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HP 30b

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
HP 30b Business Professional calculator

HP 30b (NW238AA)は2010年1月7日に発売されたヒューレット・パッカード(HP)社のプログラミング可能[1]金融電卓である[2]。2014年に製造が終了している。

HP 30bは前機種HP 20b英語版の進化バージョンである。

その特徴は、

  • 2行表示画面。上の一行はアルファベット、下の一行は7セグメントの数値表示。
  • 3種類のデータ入力方法
    • 逆ポーランド記法(RPN)入力
    • アルジェブレイク(algebraic)入力(中置記法による入力)[3]
    • チェイン・アルジェブレイク入力(=を押して結果を表示した後に演算子を入力して計算を続ける)[3]
  • 12桁数値表示+指数3桁

である。

このARM搭載電卓は限定的ではあるものの科学技術関数を搭載している。科学技術関数の搭載は金融電卓としては珍しい。

さらにブラック–ショールズ方程式[4]も内蔵しており、コール・オプション(買う権利)とプット・オプション(売る権利)の行使に対する理論プレミアム(オプションの価値)、修正内部収益率(Modified Internal Rate Of Return)そして財務管理収益率(Financial Management Rate of Return)を計算するために使う。

HP 30bは当時の最も高速な電卓の一つであり、当時のHP社のフラッグシップモデル HP 50gよりも高速である。その原因はHP 30bがネイティブARMコードで実行されるからである。一方、HP 50gは75MHzで動作しているにもかかわらず、Saturnコードをエミュレーション実行するので遅い。

HP 30bはHP 20bで評判の悪かったキーよりも改良されたキーを採用したため利用者から賞賛されている。

当時、HP 30bはCFA認定試験のような主要な試験で持ち込みが禁止されていた。

仕様

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  • 販売開始:2010年
  • 製造終了:2014年
  • 価格:$20~$50
  • CPUAtmel AT91SAM7L128 (ARM7TDMIコア) 30 MHz
  • RAM:6KB, 2KB(2KBだけバッテリーでバックアップされる)[5][6]
  • フラッシュメモリ:128 KB[5]
  • 入力モード:RPN入力、アルジェブレイク入力、チェイン・アルジェブレイク入力
  • 画面:LCD 7セグメント(12桁+指数3桁)+ドットマトリクス(8文字)
  • 電源:CR2032×2個(1個は予備)
  • 消費電力:0.25 mW
  • 重量:115 g
  • 寸法:77 x 149 x 16 mm

WP 34S と WP 31S

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 WP 34S(HP 30bを改造したもの)
WP 34S(HP 30bを改造したもの)

HP 20bと同様にHP 30bのファームウェアはPCと特殊ケーブルを使って書換えることができる。

この書換の容易さを利用して、一部のHP電卓ファンが金融電卓HP 30bとHP 20bをプログラム科学技術関数電卓へ変身させるファームウェアを制作した[7]。その結果としてWP 34Sが誕生した。そのファームウェアと説明書は無料でダウンロードできる[8]。そして、キーパッド用オーバーレイ(キーパッドの上に貼るシール。HP 30bからキー配置が変わるので必要)は低価格で購入可能である[9]

特殊ケーブルもかつては販売されていたが、2016年12月現在は販売されていないので、自作する必要がある。特殊ケーブルは、USBをシリアル変換する必要がある上、シリアル配線側に2つのスイッチが必要である。さらに電卓側の特殊形状6pinコネクタは市販されていないので、電卓側のコネクタは完全に自作する必要がある[10]。そのため、本体の改造よりも特殊ケーブルの自作の方が難しくなっている。 WP 34Sの時間関連機能の誤差を減らすためには、HP 30bに水晶振動子キャパシタコンデンサ)を追加する改造と水晶振動子を有効化する操作が必要である。

WP 34Sは完成品が商業販売もされている。完成品にはオーバーレイが貼られており、水晶振動子とキャパシタも装着済みである。2016年12月現在、WP 34Sの販売サイトには「状態の良いHP 30bが残っていないので、キーに多少問題があるものしか発送していない」と書かれている[11][12]

WP 31SはWP 34S完成品の廉価版である。2016年12月現在、すでに商業販売はされていないようである[13]

外部リンク

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HP 30b Business Professional(公式ページ)

WP 34S Scientific Calculator(WP 34Sの完成品の販売。上述のようにキーに難点があるかもしれない)

WP 31S Scientific Calculator(WP 31Sの完成品。販売終了)

WP 34S Overlay(WP 34Sのオーバーレイの販売。WP 34Sを自作するときに必要)

How to make WP 34S(HP 30bをWP 34Sへ改造する方法)

WP34s(1) ケーブルの製作

出典

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  1. ^ HP 30b Programming
  2. ^ HP 30b Business Professional Calculator - Overview and Features
  3. ^ a b HP 30b Business Professional Quick Start Guide
  4. ^ HP 30b Business Professional
  5. ^ a b "HP 30b Business Professional"
  6. ^ 合計で8KBなのか、6KB中の2KBだけがバックアップされるのかは不明
  7. ^ Gene Wright (2011-06-29). "The 20b / 30b has been repurposed into a scientific calculator - The 34S". HP Communities. Archived from the original on 2015-01-03. Retrieved 2011-08-17.
  8. ^ "WP 34S Free Science & Engineering software downloads at SourceForge.net". Retrieved 2012-02-11.
  9. ^ "WP 34S Quick Start Guide". Retrieved 2012-02-11.
  10. ^ WP34s(1) ケーブルの製作
  11. ^ "WP 34S Scientific Calculator"
  12. ^ 原文では "Because the HP 30b has been discontinued, I no longer have "perfect" units available. All 34S calculators that I am shipping now have a minor keyboard issue, where one or two of the keys takes more force to press than the others."と書かれている。
  13. ^ "WP 31S Scientific Calculator"