2022 年 78 巻 2 号 p. I_139-I_144
低平地の効率的な用排水管理のために,迅速に予測可能な水位予測モデルとして深層学習(DNN)を用いる試みがあるものの,観測データが少ない場合に,予測精度が低いことが知られている.そこで,機械学習の1種であるサポートベクター回帰(SVR)を用いて,少ないデータでも予測精度の良い水位予測モデルを構築し,DNNを比較モデルとして,データ量の大きさを対象にモデル予測精度の検証を行った.入力データは,2つの異なる地区で収集された雨量と水位とし,季節変動のサイクル数が少ないものを短期ケース,長いものを長期ケースとして分類する.短期ケースの場合,SVRの6時間先までの予測結果は,DNNよりも6~28%の精度の改善が見られた.一方長期ケースでは,両モデル共にほぼ同程度の予測精度であった.また,急激な水位変化ではSVRの予測精度の低下が見られた.