Boomiは11月18日、日本での成長戦略について説明会を開催した。同日、同社は日本のカントリーゼネラルマネージャーに堀和紀氏が就任したことも発表している。
Boomi 日本カントリーゼネラルマネージャーの堀和紀氏(左)とAPJ担当バイスプレジデントのAjit Melarkode氏
2000年に創業したBoomiは、システム連携を実現するiPaaS(Integration Platform as a Service)分野に特化した製品を提供している。2010年にはDell Technologiesの傘下に入り、2017年に日本進出を果たした。
カントリーゼネラルマネージャーに就任した堀氏は、Boomi入社前に25年間にわたって日本マイクロソフトでサービス部門やエンタープライズ部門の要職を務めた人物だ。また、NECにも5年以上在籍し、システムズエンジニアとしてメインフレームやオープンシステムの開発に従事した経験も持つ。
堀氏はBoomiの企業ミッションについて、「Integrated Experience(統合された体験)の実現に向け、組織で求められているものを瞬時につないでデータを提供し、顧客にメリットをもたらすことだ」と語る。このミッションを達成するため、同社では「User Engagement(ユーザーとの結びつき)」「Pervasive Connectivity(広範囲な接続性)」「Data Readiness(データ準備)」という3つのカテゴリーで6つの機能を提供していると堀氏は説明する。
同社の製品は、既に全世界で1万2000社が採用し、97%が継続利用しているという。国内でも、東京電力と中部電力から分離独立して設立したJERAが、事業統合後のデジタルトランスフォーメーション(DX)強化に向けBoomiを採用。東京電力と中部電力から引き継いだ複雑なレガシーシステムやインフラの統合と、基幹業務システムのクラウドへの移行およびSAPのデータ連携を実現した。
Boomiのユーザー企業は1万2000社に上る
この事例について堀氏は、「Boomiを採用したことで、2カ月で数十の重要なインターフェースの移行が完了した。他のiPaaSツールと比べ、開発時間が3分の1になったという意見もあったほか、簡単なインターフェースのため、SAPに習熟していない人でもインターフェースの開発に携わることができるようになった」と述べている。
もちろん、DellとEMCの大型統合の際にもBoomiが力を発揮した。50以上のシステムを2年で統合し、統合コストを75%削減したほか、システム統合基盤を標準化して集中管理を実現。営業データの統合や可視化によって売上増加につながったとしている。
Boomi APJ担当バイスプレジデントのAjit Melarkode氏は、日本市場が他の地域と異なる点について、「日本では多くの企業がDXに取り組んでいる途中だが、レガシーシステムを抱えており、それが重要な位置付けを占めている。また、パートナーエコシステムが重要な点も他の地域とは違う」と語る。グローバル化が進み、多くの海外企業が日本に進出する中で、「日本企業はグローバル化に伴いDXを推進するようになった。ただし、日本でDXを成功させるには、新システムと旧システム、クラウドとレガシーシステム、国内のシステムと海外のシステムなど、さまざまなシステムを統合しなければならない」としている。
Boomiの製品群
こうした状況下において、堀氏は日本での成長戦略を、販売パートナー戦略、マーケティング戦略、製品・サービス戦略、人員戦略の4つに分けて説明する。
まず販売パートナー戦略では、Dell Technologiesとのシナジーを最大化し、DellのパートナーにもBoomiを取り扱ってもらうよう働きかけていくほか、Boomi自らも販売パートナーおよびデリバリーパートナーを拡充してパートナーエコシステムを強化する。また、既にDellのハードウェアとのバンドルパッケージを展開しているが、今後もこうしたパッケージでの製品展開を推進するほか、ソリューションやコンサルティングとのバンドルも近日中にリリースする予定だという。さらには、Dell製品のみならず、他社のソリューションにBoomiを組み込むOEM化も進めるとしている。
マーケティングでもDell Technologiesと連携し、日本市場におけるBoomiの知名度向上を目指すほか、事例や資料などのローカライゼーションを進め、日本語での情報を拡充する。また、日本のパートナーとの共催イベントの実施や、グローバルにおけるテクノロジーアライアンスの国内での立ち上げにも取り組むとしている。
シンプルで直感的なBoomiのインターフェース
製品サービス戦略としては、製品やオンライントレーニング、マニュアルなどの日本語化を加速させるほか、標準コンサルティングメニューを日本語化して発表する。また、カスタマーサクセスチームを立ち上げ、既存顧客の価値を最大化するとしている。
人員戦略としては、パートナー対応要員や、日本語サポート体制を強化するという。これらの戦略について堀氏は、「2月からの新年度に向けて準備を整え、アクションを起こしていきたい」と述べている。