DDR SDRAMとは、半導体メモリの一種である。PCのメインメモリとして主に用いられている。
この項目では、後継規格であるDDR2 SDRAM、DDR3 SDRAMについても言及する。
概要
正式名称は「Duble-Data-Rate SDRAM(ダブルデータレート・エスディーラム)」。
クロック信号(=データバスの周波数)の立ち上がりと立ち下がりの両方でデータのやり取りを行うことにより、それまでのSDRAMに比べて理論上2倍の転送スピードが出るようにしたSDRAMである。
のちにDDR2、DDR3といった後継規格が生まれた。バス幅はいずれも64bit(8Byte)。
普及の経緯
インテルはPentiumⅢの後期から次世代メモリ規格としてDirect RDRAMの導入を推進し、1999年11月15日に初の対応チップセットIntel 820を発表した。しかし、Direct RDRAMはRambus社へのライセンス料が高額であり、結果として製品の価格が高くなってしまったため普及はなかなか進まなかった。
この状況はPentium 4の初期、i850チップセットとDirect RDRAMの組み合わせになっても続く。その頃、ライバルであるAMDがAthlonシリーズ用のメモリとしてDDR SDRAMを支持した事、間に合わせ的に発売したi845が大ヒットしてしまったにも関わらずi845は通常のSDRAMしか対応していなかった事から、IntelはAMDとの性能競争に負けない為急いでDDR SDRAM対応版であるi845Eを発表、結果としてDDR SDRAM及びその後継規格が次世代のメインメモリとしての地位を確保していったのである。
規格の表記
DDR SDRAMには「DDR~」という表記と「PC~」という表記が存在するが、これは厳密には前者がメモリチップ、後者がメモリモジュール(基盤)の規格名である。
DDR表記の場合は実働周波数にそれぞれが一度に読み出す量を掛けた数である。
つまりDDRが2倍(100MHz→DDR200)、DDR2が4倍(100MHz→DDR2-400)、DDR3が8倍(100MHz→DDR3-800)。
- PC3200 = 3.2GB/sのDDR = DDR400
- PC2-6400 = 6.4GB/sのDDR2 = DDR2-800
- PC3-12800 = 12.8GB/sのDDR3 = DDR3-1600
世代
- DDR SDRAM
- メモリチップの動作周波数はデータバスの周波数と同じのまま、一度に読み出す量を2倍とすることで従来のSDRAMの2倍の転送速度を実現したSDRAMである。2006年頃に主流を後述のDDR2へと譲った。
- DDR200(実働100MHz)から始まり、最高ではDDR550(実働275MHz)を謳うメモリまで存在した。
- PC向けメモリとして主流だったのはDDR200、DDR266、DDR333、DDR400までの4種である。
- シングルチャンネルでの転送速度は8Byte×100MHz×2(DDR)=1.6GB/s(DDR200)、同様にして3.2GB/s(DDR400)、4.4GB/s(DDR550)までであった。
- DDR2 SDRAM
- メモリチップ周波数をデータバス周波数の半分、一度に読み出す量をDDRの更に2倍(通常のSDRAMから見ると4倍)とすることでメモリチップの周波数は据え置きのままデータバスの周波数、つまり理論上の転送速度を速くした規格。
- DDR2-400からDDR2-1200相当を謳う製品まで存在するが、規格として定義されているのは400、533、667、800、1066である。転送速度はDDR2-400時に3.2GB/s、DDR2-1200時では9.6GB/s。
- DDR3 SDRAM
- メモリチップ周波数をデータバス周波数の4分の1、一度に読み出す量をDDR2の更に2倍(通常のSDRAMから見ると8倍、DDRから見て4倍)とした規格。2011年9月現在主流の規格である。
- 転送速度はDDR3-800時に6.4GB/s、DDR3-2133時には17.067GB/sにもなる。
関連項目
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