ドル円は一時149円台前半まで急落 トランプ発言に翻弄=NY為替概況
ドル円は一時149円台前半まで急落 トランプ発言に翻弄=NY為替概況
きょうの市場はトランプ関税への懸念を改めて強め、為替市場は円高が強まっている。ドル円は149円台前半まで一気に急落した。朝方は円安の動きから151円台に買い戻されていたが、この日発表のISM製造業景気指数を受けて、市場にはリスク回避の雰囲気が急速に広がり、円相場は円高が強まった。
ISM指数は全体指数は50.3と予想は下回ったものの50の水準を維持していた。しかし、新規受注や雇用指数は50の水準を下回った一方、仕入価格は62.4に急伸している点にネガティブな反応を見せている模様。スタグフレーションを示唆する内容ではあった。
本日は終盤になって円高がさらに加速。トランプ大統領の発言に反応した。大統領は、日本と中国が自国通貨を弱めることで米国が不当に不利な立場に置かれていると指摘。大統領は中国と日本を例に挙げ、そうした国々にも関税を課す可能性に言及している。その他、カナダとメキシコ、中国への明日の関税賦課を再言及したほか、4月に輸入農産品への関税の可能性にも言及した。
ユーロドルは一時1.05ドル付近に上昇。本日の上げで再び21日線の水準を回復。きょうのところは1.05ドル台には慎重なようだが、1月中旬からのリバウンド相場は維持されている状況。100日線が1.0515ドル付近に来ており、目先の上値メドとして意識される。
本日は2月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)の速報値が発表になった。ここ数カ月間、上昇傾向にあったユーロ圏HICPは2月に前年比で低下。特に注目のサービスインフレがさらに低下したことが注目される。2月のサービスインフレは3.7%で、1月の3.9%から低下。
エコノミストからは今週のECB理事会の追加利下げが確実視される内容ではあるが、4月以降については未知数で、ペースは緩めると見ているようだ。0.25%ポイントの利下げを今回実施し、年内にさらに計0.50%ポイントの利下げを予想。ただ、政策金利はすでに中立付近まで低下しているため、基本ケースは4月は一旦停止し、次の利下げは6月というシナリオを描いているようだ。
ポンドドルは1.27ドル台まで上昇。21日線の上をしっかりと維持しており、1月中旬からのリバウンド相場を継続している。本日の欧州市場は欧州首脳による軍事費への協調策に注目が集まっていた。スターマー英首相とマクロン仏大統領は日曜日にロンドンでの緊急首脳会議の後、ウクライナ停戦を含む可能性のある計画に取り組んでいることを表明した。
本日は2月の英製造業PMI確定値が発表され、速報値を僅かに上回った一方、英住宅ローン承認件数は予想通り大幅に減少していた。ただ、10年平均は上回てっており、底堅さを維持している。
4月からの不動産税の増税回避のために買い手は購入を前倒しており、短期的には住宅市場を活性化させると見られているが、住宅ローン金利上昇により取引はさらに減少する可能性が高いとも見られている。2025年には約120万人の住宅所有者が住宅ローンを仮換えると見られており、2年固定金利の住宅ローンを利用している人は金利が若干下がるが、5年物固定金利のローンを利用している人は毎月の支払額が大幅に跳ね上がる。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。