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USBって5Vじゃなかったっけ・・・

 


はじめまして。

これは Nature Engineering Blog祭 の8日目の記事です。
箸休め回としての2回目、ハードウェア、特にエレキエンジニアリングのツールについて紹介します。

こんな文章を書くのは初めてなので、生暖かい目で読んでもらえると嬉しいです!

茶番

エレキ設計といえば、やっぱり回路シミュレーターd

カスタマーサポート(以下、CS)「そんな事してる場合じゃないですよ!!Nature Remo mini 2が壊れたって問い合わせが、いくつか来ているんです!!」
私「な、なんだってぇ~~。回収して確認しよう!」

そして、数日後。。。
CS「実機確認したんですけど、やっぱり故障していそうです!!」
私「これは、電源ICが壊れてるね。この故障ってACアダプターの出力異常が可能性高い気がするんだけど、、、、そんなことあるのかなぁ・・・」
CS「わかりました!お客さまから使ってたACアダプターを借りれないか聞いてみます!!」

さっそく、お客さまへ対象となるACアダプターを貸してほしいとの打診をし、ACアダプターを入手してくれました。

なんてフットワークの軽いサポートなんだ。
そう、Nature社のカスタマーサポートは、対応が早いのです!

CS「いくつか確認しました!!これって普通ですか??」

私「これ、、、ひどいね。。。」
スイッチングノイズが8Vに迫る波形。。。これが接続されたら、さすがに壊れるかもなぁ・・・

CS「こっちはもっと酷いですよ!ACアダプターにPSEマークもありません!!」

私「・・・(絶句)」 
出力全然出てないし、ピークは10V超えてるし、、、、
さすがに、このACアダプターって壊れてるんじゃないの??

そう、みなさん、気が付きましたね。
Nature社のカスタマーサポートは、自らオシロスコープTektronix製 TBS2104)を使って波形の測定もしてくれるのです!
とても頼りになりますね。

Nature Remo mini 2は、USBケーブルだけを付属していて、ACアダプターは自分で用意してもらうようにしているので、何が接続されるか分からない。そして、たまたま変なACアダプターを使用されると、故障してしまう。
そこまで、故障報告が多いわけではないものの、数件、このような故障が発生しているってことは、一定数、出力が不安定なACアダプターが流通してるのも事実のようです。

ということで、タイトルの通り、今回は、エレキのエンジニアリングツールではなく、いろんなACアダプターがあるよねって話をします。

なぜ、こんな出力になっているのか考えてみる

他社の製品なので想像の話にはなりますが、少し考察してみます。


最初の波形はACアダプターの想定している負荷より、実際の負荷が小さすぎて出力が不安定になっているように見えます。電源回路で、たまに見かける低負荷時に不安定になるってやつです。
想定してるものが、バッテリーのようなものの場合、負荷電流も大きくなります。Remoの場合、赤外線を出力しない場合、平均して100mA以下の消費電流となりますので、1A~2Aを想定していた回路からすると、”低負荷” となってしまっていたのかもしれません。

2つ目の波形は、ACアダプター内の部品故障(波形を見る感じ入出力のコンデンサ辺りが怪しい)があって出力が出てない。って感じに見えます。
コンデンサには耐圧が決まっていて、どれくらいの電圧なら故障しないか?が決まっています。この耐圧を超えると、コンデンサは故障します。
また、おそらく実装されているコンデンサは、アルミ電解コンデンサだと思います。アルミ電解コンデンサの場合、経年劣化により、容量の低下が発生します。長い期間使用していると、本来、出力を安定させるために接続していたコンデンサが全く機能せず、高い出力となってしまい、それを検知したICが出力を止める。ということを繰り返しているように見えます。

このように、電源回路を設計するときには、最大負荷だけではなく、最小負荷も気にする必要があったり、コンデンサの耐圧の余裕度を考えたり、アルミ電解コンデンサを使用するときには、経年劣化を想定して寿命計算をしたり、色々と考えることが多いです。そんな中、コストを優先したり、形状を小型にすることが最優先だったりすると、無理のある設計になることもあったんだろうなぁとフォローしておきます。

他にないか、色々なACアダプターを見てみる

上記で紹介したものは、お客さまからお借りしたものなので、すでに返却済みでした。
ですので、家にあったACアダプターを色々持ってきて波形を見てみます。

左から見ていきます。たぶんコンビニで買ったであろうACアダプターです。

こちらは、無負荷時にスイッチングノイズが大きくなっていました。そのピークも6Vを超えているものあり、USB電源としては、ちょっと大きすぎです。
一方、Remoを接続すると、スイッチングノイズは明らかに小さくなっていました。
この状態であれば、故障はしないだろうなぁと思います。

 

つぎに、htcのACアダプター。これは遠い昔、Nexus7に付属していたACアダプターです。本体はもう無いんですけど、アダプターだけ残っていました。

こちらは、コンビニのアダプターのような無負荷時のスイッチングノイズは見られません。しかし、Remoを接続したときに見られる波形がガタつきが、コンビニアダプターより目立ちます。これは、ロードレギュレーションという性能で決められています。これでも5%程度のようですので、悪くはなさそうです。
負荷変動に対するフィードバックの早さと、それを受けて電圧の調整をするスピードが早ければより、フラットな波形となります。
一般公開されない数値ですが、商品に同梱するとなると気になるスペックの一つになります。

 

つぎに、Amazon。これは、昔々、Amazon Fire stick TVを買ったときに付属していたものだと思います。

これは、さすがの一言です。

 

最後に、日本メーカーが海外向けに作ったものです。


これらの中では、ロードレギュレーションが最も悪いものの、5%くらいには収まっていそうです。ACアダプターのスペックをみると、1.8A流せるようなので、100mAくらいって思うかもしれませんが、”1.8A流すことができる”ということと、低負荷時の安定性だったり、負荷変動の応答などとは、別な性能になるので、それはそれ、これはこれなのです。
なので、我々としては、これくらいの電源が接続されても問題ないように設計する必要があります

おまけ。ここまで書いておいて、Remo3に付属していないものは載せないのか?って思いましたか?私は、思いました。それでは、数年前の自分に震えながら波形の測定をしてきます。

数年前の自分は、ちゃんと選定できていたようです。安心しました。
こちらも、ロードレギュレーションの影響が若干見られますが、他と比べても出力の安定感があるように思います。

最後に

Nature社のカスタマーサポートは、こういったフィードバックをくれるので、次の設計はこうしよう!とか、もっと改善できるところはないか?とかを考える、良いきっかけをくれます。

今回の気付きは、

「ACアダプターのUSBの出力は、ちゃんと5Vである(高出力のPDを除く)ってことは、保証されていないので気をつけよう!」
です。
今回の報告を受けて、想定が甘かったなぁと反省しました。

output 5V って書いてあるし、5V±10%くらいには収まってるって思ってました。
正直、波形を見るまで信じられなかったです。
次の設計では、もっと考えなきゃなぁ。

みなさんもNature Remoに限らず、デバイスの調子悪かったら、一度、ACアダプターを変えてみてはいかがでしょうか。

 

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