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漫画『絶園のテンペスト』が無料!あなたは分かるかこの世界観⁉

更新:2021.11.24

ファンタジーとミステリーが融合された漫画『絶園のテンペスト』。魔法が存在する世界でありながら、登場人物たちの思惑が複雑に絡み合うことで次々と謎が生まれていき、読者は考察しながら読み進めるミステリーの要素も含んでいます。そんな本作の魅力をネタバレを含みつつご紹介しましょう。苦手な方はご注意ください。スマホの無料アプリでも読むことができますので、気になった方は、そちらからもどうぞ。

ブックカルテ リンク

『絶園のテンペスト』はこんな人におすすめしたい!

『絶園のテンペスト』は2012年に全24話構成でアニメ化され、原作と同時期に完結しています。

◎『絶園のテンペスト』はどんな人におすすめ?

・作画のレベルが高い!

 

作画を担当されている彩崎廉は「絶園のテンペスト」がデビュー作となっていますが、作画は繊細に、迫力のある描写がされていて、場面ごとに表される魅力が大きく伝わってきます。

・シェイクスピアの引用

本作は第1話の冒頭からシェイクスピアから引用された言葉やセリフが数々と登場します。

・ファンタジーとミステリー
 

魔法や魔法使い、魔具といった用語が出てくるためファンタジー系の作品と思うかもしれませんが、本作は謎が多く登場するためミステリーの要素もあるためまるでミステリー小説を読んでいる気持ちになります。

・バトルシーン

魔法を使うシーンが多いため様々なバトルシーンがありますが、迫力のある描写で描かれてているため目が離せません。

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漫画『絶園のテンペスト』が無料!その魅力とは?

 

『虚構推理 鋼人七瀬』や「スパイラル〜推理の絆〜」シリーズなど、推理にこだわった人気作を生み出してきた城平京。彼が、作画に彩崎廉、構成に左有秀を迎えて世に放った新たなミステリーファンタジー作品が『絶園のテンペスト』です。

主人公は、真広と吉野という2人の少年。真広の義妹を殺害した犯人を突き止めることを交換条件に、世界崩壊を食い止めるため、魔法使いの葉風と共に行動します。

ファンタジー作品でありながら、物語は次々と予想のつかない展開で色を変え、読者に先を推理させる異色作で「月刊少年ガンガン」の看板作品として人気を博しました。

今回はそんな『絶園のテンペスト』の魅力を、世界観の説明と合わせてご紹介していきます。

 

著者
["城平 京", "左 有秀", "彩崎 廉"]
出版日
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漫画『絶園のテンペスト』あらすじ

漫画『絶園のテンペスト』あらすじ
出典:『絶園のテンペスト』1巻

高校3年生の少年、滝川吉野(たきがわよしの)は、強盗殺人事件で殺害された恋人の愛花の墓参りに来た際、謎の女性に襲撃されます。

それを助けてくれたのは、幼馴染で愛花の義兄でもある不破真広(ふわまひろ)。そこで、真広が鎖部葉風(くさりべはかぜ)という魔法使いから譲り受けた魔法の力で、「黒鉄病」という病によって崩壊に瀕した世界を救う手助けをしていることを聞かされます。

葉風と協力関係を築き世界救済の手助けをする代わりに、愛花を殺害した犯人を突き止めようとする真広と、彼のことを気にして行動を共にする吉野が、世界を救う戦いに乗り出します。

魅力1:本格ミステリーにハマる!

魅力1:本格ミステリーにハマる!
出典:『絶園のテンペスト』1巻

魔法という力が存在する物語ですが、ただ単純に魔法使い同士の戦いを描いた作品ではありません。物語の本質的な魅力は、常に登場人物たちを取り巻いている謎を考察し、紐解いていくことにあります。

ミステリー要素を印象づけている大きな要因のひとつが、主人公のひとりである吉野の存在です。

物語の冒頭、葉風は同じ魔法使いの一族である鎖部左門(くさりべさもん)によって、魔法を使用することができない絶海の孤島に幽閉されてしまいます。左門の目的は、魔法使いの力の源であり世界の理を支配する「はじまりの樹」の覚醒を阻止し、「絶園の樹」という破壊の力を司る樹を復活させ、世界の理を覆すことです。

「絶園の樹」を復活させるためには、「はじまりの樹」の加護を受ける一族最強の力を持った葉風の存在が邪魔だったため、孤島に幽閉することにしたのです。またこのとき「黒鉄病」により多数の死者が出ていましたが、これも「絶園の樹」復活の余波でした。

葉風は「絶園の樹」の復活を阻止するべく、孤島からの遠隔通信が可能となる魔具(人形)をボトルメールで海に流し、それを真広が偶然拾ったのです。

真広と吉野は、魔法で愛花を殺害した犯人を捜すことを条件に出し、葉風の島からの脱出を手伝うことにしますが、その過程で愛花を殺した犯人は鎖部一族にいるということを突き止めました……。

さて、ファンタジー作品としてここまでの展開を読んでいた場合は何となく通り過ぎてしまいそうですが、物語内にはすでにいくつかの違和感が生じています。吉野は調査を進めるなかで、そうした違和感のひとつひとつに対し、常に疑問を抱き続けているのです。

なぜ左門は、葉風を孤島に幽閉するといった回りくどい方法を取ったのでしょうか。彼女を殺害してしまえば済みそうなものです。

また、愛花を殺した犯人が魔法使いの一族にいる、こんな偶然はあり得るのでしょうか。

このような疑問や違和感などを、吉野はとにかくツッコミ続けていきます。

これは、彼が魔法や「絶園の樹」「はじまりの樹」といった存在に対し、部外者であるからこそ湧きあがる疑問なのかもしれません。しかし同じく部外者である真広は、義妹の愛花を殺した犯人への復讐というシンプルな目的のために行動しているせいか、細かい疑問や違和感については軽視する傾向があります。

そういった意味で、吉野は読者に対し、物語上の謎に気付かせ、考察させて真実に導こうとする、ミステリーの思考へとレールを切り替えさせる役割を担っているといえるでしょう。

彼は謎をすべて言葉や思考にして表し、解説役もしています。「謎解きとか頭を使う作品はちょっと苦手で……」といったミステリー初心者の読者も、考えすぎて頭が痛くなる心配はありません。

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魅力2:ファンタジーの世界観に引き込まれる!

魅力2:ファンタジーの世界観に引き込まれる!
出典:『絶園のテンペスト』1巻

本質的な魅力は謎の考察であると先述しましたが、もちろんそれだけではありません。魔法使いたちが使う魔法や、物語の世界を取り巻く魔法的存在も見どころです。

まず、ファンタジー作品の王道である、魔法を駆使した戦闘シーンが随所に描かれています。

魔法使い同士の戦いは、ファンタジー好きであれば心躍る展開ですが、ここに軍事兵器と魔法の戦いも加えられ、この世界において魔法という力がいかに強大であるかを実感することができるでしょう。

一方本作では、魔法の力が万能ではない、という側面も描いています。特に鎖部一族が使う魔法は、文明を供物として捧げ、力を得るといった特性があります。言いかえれば、供物に捧げるものがなければ魔法を使うことができないということでもあるのです。

さらにこの魔法は、一族最強の力を持つ葉風であっても限定的であり、供物があれば何でもできるというわけではありません。そのため、戦闘であれ調査であれ、登場人物たちは魔法によって何ができるのか、どう使うのが最適なのか、ということを考えて行動することになります。

魔法使い同士の戦いでも、限られた魔法でどう戦うのが最善かを考える頭脳戦が描写されており、一戦一戦が見応えのあるものとなっています。

そして何より、世界崩壊そのものに関わる「はじまりの樹」や「絶園の樹」といった魔法的存在は、物語の根幹に関わる重要な存在です。序盤から「絶園の樹」復活の影響で、黒鉄病による死者がどんどん出ます。肌が金属化して死に至るこの病の描写は、世界崩壊を印象づけるに十分な絶望感を読者に与えているのです。

「絶園の樹」が復活する際、散り散りとなっていた絶園の果実が空を飛んでいくのですが、その巨大で禍々しい見た目は、人類が立ち向かうには強大過ぎる相手であることを予感させます。魔法やそれに関係する存在が、今後の世界の行方を確かに左右しているのだというインパクトを与えてくれ、奇妙で幻想的な物語の世界にずるずると読者を引き込んでいくでしょう。

魅力3:予測不能な展開!

魅力3:予測不能な展開!
出典:『絶園のテンペスト』1巻

重ねてお伝えしますが、この作品はファンタジーであると同時にミステリーでもあります。登場人物たちはそれぞれの思惑に従い、目的のために行動しているのですが、その狙いは読者にも容易にわからないようストーリーが進行していきます。

結果として、誰がどんな狙いでどんな行動を起こすか、ということを読者が察しにくく、これまで味方の陣営だった人物が急に敵側に寝返ったりということが普通に起こるのです。

そのため読者は、誰を正しいと信じていいのか分からず、敵と味方の境目も徐々にぶれてきます。このような不安定な心持ちで読み進めていくことで、読者の裏切られることに対する期待感が高められるようになるのです。

またストーリーだけでなく、物語の展開そのものもミステリーです。

まず、本作では世界崩壊の危機を巡る戦いが描かれていますが、この物語の「ノリ」が実にコロコロと変わります。

たとえば、主人公の2人と、葉風が孤島から脱出するのを阻もうとしている左門の戦いは、なんと論証とハッタリを駆使した舌戦。まるで心理戦のような様相を呈しています。

これまでの魔法を駆使したアクションバトルとは打って変わって、推理サスペンスのようなやり取りに一転し、読者は面食らうことになるでしょう。

また、シリアスな展開から、急にコミカルな掛け合いのギャグを放りこんできたり、青春ラブコメディのような恋愛を描いたりと、まさしく漫画のジャンルそのものがミステリーなのです。

このような急な展開で路線変更することによって読者の不意を突き、頭のなかでまとまりかけていた本筋の考察を1度リセットして、易々と真実へとたどり着けないような物語の作りとなっているのではないでしょうか。

息をつかせぬ謎かけで考察を促し、魔法の不思議な世界観で魅了する『絶園のテンペスト』。ミステリー小説を読み込んだ読者にとっても、幻想的なファンタジーが好きな読者にとっても、十分に読み応えのある作品となっています。 


ここでは紹介しきれませんでしたが、伏線も魅力の一つとなっている本作。そんな伏線がすごい作品を紹介した<伏線がすごい!おすすめ漫画ランキング!回収が上手い30作品>もおすすめです。

著者
["城平 京", "彩崎 廉"]
出版日
2013-11-22
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