大まかに言って「4、5階建てのマンション」の高さと同程度、地下がえぐれていることになります。

 アスファルト面の崩落直後(約4秒後)、そんなことは夢にも想像しないトラックが側道から県道方向斜めに左折して交差点進入。

 そのまま穴に転落して行く様子を偶然収めた動画がネット上で確認できます。

 動画とグーグル・マップのストリート・ビューを見比べてみると、トラックは「浄水場通り」を八潮市役所を背に進み、交差点で県道松戸・草加線を左折して新中川橋方向に進もうとしていたらしいことが分かります。

 そこで、予想もしない落とし穴が開いていて、いきなり団地の屋上からダイビングするのと同じ高さを、大型トラックが10メートル落下して行ったことになる。

 ただ、動画をよく見ると、当初は途中で引っかかっており、業務用の大型トラック最後部は、まだ路上に突き出て見えています。

 つまり、地下土壌は崩落の途中で、不安定な斜面に引っ掛かっていたことになる。

 その段階で 高度なレンジャーなどが釣り上げていれば、確実に救命できたと察しがつきます。

 消防署のレスキュー隊で手に負えなければ、自衛隊に応援を求めて、より多くの機材、可能性を生かし、ヘリコプターなど地盤に負担をかけない迅速な救出法も検討できたのではないか?

 後述する福島のケースなど考えても、地域の消防だけで対処したのが正解だったか、いまとなっては大いに疑問が残ります。

 現実には、滲出する下水で地盤が崩れ、ずるずると深みにはまって行ったその間「前例のない事態」に直面して、救命隊は適切な行動を採れていなかった可能性が非常に高い。

 冒頭にこれを指摘しておきましょう。これだけですでに、とんでもない大事故です。

 ところが、本稿を記している2月4日時点で「事故発生から1週間」が経過、いまだにトラックを運転していた男性(74)は救助されていない。

 事故が起きたのが朝10時前、その後、午後1時頃までは会話ができていたそうです。

 ところが、その後、やり取りができなくなり「行方不明」となってしまった。

 それは当然でしょう。ただでさえこの寒い真冬、突然できた落とし穴にはまり、5階建団地の屋上ではないにしろ、大型トラックの車長程度ですから優に5~6メートル、2階建ての屋上からトラックがダイビングしたに等しい事故に遭ったのは74歳の男性です。

 間違いなく怪我もしているはずです。それなのに、3時間近く手当もなく、飲まず食わずで、音声やり取りができていたことの方が奇跡的だし、尊いことです。

 ここまで理不尽な「事故」、車を運転する人、乗る人であれば誰しも「冗談ではない」という話で、私も背筋が寒くならざるを得ません。

 今回はトラックが転落しましたが、乗用車、タクシー、乗り合いバス、幼稚園や介護施設の送迎バスなど、どんな車両が被害に遭う可能性も等しくあるわけですから、誰しも他人事ではあり得ません。