先輩記者のジャンボ配当的中に、取材は未来の情報さえもつかみうることに何の疑いも持たなくなった - スポーツ報知
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先輩記者のジャンボ配当的中に、取材は未来の情報さえもつかみうることに何の疑いも持たなくなった

スポーツ報知
ボートレース

◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 昨年12月28日放送のNHKスペシャル「量子もつれ アインシュタイン最後の謎」を視聴した。番組によると「量子もつれ」という状態が作られると、情報のテレポーテーション(瞬間移動)も起こりうるそうなのだ。

 公営ギャンブルの予想を業務とする私は、そうなることがあたかも決まっているかのような書きぶりの記事を通算30年近く披露してきた。もちろん予想が当たることもある。ただ、そんな際も「たまたまだろ」と言われてしまう悲しきギャンブル記者にとって、この最先端の量子力学に基づく指摘は朗報だ。

 先輩記者は昨年12月8日の住之江ボート4Rで3連単オッズ3509・6倍のジャンボ配当を予想コラムで的中させた。「たまたまですよ」と先輩は言うのだが、それは取材の成果であって「たまたま」ではない。

 “勝ち馬が見える”という表現があるが、ギャンブル記者には奇妙な感覚の体験が少なからずある。選手の談話を取りつつ、表情や目の動き、しぐさなどから心の奥底を感じようとする。先輩記者のコラムにも、そのレースの勝者になる選手の談話が載っていた。先輩記者はレースの真実に近づこうと選手の肉声を聞き、心を感じ、そうした取材の結果として「量子もつれ」の状態が作られたのかもしれない。未来から“瞬間移動”してきた情報を、無自覚ながらも捕捉して記事にしたのだ。

 取材は未来の情報さえもつかみうる。そのことに、私はもはや何の疑いも持たなくなった。なので、私の予想が当たらないのは「たまたま」ではなくて単に取材が甘いから…。日々猛省である。

 ◆上村 尚也(かみむら・なおや) 92年入社。担当する予想コラムのタイトルは船長、舵取り役を意味する「舟券スキッパー」。

コラム

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