[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/
海外コメンタリー

マイクロソフト発のオープンソース言語「TypeScript」、生みの親が語る開発当初や背景

Liam Tung (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2020-09-28 06:30

 Microsoftによって生み出された「TypeScript」は、「JavaScript」によるフロントエンドアプリケーションの開発効率を向上させるために同言語に型システムを追加した言語であり、オープンソース化されている。


TypeScriptの共同創案者Anders Hejlsberg氏:「Linuxは『Windows』にとって脅威だ(と捉えられていた)。しかし、今ではまったく逆の状況になっている」
提供:Microsoft/YouTube

 今やTypeScriptはウェブアプリ開発時に最初に検討される言語となっているが、開発が始まった2010年頃は、まだオープンソースに恐れを抱いていたMicrosoft文化のなかで、ゆっくりと歩を進めていく必要があった。

 TypeScriptの共同創案者であり、デンマークのソフトウェアエンジニアであるとともにMicrosoftのテクニカルフェローも務めているAnders Hejlsberg氏は米ZDNetに対して、Steve Ballmer氏が同社の最高経営責任者(CEO)だった2010年に、JavaScript開発者の心をつかむ唯一の道はオープンソース戦略だという決断をチームが下した際のことを語ってくれた。

 Ballmer氏は2001年に、LinuxがMicrosoftの知的財産すべてを脅かす「ガン」だと発言しており、Microsoftの幹部らは2010年時点でも、オープンソースが依然として厄介な存在だと考えていた。

 Hejlsberg氏は「Linuxは『Windows』にとって脅威だ(と捉えられていた)。しかし、今ではまったく逆の状況になっている」と述べた。

 2014年にCEOの座を降りたBallmer氏はその後、自らの考えを改めている。また今日、CEOであるSatya Nadella氏の下でクラウドに注力しているMicrosoftは、オープンソースへの愛を示すとともに、オープンソースプロジェクトに対して無料アカウントをも提供するコードリポジトリーGitHubを傘下に収めている

 Microsoftの主なオープンソースプロジェクトには、人気のコードエディター「Visual Studio Code」(VS Code)や、「.NET Core」、そして本記事で扱っているTypeScriptなどがある。TypeScriptは、JavaScriptに型システムを搭載したスーパーセット言語であり、コンパイルによってJavaScriptのソースコードが出力されるようになっている。

 2012年に公式リリースされたTypeScriptはその後、ブラウザー上で動作するアプリケーションとしてフロントエンド開発に欠かせない言語となり、SlackやAirbnb、そしてもちろんMicrosoftによって採用された。TypeScriptは今や、JavaやJavaScript、Pythonとともに、プログラミング言語のトップ10にしっかり食い込んでいる。

 とは言うものの2010年当時、Hejlsberg氏はMicrosoft本社に対してTypeScriptをオープンソースプロジェクトとして売り込むことの大変さに気付いていた。TypeScriptがこの当時から間もなく10年となる中、Hejlsberg氏はMicrosoftがいかにオープンソースを恐れていたのかを振り返った。

 同氏は米ZDNetに「(TypeScriptは)今年のクリスマスで10年になる」と述べ、「TypeScriptの開発は実際のところ、『JavaScriptよりも少しばかり優れたものを作れるかどうか試してみよう』という単なるアイデアがきっかけだった」と続けた。

 「われわれはちょっとしたプロトタイプを作成し、かたちにしてみた。とはいえ、JavaScriptコミュニティーを魅了する唯一の方法は、オープンソース化だという点は明確に認識してもいた。ただ当時は、そうした会話をMicrosoft社内でするというのは、今とはまったく違う話だった」(Hejlsberg氏)

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  2. ビジネスアプリケーション

    新規アポ率が従来の20倍になった、中小企業のDX奮闘記--ツール活用と効率化がカギ

  3. ビジネスアプリケーション

    改めて知っておきたい、生成AI活用が期待される業務と3つのリスク

  4. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    カスタマーサポート業務で生成AIはどう使えるか、代表的な活用場面を解説

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]