2024.12.12
# 日本史
イギリス外交官が「幕末の日本」を訪れたとき「最初に感動したこと」
なんと美しいことか…江戸湾を北上
日本はいったい、世界のなかでどのような立ち位置を占めているのか。
世界情勢が混乱するなか、こうした問題について考える機会が増えた人も多いかもしれません。
日本が世界に占める位置を、歴史的な視点をもって考えるうえで非常に役に立つのが、『一外交官の見た明治維新』(講談社学術文庫)という本です。
著者は、イギリスの外交官であるアーネスト・メイスン・サトウ。1843年にイギリスに生まれたサトウは、明治初期の日本を訪れ、在日イギリス公使館の通訳官や、駐日公使を務めました。
本書は、サトウが日本に滞在した期間に見聞きしたことをまとめたもの。そこからは、当時の日本が世界のなかでどのような立ち位置にあったのか、イギリスという「文明国」から日本がどう見えていたのか、そのころの国際情勢、そして、当時の日本社会のあり方がよく伝わってきます。
たとえば、サトウが1862年、それまで滞在していた中国から航路で日本に到着し、江戸湾を北上していく様子はきわめて印象的です。
〈ロバートソンと私は汽船ランスフィールド号に乗船して、九月二日に日本に向けて出港した。中国沿岸を離れてはじめて見た陸地は九州南岸沖の火山島である硫黄島で、七日には深い霧の中を進み、気がついたときには伊豆半島に接近していた。幸運なことに霧が一時的に晴れ、この航路での経験が浅かった船長は航路を変更し、船は島々のすぐ横を走った。〉