水力発電とは、水流を用いた発電方法である。
一般に電力は、太陽光などの例外を除いて何らかの力でタービンを回転させることにより発生させている。水力発電は人類が古代から用いてきた水車の仕組みを応用し、流水の力でタービンを回転させるものである。
商用電力の発電方法としては火力と並び最も古くからある方法で、かつては最もポピュラーな発電方法であった。やがて効率やコストで勝る火力や原子力が台頭するようになったが、クリーンで扱いやすく、かつ安定した発電手段として現在でも先進国・途上国問わず世界中で活用されている。
ダムや貯水池に設置するものを指す。発電量の調整が容易で治水効果も上げられるが、渇水時は能力が落ちる上に建設には広大な土地を犠牲にする必要がある。
河川など平坦な流水に設置するものを指す。比較的設置し易いが調整が難しく出力も貯水式に対しどうしても劣る。渇水時扱いにくいのは貯水式に同じ。
名称に発電の文字が入っているが実質的には電力供給を調整するための電力蓄電システムの一種である。
高低差のある2つの貯水池とそれらを結ぶ導水管およびその中間に設置された水力発電機を兼ねる揚水ポンプで構成されている。
電力需要の少ない夜間の時間帯に余った電力を用いて高所の貯水池に水をくみ上げておき、電力消費がピーク時になったら高所の貯水を低所の貯水池に落下させて需要を補う。そしてまた電力が余りだしたら水をくみ上げ… 以下無限ループ
なお、詳細は揚水発電の記事を参照されたい。
近年注目を浴びつつある、新しい発想の水力発電を指す。一般的に水力発電所は大規模な河川やダムに設置するが、マイクロ水力発電では田畑の用水路や、ビルの配管などのごくわずかな水量を活用する。コストは大規模なものに比べやや割高で発電量もごくわずかではあるが、ほんの少しの流水さえあれば設置できるので場所に困らず、太陽光や風力のように昼夜や気候に囚われず安定した電力を供給できるとされる。
基本的に一定量の水流さえあれば発電できるので、石油や石炭などの化石燃料や、ウランなどの熱源を必要としない。よって鉱物資源の価格変動の影響を受けず、万一シーレーンが塞がれた時も、気候が正常である限り能力を発揮できる。
燃料の燃焼が無いので、発電に於いてCO2やその他公害の元となる有害なガスが発生しない。但し、周囲の環境次第ではメタンガスが発生する恐れがある。
風力発電や太陽光発電などの自然エネルギーは、風や雲などごくありふれた現象が発電量におおきく影響するため、安定性に欠けるという決定的な弱点がある。その点水力は、周辺に適度に雨が降れば十分な量の電力を供給できる。
貯水式の水力発電所であるダムは発電量の調整が容易だが、建設に当たり山中の広大な範囲を水没させることになる。当然周囲の自然環境は破壊される上、そこに人家や集落があれば住民の移住が必要であるし、場合によっては現地の重要文化財の存続に関わる場合もある。更にダム周辺の景色が一変するため、景勝地が消滅してしまうことも多い。しかし、それらは地球環境に比べれば局地的なものと考えることもできる。
中国にて2009年に竣工した三峡ダムの建設では数百万単位の住人の移住や、千件以上に及ぶ文化財の保存及び取捨選択などで、莫大な規模の諸問題が発生した。それでもこの巨大プロジェクトを完遂させたのは、ある意味中国共産党の成せる技と言えるかも知れない。
また河川に設置する流れ込み式の水力発電所も、国内の目ぼしいところは一通り建設が終わっている状況であり、今から数を伸ばしていくのは難しいとされる。
渇水で十分な水流が見込めない場合、水力発電所は本来の能力を発揮できない。特にダムの場合は貯まっている水が下流の住民の生活用水になるため、渇水が予想される時点で水をセーブしなくてはならない。夏場は電力需要と水不足の板挟みになることも考えられる。
万が一ダムが何らかの理由で決壊した場合は下流に鉄砲水が押し寄せ大洪水を引き起こす恐れがある。自然災害による貯水量の上限を超える程の水の流入や、軍事作戦若しくはスパイ・特殊部隊などによる破壊工作などが原因として考えられる。第二次世界大戦中はイギリスが敵国のドイツにあるダムを攻撃、破壊しており、この時は下流で千二百人以上に及ぶ犠牲者が出ている。
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最終更新:2024/12/26(木) 16:00
最終更新:2024/12/26(木) 15:00
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