表紙にクレジットが入っている。これは今でも政府のサイトにある資料だ。大塚副大臣の答弁は、国会答弁の中でもまれに見る虚偽の疑いが濃厚である。
この話の経緯を述べよう。
郵政民営化のキモは、上記コラムで述べたように国有のままでは、長い目で見ると年間1兆円(非正規職員の正規化を織り込めばさらに3000億円が追加)ほど稼がないと郵政は存続できないということだ。それを、民営化以前のように実質的な税金負担にするか、民営化による収益増によるかしかない。
逆にいえば、今回の鳩山政権のように国有に固執すれば、小泉進次郎衆院議員(自民党)が喝破したように「成功したら民業圧迫、失敗したら国民負担」である。だからこそ、郵政法案を国会で審議するためには骨格経営試算と対比できるような政府の試算が必要になる。
そこで、昨年10月テレビ朝日サンデープロジェクトで、大塚副大臣と対談した竹中平蔵慶応大学教授(元総務大臣)は、大塚副大臣に経営試算を出すべきだと発言し、大塚副大臣は同意した。
ところが、その後、2月24日、塩崎恭久衆院議員(自民党)が質問主意書で、早く経営試算を提出するように質問すると、3月5日、政府として試算は出せないと回答した。その後、大塚副大臣は、「個人の試算」として出したのである。
そして、先週の28日強行採決の国会において、柿澤議員から「なぜ政府の試算をださないのか」と質問され、大塚副大臣は「小泉政権の時も、政府の試算ではない」という答弁を何度も行った。
そして、それに対して28日の「朝生」で私が指摘したのだ。
民営化会社の経営にまで政府が口を出す?
30日、テレビ朝日の番組「サンデーフロントライン」で、大塚副大臣は竹中教授と対談した。竹中教授は、大塚副大臣に対して答弁を撤回したほうがいいといい、番組の中で前記の資料を出演者に示した。
その表紙には、表題、提出年月日、提出者としての内閣官房郵政民営化準備室が書かれている。大塚副大臣は、撤回を拒否しつつも、表紙のクレジットについての反論はできなかった。
その代わりに、議論のすり替えを行った。骨格経営試算の性格の最後に書かれている「本試算の結果は、4民営化会社の将来を保証し、拘束するものではない」をさして、政府が責任を持っていないと反論した。