タレントの中居正広氏が芸能界引退を発表した。中居氏がフジテレビの女性社員に対して意に沿わない性的行為を行ったとされるのは2023年6月。このタイミングは、ジャニーズ性加害問題がまさに大きくなり始めた、藤島ジュリー景子ジャニーズ事務所前社長が謝罪動画を出した1カ月後だった。
性加害問題でジャニーズ事務所と戦い続けてきた人物は今何を思うのか。ジャニーズ性加害問題当事者の会の元代表、平本淳也氏に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト)
──中居正広さんが突然、芸能界からの引退を公表しました。
平本淳也氏(以下、平本):ついに来たかという感じですね。被害を受けて傷ついた女性がいるということですから、中居はそのことをよく認識して責任を取らなければなりません。その上で、彼は争うことをせず、この上ない責任の取り方をしたと思います。
日本の芸能界における宝と言ったら言い過ぎかもしれないけれど、少なくとも中居はジャニーズ史上において最高峰に位置するポジションまでいった、MC、メインキャスター、タレントです。
やや追放されてしまったという印象もありますが、あのように身を引いたということは評価すべきことだと思います。決して逃げたのではなく、他に取れる最善の方法がなかったのでしょう。同時に、「ジャニーズ史上、最大の逸材を失ってしまったな」という残念な思いがあります。
中居に代わる存在が今後そうそう出てくることはまずあり得ません。そもそもSMAP級の国民的アイドルグループは二度と出てこないでしょう。Snow ManがSMAP級の存在になるか。嵐の櫻井翔が中居級のMCになるか。それは難しいと言わざるを得ません。
中居前後のジャニーズのスターたちで司会業に挑戦した人はたくさんいたし、事務所も積極的にそうした才能を育てようとしたけれど、あれほど大きな存在にはなりませんでした。それだけの地位を実力で勝ち取ったのは彼が初めてでした。
さんまさんやダウンタウン、とんねるずなどと渡り合えるのは、ジャニーズでは中居しかいません。非常に広い世代から支持を得てきた中居正広というブランドを芸能界が失った。その意味の大きさを、だんだんみんな感じ始めると思いますよ。
──昨年12月19日に女性セブンが性加害疑惑を報じた後、週刊文春が被害者とされる女性を取材し、事の経緯をより詳細に報じました。
平本:小学館から出ている雑誌(女性セブン)からこの報道が最初に出たということにまず驚き、時代が変わったと感じました。