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[Vol.1896] 米利下げ方針で金(ゴールド)相場上昇

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。75.54ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。2,759.91ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。25年05月限は17,310元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。25年03月限は609.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1796.56ドル(前日比3.24ドル縮小)、円建てで9,238円(前日比36円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月23日 17時57分時点 6番限)
13,909円/g
白金 4,671円/g
ゴム 382.3円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,960円/mmBtu(25年4月限 12月19日17時25分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「米利下げ方針で金(ゴールド)相場上昇」
前回は、「グローバル・日本、スポット・積み立て」として、NISAがカバーする金(ゴールド)投資の範囲(2025年1月17日時点)を確認しました。

今回は、「米利下げ方針で金(ゴールド)相場上昇」として、FFレートと海外金(ゴールド)現物価格の推移を確認します。

2025年の金(ゴールド)相場を展望します。以下は、筆者が考える金(ゴールド)に関わる七つのテーマの見通しです。

米国の中央銀行に当たる「FRB(米連邦準備制度理事会)」は、2023年12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げから利下げにかじを切りました。それ以降、時期や下げ幅を巡る「程度」の議論はあれども、「利下げ」の方向でおおむね一致しています。

以下のグラフのとおり、2019年半ばから2020年5月まで行われた利下げ局面で、ドル建て金(ゴールド)価格は上昇しました。米国の利下げが、ドルを保有するメリットが薄まる→金利が付かない金(ゴールド)のデメリットが薄まる、という連想を生んだことが主な要因です。「代替通貨(ドルの代わり)」起因の上昇圧力が生じた例です。

2022年・2023年は、記録的な利上げによって生じた急激なドル高が、ドル建て金(ゴールド)相場に「代替通貨」起因の強い下落圧力をもたらしました。

この間、ウクライナ戦争などの有事が発生したり、それによって株価が下落したりして複数の経路で上昇圧力が生じたものの、利上げによってもたらされた下落圧力に相殺されました。(ドル高の反対側の円安により、円建て金(ゴールド)は上昇)

しかし2024年以降、先述のとおり、米国は利下げの方向でおおむね一致しているため(時期や下げ幅を巡る程度の議論はある)、将来的なドル安への思惑から、徐々に金(ゴールド)相場には上昇圧力がかかりやすくなっていると言えます。

議論がなされる中で、いかに利下げ回数の予想が減少しても、いかに利下げ幅の予想が小さくなっても、「利下げ方針」が保持されてさえいれば、金(ゴールド)相場には上昇圧力がかかり続ける可能性があります。2025年も、米国の金融政策をきっかけとした「代替通貨」起因の上昇圧力が続くと筆者は考えています。

図:FFレートと海外金(ゴールド)現物価格の推移
図:FFレートと海外金(ゴールド)現物価格の推移
出所:FEDおよびLBMAのデータ、Fed Watch Toolの資料を基に筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。