正答率95%保証のAIチャットボットをはじめ、『世界中の誰もが、テクノロジーが産み出す価値を享受できる社会』を創るため、機械学習の社会実装を推進するカラクリ株式会社。
カラクリ株式会社が目指す事業展開やエンジニア組織について、CTOの中山智文さんにお話を伺っていきます。
取締役 CTO(人工知能・データ分析スペシャリスト)中山 智文さん |
東京大学大学院で機械学習技術の応用研究を現役で行いながら、機械学習の社会実装を推進するため2016年10月カラクリ株式会社CTOに就任。学部在学時よりビッグデータ分析、Web開発、スマートフォンアプリケーション開発などを請け負う。学部卒業後、フリーランスとして仕事を続けながら、シリコンバレーに1年間の留学。コンピュータサイエンス、特に情報セキュリティについて学ぶ。好きな数学は代数的数論。 |
カラクリの目指す世界
――カラクリが掲げるミッションとは
中山:弊社は「今までにないカラクリで世の中を豊かに」というミッションを掲げています。世界最先端技術の研究成果の実用化を目指しているデータサイエンティストが多く在籍しており、僕も大学院でAIの研究を続けている一人です。
ご存じの通り、AIなど学習するマシンの出現により、仕事における“人の役割”は変化しつつあります。AI技術の最先端にいる僕らは、同時にその限界も知っています。だからこそ”人間にしかできないこと”と”機械にもできること”の境界線を引くことができます。技術を取り入れていくことで、人が人のやるべき仕事に集中できる環境をつくりたいんです。技術により人の仕事が変化し、その革新が新たな技術を登場させる、両者が相互に発展していくことで生産性があがり、より豊かな社会を生み出せると考えています。
それを実現するための1つのプロダクトとして、カスタマーサポート特化型AIの「KARAKURI(カラクリ)chatbot」というサービスの提供を始めました。
――今後の事業戦略として、3〜5年後にイメージしていること
中山:カスタマーサポートの現場は、まだまだアナログな部分が多く残っています。そのため人手不足による長時間労働やカスタマーハラスメントなどが課題になっており、肉体的にも精神的にも現場の方々に負担がかかりがちです。ここに僕らの技術を取り入れてもらい、カスタマーサポートのデジタル革新を目指していきます。
現在、カスタマーサポート領域で提供しているサービスはAIチャットボットやFAQサイトの自動生成などが挙げられます。これらを起点として、それ以外の自動化の選択も増やす必要があります。たとえばチャットボットによる問い合わせ削減はもちろんのこと、そもそも問い合わせを発生させないようにするため、あらかじめ課題をサポートする仕組みづくりも重要と考えています。
たとえば、CRMや行動ログなどから、AIが「解約予兆」「ロイヤルカスタマー予備軍」をリアルタイムで察知し、最適なアクション(チャット接客・WEB誘導など)を実行するようなことができればいいかもしれません。
人間ではなく機械の方が得意な仕事がいくつもあります。そこに僕たちの技術を取り入れていきたいですね。
エンジニア組織の今とこれから
――今後の展望を実現する為に必要なエンジニア組織とは
中山: 基本的に各自の能力を高めあえる組織でありたいですね。「データ分析ならAさん、UXならBさん・・・」というように、1人ひとりが頼られる分野を持ち、その役割を充分に果たせる組織づくりを目指しています。 当たり前のことですが、一緒に働く仲間を尊敬できない環境は気持ちよくありません。エンジニアに限らず、メンバー全員がお互いを尊敬しあえる会社にしたいと考えています。
――組織づくりで取り組んでいることは
中山: カラクリは、何か強みを持っているメンバーが多く在籍しています。そのため、現状は、どちらかというと強い“個”の集合体になっています。そこにチームとしての強さを加えていきたいですね。
専門性を高めていくのはもちろん、チームを活性化させるために必要なスキルがあれば、 OKR(目標の設定・管理方法のひとつ、Objectives and Key Resultsの略)に組み込みます。当たり前のことですが、一人ひとりが「まわりのメンバーを助けられる」ようになってほしいんです。例えば「自分以外のメンバーや他チームのミッションを◯個以上達成する」という内容を評価対象に含めることで、隣にいる人の仕事を理解するキッカケになるでしょう?そのキッカケさえあれば、自然と協力し、高めあっていける環境がうまれ、チームとして成果を上げられると考えています。
――エンジニア組織のおける現在の課題とは
中山: シンプルにリソースが足りていません(笑)。
お客様からのご要望はもちろん、社内からも毎日のように機能・サービスに対するアイデアが出てきている状態です。また先ほども申し上げたようにカスタマーサポート領域のデジタル革新をしていくには、多様なサービスが必要とされています。
これらを世に出していくために、まさに今、積極的に人を増やしています。これからも、Findyさんにはすごくお世話になる予定です(笑)。
エンジニアの待遇と環境
――エンジニアの勤務環境で配慮していることは
中山: 成果が出せる環境で働いてもらうことを重視しています。リモートワークの例でいうと、週1回利用するメンバーもいれば、週4回利用しているメンバーもいます。たとえば最先端技術の研究は会社を強くしていくと思うので、大切な学会やセミナーがあれば、会社に出社するよりも参加することに意義があると考えています。
――業務配分や評価はどのようにしているのか
中山: それぞれのスタイルに合わせたプロジェクトをお願いするようにしています。たとえばリモートワーク中心のメンバーには、比較的コミュニケーションが少なくても進めやすいものをお願いしています。ただ、メインのサービス開発はフルリモートの方にお願いするのは難しいため、週に1日以上は出社できることを条件にさせてもらっています。
また、会社の指針や方向性を共有するため、毎週木曜の午前に全社定例を行っています。雇用形態を問わず、プロジェクトにJoinしてもらっているエンジニアは仲間なので、できるだけ全員に参加してもらうようにしています。
もう1つ、僕との1on1のミーティングを隔週ペースで実施しています。こちらも雇用形態に関係なく全員と必ず行っています。顔合わせる機会が少ないと、気づかないうちに無理をしていたり、会社に対する不満が溜まっていたりしやすいですよね。 モチベーションの面でも同じ目的意識を持ってもらえるように、プロダクトの意義について話したり、市場の課題感などをお話させていただいて、同じ方向を向いて働くことができるよう意識しています。
一方通行で評価する側・される側にわかれるのではなく、お互いのことを知りたいし、僕に対するフィードバックもぜひしてほしいんです。
僕はCTOという立場ですが、まだ20代で学生もやっている状況なので、経験が足りない部分はたくさんあります。今、エンジニアは30代の人たちが中心になっているので、組織に対しても僕自身に対しても、よく多くのフィードバックをいただき、改善を重ねていこうと考えています。