荻上チキ
荻上 チキ | |
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2020年撮影 | |
生誕 |
乙川知紀(おとかわとものり)[1][2] 1981年11月2日(43歳) 日本 兵庫県 |
教育 |
成城大学文芸学部 東京大学大学院学際情報学府修士課程修了 |
職業 | 評論家、編集者 |
荻上 チキ(おぎうえ チキ、男性、1981年11月2日[3] - )は、日本のメディア評論家[4]、編集者[3][5][6] で、特定非営利活動法人「ストップいじめ!ナビ」代表理事[7][8]、 一般社団法人「社会調査支援機構チキラボ」代表理事[9]、ラジオ番組「荻上チキ・Session」パーソナリティをそれぞれ務める。
本名は乙川知紀(おとかわとものり)であり、彼が2014年(平成26年)にNPO法人「ストップいじめ!ナビ」を設立する際に、代表として本名を公開している[1][2]。「荻上チキ」はハンドルネームで、自身が好む漫画『げんしけん』の登場人物・荻上千佳から由来している[10]。
メールマガジン編集長も務め、主にメディア論を展開。メディアの普及による社会問題にも言及する。
著作に『ウェブ炎上』(2007年)、『未来をつくる権利』(2014年)、『災害支援手帖』(2016年)など。
人物
[編集]兵庫県明石市出身[11]。小学2年生の頃に埼玉県に引っ越す[12]。埼玉県立浦和西高等学校、成城大学文芸学部卒業。同大学で石原千秋に師事したのち[13]、東京大学大学院情報学環・学際情報学府で石田英敬に師事して修士課程修了。
IT企業勤務を経て、2009年に芹沢一也、飯田泰之と共に株式会社「シノドス」を設立[14] し、シノドスプランナー兼メールマガジン「αシノドス」の編集長を務める。同社には社会哲学者の橋本努、政治学者の吉田徹、経済学者の安田洋祐もアドバイザーとして参加している。2018年3月31日にシノドス編集長など関連職を辞する[15]。
現在は「成城トランスカレッジ」を改めた「荻上式BLOG」、「トラカレ」、「内藤朝雄HP いじめと現代社会BLOG」、「ジェンダーフリーとは」などのウェブサイトやブログを運営し、インターネット配信、シンポジウム、セミナーなどの司会、編集者として活動する。評論家としてインターネットの諸問題、いじめ、フェミニズム、メディア論などを得手として扱い、日本の政治、日本の経済、サブカルチャーなど幅広く言及している。
TBSラジオで、『ニュース探究ラジオ Dig』を経て2013年4月からラジオパーソナリティを務める『荻上チキ・Session-22』で、2016年に第53回ギャラクシー賞・ラジオ部門DJパーソナリティ賞[16][17][18] を受賞した。『荻上チキ・Session-22』は、日本民間放送連盟賞ラジオ生ワイド部門優秀を2015年[19][20]、2016年[21][22]、2017年[23][24] に受賞し、2017年1月17日放送の「薬物報道ガイドラインを作ろう!」が第54回ギャラクシー賞ラジオ部門大賞[25][26] を受賞した。
滋賀県大津市で、2015年度に「いじめの防止に関する行動計画の評価に係る懇談会」委員、2016年度に「いじめの防止に関する行動計画の策定等に係る懇談会」委員[27] をそれぞれ務めた。自身が小中学校時代にいじめに遭っていたことも告白しており、「自分の苦しさの原因をそしゃくするために、いじめについて研究したり、エッセーに書いたりして苦しさを言語化することで、救われてきました。」と語っている[28]。
2015年から、うつ病を患ったことを雑誌『暮しの手帖』内の連載「みらいめがね」やラジオ番組で明かしている[28][29]。
2017年12月に、生来の頭髪が茶色い学生に黒く染めることを求める指導が報道で衆目を集めると、「ブラック校則をなくそうプロジェクト」のスーパーバイザーとして情報を発信した[30]。
不倫騒動
[編集]2016年7月、結婚後、妻と二人の子がある身のまま年下の女性と不倫関係に陥り、「一夫二妻生活」を送っていたことを週刊文春に報じられている[31]。7月6日夜、レギュラー出演しているTBSラジオ「荻上チキ・Session-22」で、7日発売の週刊文春に先行して6日に週刊文春ウェブ版で報じられた「一夫二妻生活」報道について「お時間をいただいて少しお話ししておきたいことがあります」と釈明[31]。番組冒頭で約8分かけて経緯を説明。自身が出した結論を報告した[31]。
「2015年夏頃、他の女性を好きになって」離婚したいという意思を夫人に通告。別居して離婚協議を続ける中で、子どもと別れることが出来ないと判断[31]。女性と別れ、夫人と修復を話し合っているタイミングだったと説明した[31]。「私自身の浅はかなものがあったことは確かだと思います[31]。家族、相手の女性を傷つけてしまったことを申し訳ないと思います」と謝罪した[31]。
著書
[編集]単著
[編集]- 『ウェブ炎上――ネット群集の暴走と可能性』 ちくま新書 2007年
- 『12歳からのインターネット――ウェブとのつきあい方を学ぶ36の質問』 ミシマ社 2008年
- 『ネットいじめ――ウェブ社会と終わりなき「キャラ戦争」』 PHP新書 2008年
- 『社会的な身体――振る舞い・運動・お笑い・ゲーム』 講談社現代新書 2009年
- 『セックスメディア30年史――欲望の革命児たち』 ちくま新書 2011年
- 『検証 東日本大震災の流言・デマ』 光文社新書 2011年
- 『彼女たちの売春(ワリキリ)―― 社会からの斥力、出会い系の引力』 扶桑社 2012年、新潮文庫 2017年
- 『僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか――絶望から抜け出す「ポジ出し」の思想』 幻冬舎新書 2012年
- 『未来をつくる権利――社会問題を読み解く6つの講義』 NHKブックス 2014年
- 『ディズニープリンセスと幸せの法則』 星海社新書 2014年
- 『災害支援手帖』 木楽舎 2016年
- 『すべての新聞は「偏って」いる』 扶桑社 2017年
- 『いじめを生む教室――子どもを守るために知っておきたいデータと知識』 PHP新書 2018年
- 『日本の大問題――残酷な日本の未来を変える22の方法』 ダイヤモンド社 2018年
- 『もう一人、誰かを好きになったとき―ポリアモリーのリアル―』新潮社 2023年
共著
[編集]- 『バックラッシュ!――なぜジェンダーフリーは叩かれたのか?』 双風舎 2006年、共著 上野千鶴子・宮台真司・斎藤環・小谷真理・鈴木謙介・後藤和智・澁谷知美
- 『いじめの直し方』 朝日出版社 2010年、共著 内藤朝雄
- 『文化人とは何か』 東京書籍 2010年、共著 南後由和ら
- 『ダメ情報の見分けかた―メディアと幸福につきあうために』 〈生活人新書〉日本放送出版協会 2010年、共著 飯田泰之、鈴木謙介
- 『社会運動の戸惑い:フェミニズムの「失われた時代」と草の根保守運動』 勁草書房 2012年、共著 山口智美、斉藤正美
- 『夜の経済学』 扶桑社 2013年、共著 飯田泰之
- 『新・犯罪論: 「犯罪減少社会」でこれからすべきこと』 現代人文社 2015年、共著 浜井浩一
- 『ブラック校則――理不尽な苦しみの現実』 東洋館出版社 2018年、共著 内田良
- 『現代語訳近代日本を形作った22の言葉』 朝日新聞出版 2018年、共著 片山杜秀
- 『ソーシャル・マジョリティ研究:コミュニケーション学の共同創造』 金子書房 2018年、綾屋紗月編著 うち7章を執筆
- 『みらいめがね それでは息がつまるので』 暮しの手帖社 2019年、共著 ヨシタケシンスケ
- 『ネットと差別扇動 フェイク/ヘイト/部落差別 Talk Session』 解放出版社 2019年、共著 谷口真由美、津田大介、川口泰司 部落解放・人権研究所編 ISBN 978-4-7592-1103-0
編著
[編集]- 『革命待望』 ポプラ社 2009年
- 『日本を変える知』 〈SYNODOS READINGS〉光文社 2009年
- 『経済成長って何で必要なんだろう?』 〈SYNODOS READINGS〉光文社 2009年
- 『日本思想という病』 〈SYNODOS READINGS〉光文社 2010年
- 『日本経済復活』 〈光文社新書〉光文社 2010年
- 『日本の難題をかたづけよう 経済、政治、教育、社会保障、エネルギー』 〈光文社新書〉光文社 2012年。
メディア
[編集]雑誌
[編集]- 「荻上式!電網テレビ批評」(so-netみんなのテレビ、2008 - 2009) 世界のナベアツ、ペリー荻野らと日替わり連載。
- 「荻上チキのとらばるめーかー」(週刊SPA!、2009 - 2010) 赤木智弘「無茶を承知で」と交互連載
- 「荻上チキの新世代リノベーション作戦会議」(サイゾー、2010 - )
- 「週刊チキーーダ!」(週刊SPA!、2010 - ) 飯田泰之と共同連載
- 「リバティーンズ・レビュー」(リバティーンズ、2010 - )
テレビ
[編集]- 『ニュースの深層』(2012年4月 - 2014年2月)
- 『ハートネットTV』「新WEB連動企画“チエノバ”」(NHKEテレ)[32]
- ゲスト出演:サンデーモーニング、NEWS23クロス、新・週刊フジテレビ批評、くらべるくらべらー、朝まで生テレビ!、乱!総選挙2012ニッポンのよあけなど。
ラジオ
[編集]- ニュース探究ラジオ Dig(TBSラジオ、木曜日 2010年4月 - 水曜日 2011年10月 - 2013年3月)
- 荻上チキ・Session-22(TBSラジオ、2013年4月 - 2020年9月25日)
- 荻上チキ・Session(TBSラジオ、2020年9月28日 - )
- JRN・TBSラジオ報道特別番組「総選挙開票スペシャル2021」(TBSラジオ 2021年10月31日)
- TBSラジオ開局70周年 特別番組 「大感謝祭」第3部(TBSラジオ 2021年12月24日)
- JRN・TBSラジオ報道特別番組「開票ライブ!参院選2022」(TBSラジオ 2022年7月10日)[33]
- 3・11 報道特別番組「伝える~東日本大震災から12年」(TBSラジオ、2023年3月11日)[34]
ウェブサイト
[編集]インターネット配信
[編集]メールマガジン
[編集]脚注
[編集]- ^ a b ストップいじめナビ - NPO法人ポータルサイト/内閣府
- ^ a b ストップいじめナビ - NPO法人ポータルサイト/東京都
- ^ a b 荻上チキ「耕論 どう見た「かんぽの宿」――構図見えず 冷淡なネット社会」『朝日新聞』2009年3月15日付朝刊、第9版、第12面。
- ^ “荻上チキ|TBSラジオFM90.5+AM954~聞けば、見えてくる~” 2018年9月13日閲覧。
- ^ a b 『バックラッシュ!――なぜジェンダーフリーは叩かれたのか?』双風舎、2006年、441頁。
- ^ “[対談]乙武洋匡×荻上チキ(4)|web R25”. 2015年1月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年11月1日閲覧。
- ^ “私たちについて | ストップいじめ!ナビ”. stopijime.jp(情報サイト). 2018年9月13日閲覧。
- ^ “団体情報 - ストップいじめ!ナビNPO団体サイト”. stopijime.org(団体サイト). 2018年9月13日閲覧。
- ^ “チキラボとは”. 一般社団法人チキラボ. 2024年2月27日閲覧。
- ^ 荻上チキの「次にくるマンガ」の見つけ方は? 「人間関係の遠近感を丁寧に描く作家が好き」 | ダ・ヴィンチニュース
- ^ 2018年6月26日「荻上チキ・Session-22」オープニング
- ^ “ストップ!いじめ|エッセイスト・作家の荻上 チキさん 真宗大谷派(東本願寺)真宗会館”. 真宗大谷派(東本願寺)真宗会館 (2019年10月16日). 2020年12月2日閲覧。
- ^ “卒業生100人メッセージ”. seijo100th.info. 2020年12月2日閲覧。
- ^ “MEMBER | SYNODOS -シノドス-”. synodos.jp. 2018年9月13日閲覧。
- ^ torakareのツイート(979567389682495488)
- ^ “放送批評懇談会「第53回ギャラクシー賞受賞作品」”. www.houkon.jp. 2018年9月13日閲覧。
- ^ ギャラクシー賞 荻上チキDJパーソナリティ賞を受賞 - ウェイバックマシン(2016年4月28日アーカイブ分) - オリコン
- ^ “【Podcast】荻上チキのギャラクシー賞贈賞式報告「ラジオとはメディアの最前線であり、最終防衛ラインだ」▼6月2日(木)放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」平日22時~)”. (2016年6月3日)
- ^ “日本民間放送連盟賞/2015年(平成27年)入選作品・事績| 一般社団法人 日本民間放送連盟”. www.j-ba.or.jp. 2018年9月13日閲覧。
- ^ “「荻上チキ・Session-22」日本民間放送連盟賞受賞!”. 2015年5月20日(水)に放送した「三里塚闘争とは何だったのか?」の回. TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」過去ページ. 2015年10月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年9月13日閲覧。
- ^ “日本民間放送連盟賞/2016年(平成28年)入選作品・事績 | 一般社団法人 日本民間放送連盟”. www.j-ba.or.jp. 2018年9月13日閲覧。
- ^ “【動画あり】TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」が日本民間放送連盟賞を受賞!2年連続の快挙!!”. (2016年11月12日) 2018年9月13日閲覧。
- ^ “日本民間放送連盟賞/2017年(平成29年)入選作品・事績 | 一般社団法人 日本民間放送連盟”. www.j-ba.or.jp. 2018年9月13日閲覧。
- ^ “【音声配信】TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」民放連賞受賞のご報告”. (2017年11月8日) 2018年9月13日閲覧。
- ^ “放送批評懇談会「第54回ギャラクシー賞受賞作品」”. www.houkon.jp. 2018年9月13日閲覧。
- ^ “第54回ギャラクシー賞・ラジオ部門「荻上チキ・Session-22」が大賞に”. (2017年6月1日)
- ^ “大津市いじめの防止に関する行動計画の策定等に係る懇談会|大津市”. 各年度の構成員名簿PDF参照 2018年9月13日閲覧。
- ^ a b “【東京すくすく】〈荻上チキさんインタビュー〉いじめられ、うつ病になって 学校を「理不尽への耐性をつける場所」から変えたい”. sukusuku.tokyo-np.co.jp. 2020年12月2日閲覧。
- ^ “人生のレール、何本もあるよ 荻上チキさん×三浦しをんさん、「生きづらさ」テーマに対談|好書好日”. 好書好日. 2020年12月2日閲覧。
- ^ “司法における「ブラック校則」問題と、これからの政治の役割 荻上チキ・真下麻里子”. SYNODOS.Inc.. 2020年7月7日閲覧。
- ^ a b c d e f g 評論家・荻上チキ氏、“二股・不倫報道”で謝罪 女性と交際も「現在は関係を解消」 - ORICON NEWS 2016/7/6
- ^ “WEB連動企画“チエノバ” | ハートネットTVブログ:NHK” 2018年9月13日閲覧。
- ^ “TBSラジオ選挙特番、関東1都6県のradikoシェア首位 他局と一線画す内容に反響”. ORICON NEWS (オリコン株式会社). (2022年7月11日) 2022年7月11日閲覧。
- ^ “TBSラジオ3.11報道特別番組「伝える~東日本大震災から12年」”. (2023年3月6日) 2023年3月11日閲覧。
参考文献
[編集]- 荻上チキ『僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか』幻冬舎〈幻冬舎新書〉、2012年11月、著者略歴および第5章頁。ISBN 9784344982888。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 荻上式BLOG(旧・成城トランスカレッジ)
- 荻上チキの αシノドス - ニコニコチャンネル
- SYNODOS
- トラカレ! - ウェイバックマシン
- 荻上チキ (@torakare) - X(旧Twitter)
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- 荻上 チキ (@ogichiki) - Threads
- VOBO コイトゥス再考 荻上チキ
- PR誌ちくま 性欲と技術の変化を描く 荻上チキ
- 荻上チキ - NHK人物録