Sun Tzu(英)
古代中国、春秋戦国時代に成立した兵書の名。もしくはその著者とされる孫武の敬称。場合によっては孫臏の兵書「孫臏兵法」をこう呼ぶこともあるかもしれない。
「孫子の兵法」などとも言われる。全部で十三編からなる。武経七書のひとつ。基本的には将軍(高級将校)向けのテキストであり、戦略・戦術についての原則を述べる。原文のテキストは極めて簡素な物であり、諸家による注釈・整理が試みられている。現存するものは曹操*1が注釈したものである。
史書に登場する孫家の人は二人おり、春秋時代の末期に呉王闔閭に仕えた孫武と、その子孫で戦国時代に生きた斉の人の孫臏がある。孫武については実在を疑う見解もあり、「孫子の実際の著者は孫臏で、著作の権威付けに孫武という人を立てたのではないか」との見方もあった*2。
状況を決定的に変えたのは1972年に山東省銀雀山の漢の時代の墓から、孫子の兵法書とともに孫臏の兵法書も発見されたことだった。別の兵書がある以上、孫臏著者説は否定されることになる。よって、現在では、(一応は)孫武が孫子の著者ということになっている。