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遺族年金の手続き|万が一の時にご遺族が知っておくべき基礎知識

遺族年金とは、その名の通り、『家計を支える方がお亡くなりになった場合、残された遺族の生活を守るための年金』です。

遺族年金を受け取るためには、申請手続きを行う必要があります。

手続きに関しては、様々な必要書類を揃える必要があり、また、加入中の年金種類によって申請する場所も異なります。

煩雑な手続きが多いため、社労士(社会保険労務士)の事務所が有料で遺族年金の代行手続きを承っているケースもあります。

この記事では、遺族年金の手続きについて、できるだけ簡単に、分かりやすくご説明させていただきます。

遺族年金の手続きが遅れてしまうと、その分、受け取れる時期も先延ばしになってしまいます。

これから、お手続きが必要な方にとって、お役に立てる内容となっておりますので、ぜひ最後までご覧ください。

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保険の教科書 編集部

保険の教科書 編集部

私たちは、お客様のお金の問題を解決し、将来の安心を確保する方法を追求する集団です。メンバーは公認会計士、税理士、MBA、CFP、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、行政書士等の資格を持っており、いずれも現場を3年以上経験している者のみで運営しています。

1. 遺族年金の申請はどこにする?

ご家族に不幸が起きてしまった時は、死亡届の提出をはじめとして、様々な手続きが必要となります。

そんな時、みなさんが不明に思うのが「どこに何を申請すればいいのか?」ではないでしょうか。

遺族年金については、加入中の年金種類により、届ける機関が異なります。

順に確認していきましょう。

1.1. 自営業など国民年金の方

国民年金に加入中の方については、お住まいの地域の『市区町村の役所にある年金担当窓口』へ連絡をしていただきます。

国民年金の加入者である遺族の方が受け取れる遺族年金は「遺族基礎年金」と言います。

ご家族の方がお亡くなりになった場合、まずは役所に死亡届を提出します。

その際に、遺族年金の手続についても同時に確認をすると良いでしょう。

遺族年金の手続きには、諸々の書類を揃える必要がありますので、死亡届と同時に申請を完了させるのは難しいとお考えください。

必要書類については、後ほどご説明いたします。

1.2. 会社員など厚生年金の方

遺族基礎年金に加えて、厚生年金に加入中の遺族が受け取れる遺族年金を「遺族厚生年金」と言います。

この場合、申請の窓口は『各都道府県の年金事務所』となります。

年金事務所の所在地については、インターネットで「年金事務所 ○○県」などと検索すると、日本年金機構のホームページから確認することができます。

日本年金機構が運営する「ねんきんダイヤル」では、年金に関する様々な相談を受け付けています。

電話以外では、年金事務所の窓口での直接相談のほか、文書での問い合わせをすることもできます。

いずれの方法でも、ご家族であることの本人確認が必要となりますので、まずは電話での連絡をおすすめいたします。

耳が不自由な方のためには、FAXによる相談も受け付けています。

1.3. 公務員の方は厚生年金に統一

平成27年10月より、公務員の方が加入している共済年金については、厚生年金と統一されることになりました。

厚生年金と共済年金は同じものとして扱われることになっていて、遺族年金も制度の内容は基本的に同じです。

申請先も、厚生年金と同じく『年金事務所』になります。

共済年金は「国家公務員共済組合」「地方公務員共済組合」「私立学校教職員共済組合」等に分かれています。

ご自身が加入中の組合に、直接お問い合わせをしていただくことも可能です。

2. どんな書類が必要?

公的な機関へ申請を行う時に、最も面倒なのが必要書類を揃えることだと思います。

それは、遺族年金の手続きにおいても同様です。

まずは、『年金請求書』に必要事項を記入し、これに各種書類を添付する必要があります。

書類については、個人によって必要な書類とそうでないものに分かれてくるので、参考程度にご覧いただければと思います。注意が必要な部分に関してのみ、解説をさせていただきます。

2.1. 必要な書類

以下のリストをご覧ください。遺族年金の手続きでは、お亡くなりになった方が家計を支える中心であったことを証明する必要があります。

そのために、遺族年金を受け取るご家族の「請求者の収入が確認できる書類」を提出する必要があります。

所得証明書、課税(非課税)証明書は、市区町村の区役所で発行することができます。

●年金手帳

提出できないときは、その理由書が必要。

●戸籍謄本(記載事項証明書)

死亡者との続柄および請求者の氏名・生年月日の確認。受給権発生日数以降で提出日から6ヵ月以内に交付されたもの。

●世帯全員の住民票の写し

できるだけ住民票コードの記載があるもの、かつ個人番号の記載がないもの。死亡者との生計維持関係・住民票コードの確認のため。

●死亡者の住民票の除票

世帯全員の住民票の写しに含まれている場合は不要。

●請求者の収入が確認できる書類

生計維持認定のため。所得証明書、課税(非課税)証明書、源泉徴収票等。

●子の収入が確認できる書類

義務教育終了前は不要。高等学校等在学中の場合は在学証明書または学生証等。

●市区町村長に提出した死亡証明書(死体検案書等)

コピーもしくは死亡届の記載事項証明書で可。死亡の事実(原因)および死亡月日確認のため。

●受取先金融機関の通帳等(本人名義)

カナ氏名、金融機関名、支店番号、口座番号が記載された部分を含む預金通帳またはキャッシュカード(写しも可)等。請求書に金融機関の証明を受けた場合は添付不要。

●印鑑

認印でも可。

2.2. 死亡の原因が第三者行為の場合に必要な書類

交通事故など「第三者からの行為」が原因でお亡くなりになった方の遺族年金を請求する場合、追加で提出が必要となる書類がいくつかございます。

滅多にないとは思いますが、交通事故のほか、傷害・殺人もこれに含まれます。

ここでは「損害賠償責任の算定書」に注目してみましょう。

この算定書が必要な理由としては、被害者となった方のご遺族が、加害者から損害賠償を受けた場合、「最大24ヶ月、遺族年金の支給が停止される」という規定が定められているからなのです。

要するに、賠償責任でお金をもらえる間は遺族の生活費は、その中からまかなってください、というルールになっているのです。

●第三者行為事故状況届

所定の様式あり。

●交通事故証明または事故が確認できる書類

事故証明が取れない場合は、事故内容がわかる新聞の写しなど。

●確認書

所定の様式あり。

●被害者に被扶養者がいる場合、扶養していたことがわかる書類

源泉徴収票・健康保険証の写し、学生証の写しなど。

●損害賠償金の算定書

すでに決定済の場合。示書等受領額がわかるもの。

2.3. その他の書類

例えば、国民年金から途中で共済年金に移行した場合や、海外に住んでいて国民年金に加入していなかった期間がある方の場合など、公的年金の加入状況により必要書類はこと細かに分かれています。

遺族年金は、遺族の生活を守るための年金なので、事実婚の夫婦についても、申請書を提出すれば、遺族年金が受け取れるケースもあります。

この記事を書くにあたり、公的機関の様々な情報を集めてみたのですが、必要書類については存在する種類も数え切れないほどあり、一般の方がご自身で判断するのはとても難しいと感じました。

分からない点は「ねんきんダイヤル」に問い合わせていただくのが、最もスムーズだと思います。

※ 一覧表については、日本年金機構ホームページ「遺族年金を請求する方の手続き」から抜粋させていただきました。

3. 委任状を書けば代理人による手続きも可能

最初に少し触れたのですが、遺族年金の請求手続きは、委任状を提出すれば、代理人による手続きでも行うことができます。

原則としては、お亡くなりになった方の奥様(ご主人様)やお子様が手続きを行います。

3.1. 家族以外の第三者でも手続きができる

何らかの事情により、手続きができない場合は国家資格を持っている社労士が所属する「社会保険事務所」などで、年金手続き代行サービスをお願いすることもできます。

費用については5万円前後かかることが多いのですが、役所の窓口は基本的に平日しか開いていないので、仕事が忙しく申請ができない方や、ご高齢のためご自身で書類を揃えるのができない場合などは、このような機関を活用するのも有効だと思います。

3.2. 委任状に必要な記載事項

代理人が手続きを行うための委任状は、日本年金機構ホームページから書式のPDFをダウンロードできるようになっています。

基礎年金番号については、年金手帳の裏表紙に記載されています。年金コードとは、すでに年金を受給されている方のみ必要となります。

主な記載事項

・委任状を作成した日付
・基礎年金番号、年金コード
・委任する内容(年金の「加入期間」や「見込額」の交付希望など)
・代理人の氏名、住所、電話番号、委任者との関係

4. 手続きの期限はいつまで?

遺族年金の手続きを忘れてしまった・先延ばしにしてしまった、というような場合も、一定の期間内であれば申請を行うことができます。

4.1. 時効は5年以内

遺族年金の申請をしなかった場合は、受給権が発生してから5年以内の分については請求をすることができます。5年を超えてしまった年金については、時効により権利が消滅してしまいます。

ちなみに、遺族年金だけではなく、老齢年金・障害年金・未支給年金についても時効は同じく5年となっています。死亡一時金・脱退一時金の時効は2年です。

4.2.  5年を超えてしまった場合

やむを得ない事情などにより、5年以内に申請が出来なかった場合は、その理由によっては時効を撤回する申し立てをすることができます。

申請については、様々な書類を揃える必要があることは、先程申し上げましたよね。

死亡診断書など、時間が経てば経つほど、これらを用意するのは大変な作業になってしまいます。

書類を揃えることができないと、遺族年金を受け取ることが出来なくなってしまうので、早めの手続きを行うようにしましょう。

5. 遺族年金を受け取るまでの流れ

最後に、遺族年金を受け取るまでのおおまかな流れについて見ていくことにします。

繰り返しにはなりますが、遺族年金を受け取るためには数多くある書類をすべてそろえ、必要事項の記入を行い、とにかく手間と時間がかかることは、覚悟しておいたほうがよいでしょう。

以下をご覧ください。年金請求から定期受取までに110日(4ヶ月弱)かかることがお分かりいただけますでしょうか?

これは、「おおむね」なので、もっと時間がかかる可能性も十分に考えられるわけです。

遺族年金の手続きが進まないままでいると、生活を支えるための収入が途絶えてしまうことになり、結果として家計を圧迫することにもなりますので、できるだけ早め早めの手続きをしていただきますよう、お願いいたします。

【年金受給までの流れ】

①受給資格の取得・年金請求

②「年金証書・年金決定通知書」の送付【年金請求から約60日後】

③「年金振込通知書」「年金支払い通知書」の送付

④初回受取り【②から約50日後】

年金決定後、初めて受け取れるのは年金証書が日本年金機構から送付されてから約50日程度。

ただし、2つ以上の年金を受け取る権利のある方や、年金給付に調整のある方は50日以上かかる場合がある。

最初に受け取れる金額は、原則として受取り開始年月から直前の受け取り月の先月分まで。

※受け取り開始年月は年金証書に記載の「受給権を取得した月」の翌月。

「年金決定通知書」に記載されている。

⑤定期受取り

年金は2月、4月、6月、8月、10月、12月の偶数月の15日(土曜日・日曜日・休日の場合は、その直前の営業日)に受け取ることができる。

ただし、初めての受取りになるときや、さかのぼって過去の受取りが発生した場合などは、奇数月の受取りになることがある。

各定期月に受取りになる年金額は受取り月の2ヵ月分。

例:

2月の受取り⇒前年12ヵ月と1月の2ヵ月分

4月の受取り⇒2月と3月の2ヵ月分

6. まとめ

遺族年金は、一家の家計を支える大黒柱に万が一のことがあったとき、残された家族を支えてくれる大切な社会保障なのですが、この手続きは複雑だったり面倒だったり、多くの書類を記入しけなればいけなかったり、何かと手間がかかります。

一説によると、自営業の半分以上が遺族年金をもらえる権利があっても、もらっていないそうです。

このようなことにならないよう、自分で手続きをするのが難しい場合は、委任状を提出すれば、代理人の方に代わりに手続きをしてもらうこともできます。有料とはなりますが、社会労務士に依頼することも可能です。しかしながら、プロフェッショナルが書類を完璧に揃え、不備なく手続きができたとしても、遺族年金を受け取るためには少なくとも3~4ヶ月はかかるのが現状です。

人がお亡くなりになった時は様々な手続きが発生することになりますが、遺族年金について少しでもご理解いただけたならば幸いです。

遺族年金の具体的な年金額については「遺族年金はいくらもらえる?押さえておくべき年金額と改正のポイント」をご覧ください

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