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2024.09.14

じつは「65歳以上高齢者」の「6~7人に一人」が「うつ」になっているという「衝撃的な事実」

日本は今、「人生100年」と言われる長寿国になりましたが、その百年間をずっと幸せに生きることは、必ずしも容易ではありません。特に人生の後半、長生きをすればするほど、さまざまな困難が待ち受けています。

長生きとはすなわち老いることで、老いれば身体は弱り、能力は低下し、外見も衰えます。社会的にも経済的にも不遇になりがちで、病気の心配、介護の心配、さらには死の恐怖も迫ってきます。

そのため、最近ではうつ状態に陥る高齢者が増えており、せっかく長生きをしているのに、鬱々とした余生を送っている人が少なくありません。

実にもったいないことだと思います。

では、その状態を改善するには、どうすればいいのでしょうか。

医師・作家の久坂部羊さんが人生における「悩み」について解説します。

*本記事は、久坂部羊『人はどう悩むのか』(講談社現代新書)を抜粋、編集したものです。

うつになりやすい高齢者

少し古いデータですが、「日本老年医学会雑誌」によると、六十五歳以上の人の六パーセントに大うつ病(本格的なうつ病)があり、小うつ病(いわゆるうつ状態)を入れると、一五パーセントに達するそうです(二○一○年)。

つまり、高齢者は六~七人に一人がうつに陥っていることになります。

なぜこれほど多くがうつになるのでしょう。

それは高齢になると、いろいろ不愉快なことが増え、忍耐力も衰え、将来の希望も持ちにくくなるからです。

まず、年を取ると心身の機能が衰え、身体が弱って、それまでできていたことができなくなります。視力低下、聴力低下、味覚低下、筋力低下、反射力低下、性機能低下で、見たり聞いたり食べたりの楽しみが減り、活動性も落ちて、不自由と不如意が増えてきます。

脳の働きも衰え、記憶力低下、判断力低下、順応力低下、集中力低下、持続力低下、忍耐力低下と、低下のオンパレードで、物忘れが増え、勘ちがいも増え、判断を誤ったり、物事が決められなかったり、応用がきかなかったり、ひとつのことが続けられなかったり、ひとつのことにこだわったり、すぐにキレたり、些細なことで苛立ったりもします。

著者である医師・作家の久坂部羊さん

さらには、退職して社会的役割が低下すると、出番がなくなり、人から注目されなくなり、年寄り扱いされて不愉快になり、逆にいたわってもらえなくてガッカリしたり、邪魔者扱いされて腹が立ったり、敬ってもらえなくて悲しかったりもします。
加えて、病気の心配、寝たきりの不安、家族との別れ、忍び寄る孤独、そして最後は死ぬことへの恐怖もあります。

いずれもイヤなことばかりですが、ふつうに考えて、だれにでも起こり得ることばかりです。それをあり得ない不幸に見舞われたように感じるから、うつ状態に陥るのです。