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【初心者向け】エンジンの仕組みとスペック

「直列4気筒1.0リッター・ターボを搭載し……」、こんな記述がクルマのメディアを見ると必ずと言っていいほど出てきます。ちょっとクルマに詳しい人ならすぐにピンとくるスペック表記ですが、クルマ初心者にとってはなかなかイメージしづらいものです。そこで、クルマ雑誌をより楽しく読むために、エンジンの仕組みと種類をご説明いたします。

ほとんどが4サイクルのレシプロエンジン

まずは、エンジンの仕組みから。現在、ほぼすべてのエンジンは「レシプロエンジン」と呼ばれるもので、シリンダー(筒)の中でピストンが往復し、この往復運動をクランクシャフトで回転運動にかえて、動力としているものです。レシプロエンジン以外には、ロータリーエンジンという方式もありますが、マツダ・RX-8の生産が終了して以来、市販車には採用されていません。

また、同じく現在ほぼすべてのクルマに採用されているのが、「吸入→圧縮→燃焼→排気」という4つの工程で、1つの動作を完結させる「4サイクル(4ストローク)」という方式です。一般的なガソリンエンジンを例に解説すると、“4つの工程”はこのようになり、すべてシリンダーの中で行われます。

(1)吸入:吸気バルブをあけて、空気とガソリンの混合気をシリンダー内に吸入します
(2)圧縮:バルブを閉じると、ピストンで混合気を圧縮します
(3)燃焼:圧縮された混合気をスパークプラグで点火すると、爆発・燃焼します。燃焼すると混合気が膨張し、その圧力でピストンが押し下げられ、この力が動力となります
(4)排気:押し下げられたピストンが上に上がってくるとき、排気バルブをあけて排ガスを外に出します

トヨタが公開している「Dynamic Force Engine」の動画で4サイクルのイメージをご確認いただければと思います。

なお、ディーゼルエンジンでは、燃料の“燃えやすさ”の違いから点火の方法が異なり、圧縮したときの温度上昇で着火させるものです。

エンジンのスペックを読み取ろう!

それでは、次にエンジンのスペックを説明していきます。雑誌などで「直列4気筒2.0リッター」と書かれているアレです。ではこの「直列4気筒2.0リッター」を例に見ていきましょう。

<直列>
シリンダー(ピストン)の配列。シリンダーが一列に並べられたものを「直列」、2列に分かれて「V字」に配置されているものを「V型」、シリンダーが寝かされ向かい合うように配置されたものを「水平対向」と呼んでいます。

<4気筒>
シリンダーの数。「4気筒」はもちろん、シリンダー数が4つあるもの。「直列4気筒(直4)」と言えば、一列に4つのシリンダーが並んでいるエンジンを指します。V字型にシリンダーが左右3つずつ、計6つあるものなら「V型6気筒(V6)」です。

左:直列4気筒、右:V型6気筒

<2.0リッター>
エンジンの排気量を指す言葉で、排気量とはシリンダー内で燃焼が行われる空間の容積を表します。「4気筒2.0リッター」なら、「500cc×4気筒=2.0リッター」となるわけです。基本的には、排気量が大きければ大きいほど、パワーが得られると考えてよいでしょう。

もっとも効率よくパワーを取り出せるのが、1気筒あたり500cc前後だと言われています。そのため、シリンダー数もそれに準じて決められることが多く、1.0リッター前後では3~4気筒が、4リッター前後では6~8気筒がよく採用されます。また、あまり多くのシリンダーを一列に並べると、エンジンが長くなって車両に搭載しづらくなってしまうので、4気筒までは直列に、6気筒以上はV型にするのが一般的です。

ターボってなんだ?

エンジンに詳しくない人でも、「ターボ=高性能」というイメージを持っているかもしれません。このターボとは過給器の一種で、排ガスでタービンを回してその力で空気を過給、シリンダー内により多くの空気を押し込むもの。たくさんの空気を吸入することで、より大きな爆発を行い、高出力を得ようという装置です。

昔は、より高出力を得るためにターボを採用していましたが、最近では燃費とパワーを両立するため、排気量を小さくしてターボで出力を出す「ダウンサイジングターボ」がよく用いられます。また、大小2つのターボを備える「ツインターボ」を採用するメーカーもあるものです。

なお、ターボの他に「スーパーチャージャー(メカニカル・スーパーチャージャー)」という過給器もあります。これは、排ガスの力ではなく、エンジンの動力の一部を使って、空気を過給する方式。フォルクスワーゲンやボルボなどは、ターボとスーパーチャージャーの特性の違いを利用して、2つの過給器を備えるエンジンを持っています。

エンジンの世界は奥が深い!

今回、説明したのはごくごく初歩的な部分。100年以上にわたって進化を続けてきただけあって、エンジンの機構や技術はとっても奥が深いもの。もし、エンジンに興味を持ったなら、ちょっと詳しい図解本などを手にとってみてください。もっともっとおもしろい世界が待っていますよ!

(木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]