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5年後22

先輩二人との森ノ宮で行われるお笑いライブの

第一回目の会議当日

 

俺とWは二人で一緒に御堂筋線に乗り梅田まで向かった。

一人で不安だった俺はWを誘ったのだった。

メールをして「"方向"一緒やし一緒に行こうや」

W「一人で行こうと思ってましたけどまあイイっすよ」

こいつはいつもこうだ。

 

夕方の御堂筋線地下鉄の車内は満員で吊り革に二人横並びで捕まりながらWは不安そうな顔で俺にぼやいた。

「ヒラ3さん考えてきました?」

俺は「会議一回目やから一応何か"様子見"で色々考えてきたけどまあ、じっくりいきたいわ」みたいな事を言ったと思う。

Wは「あんまり先輩二人と喋った事ないから不安とワクワクが入り混じってますわ」

 

俺は本当はガチな企画、コント案を張り切って持っていっていたけれど"カッコつけて"様子見"という言葉をWに使った。

 

Wはそれを見透かしたかのように

「マジっすか?俺はガチなやつしか持ってきてないです」

こいつ正直でカッコいいなと思った。

 

先輩達との待ち合わせ時間の前に梅田の某ファミレスに先に着いた俺たちは

テーブルのどこに座れば良いかわからなくなった。

W「上座ってどっちですかね?」

当時はスマホとかなくて「上座 下座」とかで

検索出来ないから全くわからない。

 

けれど何となく俺は

ゴッドファーザー】とかの映画で人が集まって会食してる光景が浮かんで

主人公のボス、ゴッドファーザーことヴィトー・コルレオーネはいつも奥に座ってた記憶があったから

 

「俺らは後輩やから手前やな」

と言ったらWはニヤニヤしながら

「よくわかりましたね!正解!」と言った。

俺もニヤニヤしながら「試すなよ!」と言った。

 

程なく席に座ってると、

先輩二人がデカいカバンを抱えて険しい顔をしてやってきた。

さあ、戦闘開始だ。

 

続く

5年後21

"Wとライブ"

久しぶりだ。最初にWと「アンチシペイトボックス」という"構成も演者も自分達、素人4人で頑張ったお笑いライブ"から数年が経っていた。

今回は同期のWと先輩のIさんともう1人の先輩Iさんの4人でコント企画台本を書いて芸人さんに演じて頂くライブ。

芸人さんは同期の今や誰もが知っているテレビのコントグランプリ決勝に出たコンビのN、ピンで優勝したMさんなど今考えるととんでもない錚々たる人達に了承を頂き、これが大阪の森ノ宮にある劇場でやる事に決まった。

この放送作家養成所で知り合った先輩後輩の4人が多分お互いの力量、実力を把握した上で協力し合う、ライブ。

自分自身は正直めちゃくちゃ興奮していた。

「よっしゃ、やったるでえ」

と言った若さに身を任せ調子になった感じである。

 

けれどもその自分の自信はこの4人の住んでる場所の中間地点である梅田のファミレスで会議した1回目にして失う事になる。

つまり"若気の至り"だった。

 

続く

 

文章書こうかな

って事で今寝れなくて酔っ払いながらスマホをぽちぽちして何となくブログを更新しておこうかなと思う。

 

今APEXの配信を結構毎日と言っても良いほどやっていて参加してくれる色々な人と話す。

すると色々なエピソードを聞ける。

 

それが本当人それぞれでどの方のエピソードも面白い。

多分は配信はゲームが面白いからやってるってのはもちろんあるけれど、

「人と話したいからやってる」というのが大きいのだと思う。

ゲームにおけるエンジョイ勢とガチ勢の境目が今までわからなかったけれどそれが一つの境目なのかもしれない。

 

で、今日配信やってたらこのブログを読んでますという言葉を聞けてめちゃくちゃ嬉しくなって意地でも寝る前に更新してやろうと思いました。

 

ありがとう。フリック入力を覚えて今年は文章を書いていきたいので見守っててください。

13歳のハローワーク

将来なりたいものは?

という質問はよく小学生の頃にされる。

で、大体昔は男子はパイロットとか女子ならケーキ屋さんとかが多かった。

今はyoutuberとか公務員とかが多いらしい。時代の流れだ。

で、自分も当時パイロットとか言ってた気がするけどそれは別にパイロットになりたい訳じゃなくてパイロットくらいしか知らなかったからだと思う。

つまり将来なりたいものは?

とか聞かれてもまずそのなりたいものの種類、職業がわからないから答えようがないんよね。

 

で、そういう事を思い浮かべて書かれた本が村上龍13歳のハローワークだ。

この世にある殆どの職業が絵の説明付き

で丁寧に解説してある実用性がめちゃくちゃある本だ。

13歳の時にこういう本に出会いたかった。

Twitterは今や外

Twitterに対する意識が何となくもう外、つまり公衆の面前なのではないかと最近思う。

あんまりネガティブな事も言えない空気感が蔓延しているように感じる。

マナーとかモラルが蔓延っている、これはもう外だ。

Twitterはちょっと前までは何でも言って良いというツールだったと思う。

インターネットは何でも言って良いというストレス解消のツールでもあった。

しかし時代が変わったのだ。

今や本音は言えない、というのがTwitterの現状だ。

 

別に言っても構わないだろうけど、鍵付きのサブ垢で言ってる人が多いのを見るともはやそういう外意識をみんなが共有している感じがする。

 

ストレスを抱えながらSNSをやる時代だ。

 

なので、これからはこういうブログ等で"リンク"先を辿ってきた人だけに本音をぶちまけるという手法が定着するのではないかなと思う。

 

だから俺はこのブログでだけ本音を言おうと思う。読者募集中。

5年後20

東京から特別講師としてK氏が来られるという授業があった。

その授業には今までの塾生が誰でもお金を払えば参加出来るというものだった気がする。

先輩から後輩までたくさん集まり教室に集まった。

 

緊張と期待で教室の空気が歪んでいた。

 

K氏が入ってきた。

第一声が前の席でメモを取ろうとしていた人に対しての「何メモ取っとんねん!そんなもん意味ない」

だった。

ピリつく教室。

少しでも動くと顔に切り傷が出来てしまうかのような空気感だ。

 

先輩のIさんは以前、Kさんの授業に出て「ナレーション原稿の書き方がわからないのですが」という質問をしたらしい。

Kさんは「ナレーション原稿?そんな事せんでええやろ!何の意味があんねん!」

と一蹴されたらしい。

Kさんのピリピリした授業が終わり、IさんとWと話した。

他のみんなはKさんとの飲み会に行った。

 

Iさんは俺とWが学校と繋がりがあるお笑いライブで唯一優しく接してくれた先輩だ。

Iさんは先生からも一目置かれていて関西の番組に構成で抜擢されていた。

Iさんはその番組の会議の話をよく俺とWにした。

その話でわかったのはIさんは明らかにその会議のメンバーに"溶け込んでいない"という事だ。

圧倒的な異物感。

聞いてくうちに自分もその場に居たらそうなって居ただろうなというリアルな感覚に陥った。 

 

Iさんと別れWと夜道を歩いて帰る。

26号線を南に下っていく。

タクシーがビュンビュン通っていくのを横目で感じながら二人で歩いた。

Wは唐突に「食べます?」と言ってカバンから4つくらい入ってるチョコパンを出してきた。

全然要らなかったけどせっかくカバンから出してくれたから一つだけ貰う事にした。

「ありがとう腹減っててん」

と嘘を付いた。

Wは言った。

「ヒラ3さん俺今なんかやりたいんすわ。Iさんとかとライブとかやりませんか?」

先輩とライブ。

 

「ええんちゃう」と言ってチョコパンを頬張った。

 

続く

5年後19

とある日の夜、俺たちは大阪ミナミの王将に居た。

混み合った店内の床がめちゃくちゃヌルヌルする。

KとWが無言で餃子を口に運んでいる。

 

「俺ら居る意味あるんすかねえ」

Kがモグモグしながら話しだす。

 

俺たちは作家学校と繋がりがあるお笑いライブの手伝いに参加していた。

その帰りに王将に寄ったのだ。

 

ただ、そのライブに正規ルートではなく裏ルートから入った俺たちはよそ者感が半端なく肩身が狭かった。

 

一緒に自主ライブをやったTはもう居ない。

彼はとあるオーディションに受かり一抜けしていた。

 

取り残された3人。

行き場所が無く、やる事もなくただ目の前の餃子を食らう。

無に等しい時間。

俺ら3人はいい加減にそれぞれの進路を決めようとしていた。

 

Kと別れた後、Wとは帰り道の方向が一緒だったので歩きながらよく話した。

ミナミから26号線を南に下っていく。

タクシーに乗る気にはならなかった。

 

W「これからどうします?」

 

さっきの話の続きだ。

まあ、芸人さんとの関係を築くチャンスがあるのだから今考えたら続けるべきなのだろう。

 

けれども俺はその時本当わからなかった。自分が何をしたいのかが、

 

夜道を歩いていく。

何となくむしゃくしゃして道に落ちてた空き缶を蹴った。

普段、そんな事しないのに。

そしたらWが「どうしたんすか?普段そんな事しませんやん?」と笑った。

 

俺は見透かされたと感じて笑いを堪えながら誤魔化すようにちょっと怒ったような感じで

 

「結構、俺は缶蹴るよ」

と言った。

 

続く