国債市場で長期金利の指標である新発10年債の利回りが1%を超えた(写真:共同通信社)

2024年も残すところあとわずかになりました。今年、注目されたニュースや出来事についてJBpressでよく読まれた記事をもう一度お届けします。今回は3月の日本銀行によるマイナス金利政策解除を受けて、「正常化」に向かい始めた金融政策が及ぼす影響に関する記事です。(初出:2024年5月28日)※内容は掲載当時のものです。

 マイナス金利解除を受けて、大手都市銀行やゆうちょ銀行などは、預貯金の金利を年0.001%から年0.02%に引き上げたのは記憶に新しいですね。

 金利が20倍になったと言われると、なんだか凄く感じますが、まだ年0.02%という水準です。100万円を1年間預けてもらえる利息が10円から200円になっただけです。

 とはいえ、定期預金の金利は年0.2〜0.4%水準の金融機関も増えてきているので、定期預金ニーズは増えてきそうです。

 でも、そんな定期預金よりも、金利が高く、今後の金利上昇にも備えられる、日本一安全な資産があると聞いたら、がぜん興味が出てきませんか?

 今回は、金利上昇で大注目の個人向け国債、中でも「変動10年国債」にフォーカスして解説していきます。

(頼藤 太希:Money&You代表取締役/マネーコンサルタント)

個人向け国債ってどんな商品?

 債券は、国、地方自治体、企業などがお金を借りるために発行する借用証書のようなものです。国が発行している債券を「国債」と呼びますが、国債の中で個人でも買いやすくした金融商品が「個人向け国債」です。

 個人向け国債は毎月発売されており、最低購入価格1万円から、1万円単位で購入できます。半年に1度利息が受け取れ、満期になると貸したお金が返ってきます。

 個人向け国債には「固定3年」「固定5年」「変動10年」の3つのタイプがあります。

【個人向け国債の3つのタイプ】

出所:『1日1分読むだけで身につくお金大全100改訂版』(頼藤太希著、自由国民社)より
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「固定」は購入時点の利率で満期まで変わらずに利息がもらえること、「変動」は半年に1度利率が見直されて利息がもらえることを表します。

 3年・5年・10年という年数は、お金を貸す期間(=満期になるまでの期間)のことです。

 なお、満期前でも、発行後1年以上経過すれば中途換金ができます。その際、直近2回の利息にあたる金額が中途換金額から差し引かれますが、元本割れは絶対にしません。

 個人向け国債の利率は、最低でも年0.05%が保証されています。2022年中頃まで、個人向け国債の金利は3タイプとも0.05%の下限で設定されていました。

 しかし、変動10年は2022年8月、固定5年は2022年12月から、固定3年は2023年11月から金利が上昇してきています。2024年5月の募集分に関しては、変動10年の金利は年0.57%、固定5年の金利は年0.45%、固定3年の金利は年0.29%まで上昇しています。