塩素(Chlorine)とは、食塩(塩化ナトリウム、NaCl)を構成する元素であり、ほぼすべての元素と安定した化合物となる元素である。
他の元素にも言えることであるが、塩素とのみ言及した場合には塩素という元素、塩素原子、塩素分子、塩素原子を含む化合物である場合があるので文脈から読み分ける必要がある。
概要
- 原子番号は、17、元素記号は、“Cl”、分類は、ハロゲン、ミネラル。
- ギリシャ語の「黄緑(chloros)」に由来する。
- 発見:1774年、二酸化マンガンに塩酸を加えて、塩素の単体である塩素ガスを発生させた。
- 利用例:漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)、酸化剤、殺菌・消毒剤、食品ラップ、塩化ビニル、クロロホルムなど
塩素ガスの毒性
塩素ガス(塩素分子・Cl2)は強い毒性で知られる。空気より重い黄緑色の刺激臭のある気体で口から吸入すると様々な症状を引き起こす。
許容濃度は1ppm(ppmは0.0001%)程度で、濃度が上るにつれて咳、嘔吐、めまい、頭痛などの症状を生じ、50ppm程度で肺炎や肺水腫の危険がある。150ppmから死亡の危険性が出てきて、430ppmなら30分程度、1000ppmなら数分で死亡する。ちなみに、猛毒で知られる青酸ガスの致死量が270ppmから5000ppm程度であるから、いかに毒性が強いかがわかるであろう。
その強い毒性のため第1次世界大戦でドイツ軍により世界初の本格的な毒ガス兵器として使われ、初日だけで5000人もの死者をだした。
次亜塩素酸と塩酸などを混ぜるとこの有毒な塩素ガスが発生する。前者は漂白剤(カビキラー、ハイターなど)、後者は酸性洗剤(サンポール、クエン酸など)に含まれるため、 これらの洗剤を混ぜて使用してはならない。いわゆる「混ぜるな危険」である。これが原因による事故は毎年のように起きており、死亡事故も少なくない。
本当に危険な上、周囲にも迷惑をかけるため、絶対に混ぜてはいけない。
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関連項目
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