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古田十駕(酒盛正)の文学日記

古田十駕の文学日記

2024-01-01から1年間の記事一覧

2024年12月28日 四日で一キロしか進めなかったとしてもかならず目的地に到達する。問題は意志のありよう。

三百六十六枚。年の瀬にありがちな生活上の都合と作品上の問題があって、四日かかって一枚書きすすむ。書くのに年の瀬も正月もないと言っても、そこは浮世に生きる身の辛さで諸事に雑多な不都合や手違いがあって、万事効率よくものごとがはこぶとはかぎらな…

2024年12月24日 大坂を下るごとしや老いの暮れ

三百六十五枚。吉野城が落ち、桐山城がおち、金剛山、葛城山の砦群が落ちて孤塁となって幕府の大軍の包囲攻撃をうけながら千早城は落ちない。正成の孤軍奮闘ぶりをできるだけ抑制して書く。ごろた石がゴロゴロしている川原を歩いている感じで捗らない。 酒盛…

2024年12月20日 見上げれば屋上に空の人

三百六十四枚。二月一日に吉野の金峯山寺に拠る護良親王の陣が壊散し、護良親王の行方が知れなくなる。高野山に逃れていたらしい。その後正成が幕府軍に包囲された千早城に籠もって孤軍奮闘するうち、閏二月二十四日に後醍醐院が隠岐を脱出する。年内にそこ…

2024年12月16日 道に大の字になって「さあ、殺せ」という、あれ。

三百六十枚。寒さにはいたって堪え性がなく、寒くなって夜のトイレでの読書をやめたら便秘気味になる。書くほうは砂利道を裸足で歩いているような感じで、痛い。文章にトーンを与えれば書きやすいのだが、そうするとそのトーンに馴染まない事柄が書けなくな…

2024年12月12日 社会がちょっとヒステリックになっているような気がする。

三百五十七枚。七章をやっとのことで切り抜けたが、八章に入っても相変わらずなかなか捗らない。後醍醐院の隠岐脱出になかなかたどり着かない。モグラ退治と植木の水遣りをしながら時間を浪費しているようでイライラするようになった。書くという行為には神…

2024年12月8日 通り雨すぎて白雲あり

三百五十五枚。桐山城(上赤坂城)を攻略した幕府軍が詰城の千早城へ迫るところまで書く。吉野の護良親王麾下の善戦もあって戦況が膠着すると西国各地の反幕府勢力が蜂起する。この各地の反幕府勢力の蜂起を今日から書く。老眼、乱視の目で地方資料を細かく見…

2024年12月4日 夜闇の雨は人の心を描くように書くのかな。否。

三百五十一枚半。少し追加になってのびるが、たぶん今日、明日中に七章書き終え。ただし今日、明日に書くところでまだ迷っている箇所があって、あとで書き直しすることになるかも知れない。この章との区切りをはっきりさせないかたちで次の章に継いで、大和…

2024年11月30日 三百年ほども生きたし秋の暮れ

三百五十枚。あと一、二枚で六章書き終え。今月中に六章を書き終えること叶わず。後醍醐天皇の隠岐脱出まで書けなかったので、この章の小見出しを変え、もとの小見出しは次章へまわす。こんなことばかりしている。少し体調を崩したので夜中にトイレへいった…

2023年11月26日 目の前の自分が何者なのかを知る術がない。

三百四十七枚。三月毎の定期検診で午前中病院へ行っていたので、今日はモグラ掃蕩戦は休戦。近所に宅地開発があって、そこから避難してきたらしいモグラとの一進一退の攻防が夏から続いていて、ようやく塀ぎわ二面、建物ぎわ一面のモグラの進入路を破壊して…

2024年11月22日 夕暮れて風に醒める山木

三百四十五枚。一昨日は実を採り終えたムベの棚の刈り込みをして、絡まっていた蔦をとったので寝室の窓が開くようになる。ついでに汚れていたその窓のカーテンを取り替えることにする。元弘三年の二回目の赤坂合戦をあと七、八枚書いて六章終え。七章は隠岐…

2024年11月18日 日々の足跡が遠近法で歴史になる。

三百四十三枚。元弘三年の二月から閏二月にかけて護良親王が拠る吉野、楠木正成が拠る南河内へ幕府軍が進攻し、伊予、西播磨では北条専断を疎む西国御家人が倒幕の狼煙をあげ、世情騒然となる。このあたりはほぼ同時的に各地で起きる事態が錯綜して、それを…

2024年11月14日 生死を滞る勿れ。

三百四十二枚。ここ数日、何はともあれ書きすすんでいるという感じ。元弘三年二月の二度目の赤坂城攻め開戦のところまで書く。「太平記」は合戦に次ぐ合戦の死闘が売りだが、この作品では楠木正成の人となりに焦点を合わせて書いているので、合戦や殺戮のシ…

2024年11月10日 野道を辿る楽しさ。

三百三十九枚半。先週から挿入ばかり。細部を書くために新たな資料を見つけ出してくると挿入、書き直しができるという、毎日モグラとの攻防を繰り返しながら、その繰り返し。こういうのが、もしかしたら極楽なのかも知れない。大悟も要らないし、美女も要ら…

2024年11月6日 武器は石と唐辛子粉と唐辛子液とヨードチンキとコーヒー滓。

三百三十七枚。書き直しと挿入に何日もかけている。今日も午前中に挿入部分の資料調べにかけ、昼食後、さっきまでモグラ退治をしていて、このあと午前中に調べた資料に拠って挿入を書く。一日があっという間に過ぎる。今月中に六章を終えたいのだが、この調…

2024年11月2日 トホホと言わず息杖をつく

十九枚戻って書き直す。半枚ぶんほど短くなった。その続きを今日から書く。骨を折っているという実感があって、ふと気がつくと自分の手で肩を揉んでいたりする。やることが爺臭くなった。世間一般の処世術に耳を貸さず急峻をあえて登ろうという若い頃あった…

2024年10月29日 用途に適った門扉。

三百三十五枚。六章の三分の二書き終える。続きを赤坂円心の蜂起から書き出し、すぐまた筆を転じて大和の情勢、北河内の天王寺、南河内の赤坂での戦闘を今日から書く。その間に後醍醐院が隠岐を脱出して、七章で書く本格的な南北朝の抗争へ展開する。楠木正…

2024年10月26日  呑めるのも命の証。

三百三十二枚。急な坂をえんやこら、えんやこらと自転車を押して登っている感じ。とにかく堪える。一日二時間か二時間半書くのが精一杯。そのほかに前作の推敲、次作の資料読みなんかもあって、夜になるとどうしても一杯やりたくなるのだが、歳のことも考え…

2024年10月22日 何かおもう秋の顔

三百三十枚。およそ半分を書き終えてみると、前半の書きようが少し重たかったような気がする。どのように直すかこれから考える。たかが言葉。しかし言葉しかない。はじめに神の言葉ありきと聖書の冒頭に書かれているが、この世の最期には誰かが何かに書き散…

2024年10月18日 いい本を手に入れた日は楽しい。

三百二十七枚。楠木勢が四天王寺においた陣への向かい城として幕府軍が天王寺に築き始めた塞へ楠木方の野武士らが夜襲をかける。作品のちょうど真ん中あたり。このあたりから南朝方、北朝方が畿内のあちこちで衝突して戦乱の世相の様相を呈し始める。このあ…

2024年10月14日 六道皆地獄。

三百二十五枚。一昨日、図書館の廃棄本八十五冊もらってくる。半分は次作の資料。半分は画集、山岳写真集の類いと河盛好蔵随想集全七巻のうち一、七巻欠け五冊。自動車免許を返納してしまっていて、自転車で持ち帰る。帰りに橋の上から見える雲の浮かんだ秋…

2024年10月10日 文学の世界に商業主義はいらない。

三百二十二枚。午後、今日が初日の古本市へ行って古い全集の端本を買うつもり。最近の小説は面白くないので、持っている筑摩文学全集一期に所収の作品のようなものばかり読んでいて、その欠本があれば買ってくる。どれも百円均一で売っている本なので、でき…

2024年10月6日 無門野道

三百二十枚。六章の三分の一書き終える。秋は本の書き入れどきで、とくに今週から来週にかけて図書館の廃棄本の配布やら古書市へ出かけるので忙しい。いつも家に籠もって南北朝時代のことを書いていてたまに外出すると、世間のことが何もわからない。まるで…

2024年10月2日 青葉を落としつ熟す柿

三百十八枚。元弘三年正月の三度目の天王寺出陣。六波羅軍の本格攻勢が始まる。事態の錯綜、資料の不足が続く。匍匐前進と挿入、書き直しの繰り返し。 酒盛正の電子書籍 ↓ ↓ ↓ ↓ (表紙画像をクリック) books.rakuten.co.jp 曹洞宗の禅林で破門同然となった良…

2024年9月29日 鳥も蝶もモグラも我が家で安らえ

三百十七枚。夏の終わりに一度撃退したつもりでいたモグラがまた出没するようになって、またイタチごっこのモグラ叩きを始める。そのせいではないが、一日半枚という遅々としたペース。 酒盛正の電子書籍 ↓ ↓ ↓ ↓ (表紙画像をクリック) books.rakuten.co.jp …

2024年9月26日 生き物ら何やらいそぐ秋の日は

三百十五枚。正成が三度天王寺へ出撃するところ。このころの河内の守護、守護代、地頭の資料があまりない。あっても守護代某とか地頭野田某というふうではっきりと話の中へ持ち込むようには扱えない。何にしてももう七百年も昔の話なので急がずに書く。 酒盛…

2024年9月23日 強靱な無駄の合理性。

三百十三枚、元弘二年の暮れから翌年正月中にかけての錯綜する状況の裏の事情を書き、さらにさの裏の裏の流れにまで踏み込んだところでちょっと足踏みしている。書いていて体の芯が疲れる。あと数枚、この状況を書く。書き出した作品は何が何でも書ききる。…

2024年9月20日 雷鳴轟く高空を鳥が翔ぶ

三百十二枚。七章の頭から十数枚はまとまりなく何だかんだと書いている感じ。「太平記」だと血なまぐさい苛烈なことを書いてさっさと書きすすんでいくのだが、あえてそうせずに錯綜する状況を小説の本質を損ねない範囲でそのままくねくねと書く。すると板目…

2024年9月16日 朝一番に蟷螂と揚羽蝶の話する

三百七枚。なんとか書きすすんでいるが、元弘二年の暮れから翌年二月の間の記述が錯綜して読みづらくなってしまって、このところ毎日翌日書いた文章に手を入れるのに一日の半分くらいを費やしている。そうやって直した文に書き足して、また翌日になると手を…

2024年9月13日 雲の中で生まれかならず地におちるもの。

三百四枚。少々夏バテ気味で筆も滞る。モグラが出没してあちこちにできるモグラ塚を潰したり、穴の巣を掘り返してコーヒー滓にヨードチンキと唐辛子の粉を混ぜたものをその中に撒き入れて埋め戻す嫌がらせして撃退しようとしていたが、数日前にそのモグラを…

2024年9月10日 今夏モグラが出没してモグラ塚を潰しまわっていたが、昨日初めてモグラを目撃する。

三百二枚半。七章冒頭の二枚に手を入れて前章の後尾につける。そうすると、一カ所どうしたものか悩ましい箇所があって、あとでさらに手を入れるかも知れない。十文字ほど削るかどうするかということでどうしたところで作品全体の出来にはほとんど関係しない…