ピクシブ百科事典(ピクシブひゃっかじてん、旧名:pixpedia(ピクペディア))とは、ピクシブ百科事典製作委員会が提供するオンライン百科事典である。
絵に付けられたタグについての詳細や情報を解説したり、行われる企画の詳細などが記載された百科事典である。Wiki文法が使え、よくあるWikiサイトと同じように記述して書いていくことができる。編集するにはpixiv会員である必要があるが、pixivプレミアム会員でなくても編集可能。
イラスト投稿コミュニティの関連サービスということで、構図やポーズ、シチュエーション等の記事が充実している。全体的に簡潔に説明する傾向にあり、短いものでは1行のみというのも少なくない。記事の内容は、あくまでpixivにおけるその単語(タグ)の扱いというもので、用語とは言えない一般的な単語において傾向が強い。一方で、ニコニコ大百科の記事より長い文章で書かれていたり、事細かに解説されている記事もいくつか見受けられる。
pixiv本体がR18コンテンツを許容している関係上、性的な意味で含蓄な記事が多い。そもそも論で言うと母体のpixiv自体イラストタグが性的な意味で充実しすぎている訳であるが。
2011年6月30日のリニューアルによりサイトデザインが一新され運営元が「ピクシブ百科事典製作委員会」となった。委員会の構成や所属メンバー等の詳細は不明。デザイン一新に付随する不具合以外に記事アイコンや動画貼り付け等廃止された機能が多数あり、以前から活動していた編集者からは苦情が寄せられている。
余談だが、グニャラくん★は過去、デニーズでpixivタグにニコニコ大百科へのリンク設置を依頼したが、スルーされていたという。その当時から独自の百科事典サイトを制作する考えがあったのだろうか。
タグから記事を作成し、タグ脇のアイコン表示で記事の有無がわかるという仕組みは同じであり、ニコニコ大百科の単語記事と似た所がある。記事本文やメイン画像にはpixiv内のイラストを設置する機能がある。またYouTubeのIDを入力することで動画(外部プレイヤー)を設置出来る。
記事毎に「コメント」という掲示板に相当する機能もある。pixivの登録ハンドルが記録されるため、匿名掲示板ではない。編集履歴があるが、履歴をもとにして編集することは現段階ではできない。また、編集者名のリンク先はpixivのユーザページになっているのみで、その編集者がこれまでにどんな記事を編集したかを確認するのは困難を極める。
語句検索では記事名と本文の区別が無く、検索語句がどちらかに含まれていると検索にヒットする。検索結果の表示順は最近記事更新のあった順となっている。また、語句検索で複数の語句をスペースで区切って同時に検索した場合、すべてが含まれていれば検索にヒットする。いわゆるAND検索である(以前はOR検索だった)。
過去の仕様・機能
- β版の頃は実際に使用されているタグからしか記事を作成出来なかっため、よりイラストタグ-記事のリンクを強く志向した作りとなっていた。タグとして存在しない語句について記事を作成するには、まず語句をタグとして使用することが前提であった。2010年7月8日の正式版移行によりpixivのタグにない単語の記事も作成可能になった。2011年6月30日のリニューアル以降は、記事作成時にメイン画像(イラスト)を指定必須となった。
- 自作イラストのアップロード、あるいは独自の専用ツールを使用したドット打ちツールを使うことでその場で自作することで、記事に専用アイコンを設置できた。2011年6月30日のリニューアルによりメイン画像で代替することになり、アイコンは廃止になった。
- コメントはもともと「掲示板」という普通の名前で、さらに当時は書き込みの削除が可能であった。このあたりは、もともとのpixivの仕様をそのまま受け継いでいるためであろう。2011年6月30日のリニューアルにより現在の仕様となった。
- 2009年11月10日 - pixpediaβ版がサービス開始。
- 2010年7月8日 - β版からリニューアルし、正式版に移行。その際に「pixpedia」から「ピクシブ百科事典」へ改称。
- 2010年10月21日 - モバイル版が公開[1]。
- 2011年(詳細日不明[2]) - 英語版ピクシブ百科事典であるpixiv encyclopediaがサービス開始。
- 2011年6月30日 - リニューアルに伴い、大幅にデザインが変更。
- 2012年12月21日 - iOS用アプリをリリース[3] 。
ピクシブ百科事典は特定のUCCサービスと強く関連したネット百科事典という性格上、類似サービスとして先発のニコニコ大百科としばしば比較される。これにはpixivとニコニコのユーザー層はある程度重なっているという事情もある(後述するようにグニャラくん ★はかつてpixivとニコニコ大百科のリンクを提案している)が、両者にはいくつかの大きな違いも存在する。
また、以下のような風潮がある。
記事の傾向
- ネタを盛り込むのは基本NG。ニコニコ大百科だとある程度ギャグ、ジョーク、黒歴史、ネタなどを随所に盛り込んだりしているが、pixiv大百科はこういったネタ記事はあまり好まれないどころか、規約に虚偽情報を書き込むのは禁止と書かれている。打ち消し線は編集で用いることはできない。それでも後述する編集の敷居が低いこともあり、風潮や傾向の違いもわからない投稿者によって、ジョークやネタが盛り込まれる傾向があり、存分に荒れてしまっている。
- 逆に客観的な視点を要求されているニコ百とは対照的に主観的、感情論的な記事が非常に多いが、その部分はニコ百と違い許容されている。基本は「キャラクター、作品への愛情を伝える場」でもあり、愛情があればおkという場であることは踏まえておいた方が良い(逆にイメージを露骨に傷つける、アンチな意見を盛り込んだりすると凄まじく荒れるどころか、それらの作品やキャラクターの価値を不当に貶めるような記述は規約違反である)。
- タグとして機能しない記事は好まれない。pixivではタグに半角スペースを使うとタグ分裂を起こしてしまう為、記事名称にスペースが入る部分はアンダーバー(_)に置き換えるor詰める事が多い。禁止はされていないが、利便性の面では無い方がいい。
- 作品そのものより、キャラクターに力が入っている(そりゃお絵かきサイトだし)。そのためか、バーチャルYouTuber文化と関連もある。
- ニチアサキッズタイム(特に仮面ライダーシリーズやプリキュアシリーズ)に関しては、記事によってはニコ百を越える異様な熱量を持っていて、暴走しているのも少なくない。
- 場所柄、ニコ百とは対照的に女性ユーザーの利用が多い。そのため、それらの需要が高いファッション系、植物、美術系、また小説も投稿できるサイトの特徴から人格や人の性質について捉えた記事も多い。
- 18歳未満が閲覧不可な記事を書いてはいけない。これも規約にあり、これについては違反すると即削除対象(ひどい場合はアカウント削除)となる。ニコ百は18歳未満閲覧禁止バナーさえ掲示すれば、問題はない。
サイトの指針と運営対応
ニコニコ大百科は禁止行為等をまとめている利用規約以外に「ニコニコ大百科:Wikipediaとの相違点」「ニコニコ大百科:楽しく過ごすために」のような記事を運営者自らが作成しており、これが全体の指針として影響を与えている。また要望板に寄せられる要望や意見にある程度はっきりとした回答が付くことが多いため、方向性の目安となっている。
ニコニコ大百科は記事の荒らし行為や記事掲示版の荒らしに対して、運営介入による差し戻しや書込み削除が行われる場合がある。また編集合戦や激しい論争状態となった場合は、当事者のクールダウン目的で一時的に記事編集や掲示版書き込みを規制することがある(実効性があるかは別として)。
一方、ピクシブ百科事典では、利用規約以外に運営から提示されている指針となるような情報がなく、記事に関してはほぼ全てがユーザーに委ねられている。…と書けば聞こえはいいが、これが後述するような荒らしや立て逃げといった問題を助長していることは否定できない。
特に辞書や説明書ではタブーとされている、概要を箇条書きをするユーザーが非常に強く、まともだった記事が途端に見るに堪えないレベルに稚拙化、陳腐化していることも少なくない。
機能上の違い
- pixivプレミアム会員でなくても編集可能。
- 記事へのコメントを書き込んだ際にはハンドル名が表示される。
- 各記事の閲覧数が公開されていて、公式による記事のランキングも存在する。そのためか一部の記事の更新が非常に多い。
- ジャンルごとの記事カテゴリが細かく整理されている。また、関連記事も「親記事」「子記事」「兄弟記事」といった項目相互の関係性で分類されている。
- ニコニコ大百科はniconico各サービス上のタグ等にアイコンが表示され記事とリンクしているが、ピクシブ百科事典はpixivの投稿イラストタグのみリンクしている。
- ニコニコ大百科は記事を起点に各種ネットサービス検索ができるようになっているが、ピクシブ百科事典はpixiv内のイラスト検索のみ。
- pixivでタグにカーソルを当てると、百科事典でのメイン画像と概要文が出現する。
- 編集時、あらかじめ用意されている機能のみでHTML文は原則使用不可である。太字強調や外部リンク等は可能であるが、文字色や取り消し線、表の詳細設定は不可。一方でYouTubeの動画を直貼りすることができる。
- 自動リンク機能はないので、曖昧さ回避をする場合は記事を作成のうえ誘導の記述をする必要がある。
- iOS用アプリを提供している。
サービス開始当初はニコニコ大百科のパクリエピゴーネン扱いされていたピクシブ百科事典も独自の文化圏を形成しつつある。
- 記事が存在しないのに検索エンジンに引っ掛かる
- Google等の外部の検索サービスの検索結果の上位に来るが、いざ開いてみると未制作なことがある。記事無しページ上のmetaタグで検索ロボットに記事無しを伝える情報(noindex)を設定していないことが直接の原因である。ニコニコ大百科やWikipediaの場合、noindexを設定しているので外部の検索サービスにかかることはない。
- これは検索サービス側がサイト自体のページランクだけで判断して、実際の記事状態を確認せずに検索上位としてしまう情報収集側の不手際でもある。
- 編集の敷居が低いせいで問題行動を起こすユーザーが多い
- pixiv会員なら誰でも投稿できるという点から、荒らしや誹謗中傷、短時間で連続編集を繰り返しサーバーに過負荷をかけているなどの問題行動を起こしている編集者も少なからず存在していて、2010年7月16日には、pixiv運営を挑発・中傷する内容の記事を投稿をしたユーザーが退会処分をされた。[4]
- 同じ理由で、推敲等が十分でない記事や、もともと記事にするほどの特筆性がないのに作られてしまった記事も見受けられる。前者は気づいた人が編集すればいいが、後者はニコニコ大百科と同じくユーザーの手で削除できないためどうしようもない。近年では煽り目的や荒らしユーザーの吊し上げを目的とした記事の立て逃げが急増している他、字数オーバーと判っている記事の作成・削除も繰り返されており、イタチごっこの様相と化している記事もある。特撮・アニメ・配信者関係の記事でも同様の傾向が増えている。
- 当然、フリー百科事典お決まりの「独善的な文章や独自解釈」はここでもはびこっている。
- Wikipedia・ニコニコ大百科・公式サイトからの丸写し
- コピペによって作成された記事が多数見られる。コピペ元によっては正規の掲載形式ならばコピペ掲載が認められているのだが、ほとんど従っていない。もっとも、近年では逆にピクシブ百科の文章をコピペしたうえ、関連商品欄などに手をつけないまま記事が作成された事例もあるため、ややこしい。
- 運営の不可解な対応
- pixiv運営にとって都合の悪い内容が書かれている記事は運営介入によって記事削除され、以降は同名の記事を作成不能にされることがある。例→「現代アート」「現代あーと」「アート犬」
- 同様に、特定の語句による記事検索もエラーとなるように設定されている。
- 例→「現代」経緯についてはpixiv問題、カオス*ラウンジの記事を参照のこと。
- この件について、ピクシブ百科事典内では「nopage」の記事でまとめられているが、前述した記事削除に対するユーザーからの皮肉と苦言がみられる。
- この対応についてはpixivに関連するインターネット上のご意見についてにて「特定のタグに対するピクシブ百科事典のページを一時的措置として閉鎖させていただいております」としているが、説明不足であると言わざるをえない。
ニコニコ大百科で作成・編集された記事は一切の著作権が運営会社であるドワンゴに譲渡されるため(当然編集者が他者の権利侵害をしたものは除く)、記事内容はドワンゴが権利者となる。(詳細は利用規約(リンク)を参照)
このため、ピクシブ百科事典にニコニコ大百科の記事からの転載を見付けた場合は、 大百科削除依頼板の「ニコニコ大百科からの転載を指摘するスレッド」に必要事項と共に指摘を書き込むことで、必要な対応は運営会社であるドワンゴが、ピクシブ百科事典に対して行なってくれると思われるが…
※対象記事の編集履歴から該当箇所と作成・更新日付を参照してニコニコ大百科側で先に作成されたことの確認も忘れずに。
以下は当記事掲示板の>>79の引用。これはニコニコ大百科の運営会社が未来検索ブラジルであった頃の書き込みである。
79 : グニャラくん ◆e5sgKA2q7. :2010/09/18(土) 13:15:23 ID: Bit9ewwraB
ニコニコ大百科に投稿したあなたの記事がpixpediaへ無断転載された場合は、
削除依頼掲示板のスレッドまでご連絡ください。未来検索ブラジルより削除申請します。
- ピクシブ百科事典 - 日本語版
- pixiv encyclopedia - 英語版
- ピクシブ百科事典での『ニコニコ大百科』記事
- ピクシブ百科事典(pixpedia) on twitter
- ピクシブ百科事典(pixiv encyclopedia) | Facebook
脚注
- *「ピクシブ百科事典モバイル版 リリースのお知らせ」pixiv開発者ブログ、2010年10月21日。
- *2ちゃんねるのピクシブ百科事典スレにおける初出は2011年5月12日。
- *「ピクシブ百科事典のiOS用アプリ リリースのお知らせ」新機能リリースのお知らせ、2012年12月21日。
- *当該人物は2ちゃんねるのピクシブ百科事典スレでも前々から問題視されていたユーザーである。
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