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大卒で就職した会社の「新人研修合宿」で渡された「就寝時刻が記されていないスケジュール表」の意味

ブラック企業をあまた見てきた弁護士も、「そんなん、カルト教団の洗脳合宿やん」と思わずつぶやいてしまった新人研修。早朝訓練と称して2キロのマラソンから始まり、終わり時間のはっきりしない深夜のミーティングまで……その衝撃の内容とは。

長年、悪徳企業・経営者との闘いを繰り広げてきたブラック企業被害対策弁護団の新刊『ブラック企業戦記 トンデモ経営者・上司との争い方と解決法』(角川新書)より紹介する。

就寝時刻が記されていないスケジュール表

数年前、佐々木亮弁護士と飲んでいたときに、私だけでなく、佐々木亮弁護士も「寝させない新人研修」事案をもっていたことを知った(本書『ブラック企業戦記』第二章で紹介)。共通の感想は、「関東にも関西にも同様の事案があったということは、おそらくこの2件だけじゃなくもっとあるのだろう」だった。

ということで、私が受任した「寝させない新人研修」事案について紹介する。

その事件の依頼者は、大卒である会社に就職したが、半年持たずに退職した。私のところに相談にやってきて、最初に訴えてきたのは、勤務最初の4月第1週、その会社の新人研修合宿があり、その合宿で1週間「寝させてもらえなかった」ということだった。

「そんなん、カルト教団の洗脳合宿やん」と、当時の私はにわかには信じられず言った。

Photo by gettyimages
 

彼はその研修合宿のスケジュール表を見せてくれた。そこには、朝の「起床」時刻は記載されているのに、夜の「就寝」時刻は記載されておらず、深夜には毎日終わりの時間がはっきりしないミーティングの予定が記載されていた。

彼曰いわく、「僕は不真面目な方だったから、1日1時間くらいは何とか寝るようにしていたけど、真面目な人たちは本当に寝ていなかった」とのことだった。朝には「早朝訓練」と称し、ほとんど睡眠をとっていない状態で2km走らされたそうだ。まさに「洗脳合宿」である。

研修合宿後、通常勤務が始まったが、最初から「終電が定時」状態だった。そんな彼の業務日報を見ると、深夜23時台に「劇」という記載があった。

何なのか聞いてみた。

「この会社では、社員旅行で劇を披露するのが新入社員の役目で、この時間に新人が集まって劇の練習をしてました」

彼は、勤務半年足らずのころの深夜勤務中、仕事をしながらコンビニで買った夜食のソーセージをかじっていたら、その脂が飛び書類にかかったのを見て、ふと「俺一体何やってるんだろ」と思い翌日、退職届を出したそうだ。

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