CAN 【Controller Area Network】
概要
CAN(Controller Area Network)とは、自動車などの機械の内部で、電子回路や各装置を横断的に接続するための通信規格の一つ。1986年に独自動車部品大手ボッシュ(Robert Bosch)社が開発し、1993年にISO(国際標準化機構)によってISO 11898として標準化された。自動車内部でECU(電子制御装置)やエンジン、ブレーキ、センサーなどの部品をつなぎ、各部の状態を伝達したり制御情報を送ったりするのに使われる。すべての装置が一つの伝送路を共有するバス型のネットワークとなっている。
安全に関わる信号の伝達にも用いられるため高い信頼性が求められ、耐ノイズ性の高い伝送方式や損傷箇所の自動的な切り離し機能などが採用されている。伝送速度は最高で1Mbps、実運用上は数十~数百kbpsで利用される。大量のメディアデータの送受信などには向かないため、車載AV機器などの通信にはIDB-1394など別の通信システムを搭載することが多い。
自動車などの複雑な機械は内部に様々な制御システムを内蔵しており、それぞれについて通信線や制御回路を用意すると部品点数が膨大になり故障頻度やコストが増大する要因となる。CANのような共通の信号線に相乗りするバスを用意することで、多くのシステムの通信系統を統合し、部品点数が増えても構成をシンプルに保つことができる。
CANは自動車以外にも工作機械など高度な工業製品の制御システムに利用されている。自動車以外の用途に使えるよう、ネットワーク層以上のプロトコルを汎用的なものにした「CANopen」という派生規格があり、医療機器や産業機械などで幅広く利用されている。
(2019.7.22更新)