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R136c

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
 R136c
一番右の写真において、右中央部に位置する星の集団の左に見える星がR136cである。
一番右の写真において、右中央部に位置する星の集団の左に見える星がR136cである。
星座 かじき座
見かけの等級 (mv) 12.86[1]
13.39[2]
分類 ウォルフ・ライエ星
発見
発見年 1980年[3]
発見者 J.V. Feitzinger[3]
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  05h 38m 42.33s[1]
赤緯 (Dec, δ) −69° 06′ 03.27″[1]
距離 163,000 光年
(~49,970 パーセク[4]
絶対等級 (MV) -7.8[2]
物理的性質
半径 18.4 R[5]
質量 230+50
−45
M[6]
スペクトル分類 WN5h[1][2][6][5]
光度 5,263,000 L[6][注 1]
表面温度 56,000 K[5]
色指数 (B-V) 0.20[2]
年齢 ~170 万年[7]
他のカタログでの名称
BAT99 112[1], RMC 136c[1]
Template (ノート 解説) ■Project

R136cとは、かじき座散開星団であるR136に位置する恒星である。この恒星は、1980年にJ. V. FeitzingerによってR136a、R136bとともに存在が解明され、名づけられた[3]

概要

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R136cはWN5hスペクトル型のウォルフ・ライエ星であり、表面温度は56,000 Kである[5]。この恒星は太陽の230倍の質量を持ち、500万倍以上の光度を持つ[6]。この光度は、CNOサイクルという核融合反応が高密度ので行われているためである。R136cはウォルフ・ライエ星の典型的な例で、R136cは2,400 km/s以上にも及ぶ強い恒星風を放出しており[5]、年間10−5太陽質量以上の質量を失っている[7]。また、この恒星は恒星風の衝突が原因と思われるX線を放出しているため、連星系である可能性が強く疑われているが、連星系であったとしても伴星の光度は連星系全体のうち少ししかないと考えられている[5]

恒星の死

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R136cは数百万歳であるのに活発な星であるがために当初持っていた質量の相当量を既に失っている。CNOサイクルにより水素の核融合が行われているため実質的には主系列星であるが、熱対流により核融合で生成された物質が混合されて表面に出てきているため、激しい恒星風のもととなり、進化した恒星でしか見られないようなスペクトルが現れる[7]

R136cの最期は、重力崩壊より前に失う質量にもよるが、超新星へと変化する可能性もある。連星でなく、金属量が太陽に類似した恒星の最近のモデルではR136cのような質量が最大級の恒星ではIc型超新星になると考えられているが、連星では異なる結果となる可能性がある。これらの超新星のいくつかは、ガンマ線バーストを起こし、最終的にはブラックホールとなると予想されている[8]

脚注

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注釈

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  1. ^ log L=6.75 Lより106.75から算出している。

出典

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  1. ^ a b c d e f g BAT99 112 -- Wolf-Rayet Star”. CDS. 2020年4月22日閲覧。
  2. ^ a b c d Doran, E. I. et al. (2013-10). “The VLT-FLAMES Tarantula Survey. XI. A census of the hot luminous stars and their feedback in 30 Doradus”. Astronomy and Astrophysics 558: A134. arXiv:1308.3412. Bibcode2013A&A...558A.134D. doi:10.1051/0004-6361/201321824. 
  3. ^ a b c Feitzinger, J. V.; Schlosser, W.; Schmidt-Kaler, T.; Winkler, C. (1980). “The central object R 136 in the gas nebula 30 Doradus - Structure, color, mass and excitation parameter”. Astronomy and Astrophysics 84 (1–2): 50. Bibcode1980A&A....84...50F. 
  4. ^ Pietrzyński, G. et al. (2013-03). “An eclipsing-binary distance to the Large Magellanic Cloud accurate to two per cent”. ネイチャー 495 (7439): 76–79. arXiv:1303.2063. Bibcode2013Natur.495...76P. doi:10.1038/nature11878. PMID 23467166.  ※本恒星が大マゼラン雲にあることから大マゼラン雲までの距離≒R136cの距離として出典として用いている。
  5. ^ a b c d e f Hainich, R. et al. (2014-05). “The Wolf-Rayet stars in the Large Magellanic Cloud. A comprehensive analysis of the WN class”. アストロノミー・アンド・アストロフィジックス 565: A27. arXiv:1401.5474. Bibcode2014A&A...565A..27H. doi:10.1051/0004-6361/201322696.  ※当出典ではR136cをBAT99 112と表している。
  6. ^ a b c d Crowther, Paul A. et al. (2016-05). “The R136 star cluster dissected with Hubble Space Telescope/STIS. I. Far-ultraviolet spectroscopic census and the origin of He II λ1640 in young star clusters”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 458 (1): 624–659. arXiv:1603.04994. Bibcode2016MNRAS.458..624C. doi:10.1093/mnras/stw273. 
  7. ^ a b c Crowther, P. A.; Schnurr, O.; Hirschi, R.; Yusof, N.; Parker, R. J. et al. (2010-10). “The R136 star cluster hosts several stars whose individual masses greatly exceed the accepted 150 M stellar mass limit”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 408 (2): 731–751. arXiv:1007.3284. Bibcode2010MNRAS.408..731C. doi:10.1111/j.1365-2966.2010.17167.x. 
  8. ^ Groh, J. H. et al. (2013). “Fundamental properties of core-collapse supernova and GRB progenitors: Predicting the look of massive stars before death”. Astronomy and Astrophysics 558: A131. arXiv:1308.4681. Bibcode2013A&A...558A.131G. doi:10.1051/0004-6361/201321906.