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多くの人が意外と知らない、ここへきて日本経済に起きていた「大変化」の正体

失われた数十年からの転換

この国にはとにかく人が足りない!個人と企業はどう生きるか?人口減少経済は一体どこへ向かうのか?

なぜ給料は上がり始めたのか、経済低迷の意外な主因、人件費高騰がインフレを引き起こす、人手不足の最先端をゆく地方の実態、医療・介護が最大の産業になる日、労働参加率は主要国で最高水準に、「失われた30年」からの大転換……

注目の新刊『ほんとうの日本経済 データが示す「これから起こること」』では、豊富なデータと取材から激変する日本経済の「大変化」と「未来」を読み解く――。

(*本記事は坂本貴志『ほんとうの日本経済 データが示す「これから起こること」』から抜粋・再編集したものです)

日本経済はどのように変わったか

日本経済の低いパフォーマンスをもって、失われた数十年と揶揄されるようになり久しく時が経つ。実際にバブル崩壊以降、日本の経済成長率は長期的に減速しており、物価も長く下落を続けるなど、これまで日本経済は多くの苦境を経験してきた。

しかし、ここにきて経済の風向きは変わってきている。物価は上昇基調に転じ、日経平均株価も一時バブル期以来の高値を更新するなど、日本経済は徐々にその自信を取り戻しつつあるようにも見える。

他方で、これまで多くの人が待ちわびてきた物価上昇は、日々生活に必要な財やサービスの価格高騰を通じて人々の実質賃金を押し下げ、人々の暮らしを圧迫している。また、足元の資産価格の上昇や日本円の減価も一部の大企業製造業や資産家を潤しているだけで、人々の生活の豊かさにはつながっていないと指摘する人がいる。

こうした観点から、日本銀行の大規模金融緩和に端を発する現下の為替の急速な減価やそれに伴う輸入物価の高騰など、金融市場を中心とした短期的な変化が国民生活に与えている影響は確かに大きい。

ただ、より中長期的な視座で経済のデータを確認していくと、労働者をとりまく労働環境や企業の経営行動の構造は近年確かに変わってきている。