Compute Engine への VM 移行時に役立つヒント&ベスト プラクティス
2019年5月22日水曜日
※この投稿は米国時間 2019 年 5 月 9 日に Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
クラウドへの移行で重要なのは、移行は一度限りの大規模な変更ではないということを肝に銘じておくことです。クラウドへの移行は、細かいステップをいくつも重ねて進む長い道のりにほかなりません。Google Cloud Platform(GCP)では、仮想マシン(VM)を GCP に移行する場合のガイダンスとベスト プラクティスをまとめました。このブログ投稿ではその内容を簡単にご紹介します。なお、このガイドと本稿では、VM の Compute Engine への移行に焦点を当てています。それでは、GCP のメリットから見ていくことにしましょう。
Compute Engine に移行する理由
ご存じのように、移行後の VM でアプリケーションを動かすには、データベース、メッセージング、アナリティクスなどのサービスと共にコンピューティング リソースが必要です。VM の実行環境として考えた場合、Compute Engine 上で実行することの主なメリットは次のとおりです。- コストの削減 : 継続利用割引が適用される Compute Engineは、従来型のデータセンターでハードウェアや VM を管理する場合と比べて大幅に割安です。継続利用割引は、ほかのクラウドから GCP に移行するときにも大きなメリットとなります。
- 機敏性 : リソースの確保やプロビジョニングを待つことなく、ほとんど瞬間的に VM を立ち上げられるようになるので、お客様の多くは移行と同時に機敏性が向上します。新しいアプリケーションをすばやく立ち上げて試用し、必要に応じてオフにすることができます。
- オーバーヘッドの削減 : データセンターの運営では通常、それぞれ独自の窓口、課金モデル、契約内容を持つさまざまなベンダーとの取引が必要です。クラウドに移行すれば、そのオーバーヘッドが大幅に削減されます。これにより、担当スタッフはデータセンターの運用にまつわる雑用に振り回されることがなくなり、ビジネスの成功に必要な業務に集中できます。
移行先として Compute Engine を選択したら、移行の際にどのようなことに留意すべきでしょうか。その一部を簡単に説明します。
コストの計算
移行に取りかかる前に、移行のコストを計算しましょう。これは、現状のデータセンターや既存のクラウド環境で実行しているもののコストを評価することを意味します。GCP の VM 移行支援センターでコスト管理の方法を学び、ニーズに最もマッチするパートナーを選んでください。移行対象 VM の評価
移行コストの評価後は、移行する VM の検討を開始します。現代の企業はさまざまな種類のアプリケーションを VM で運用しており、それらすべてを同時にクラウドに移行することは通常はありえません。移行をうまく進めるには徹底的な評価が必要ですが、GCP であれば、そうした評価を無料で行うことができます。移行の設計
移行する VM を決めたら、移行を始める前にクラウド環境を設計する必要があります。その最初のステップは、現在の環境と GCP との違いを明らかにすることです。そして次に、GCP 上の新しいクラウド環境をどのような形にすべきかを検討します。以下の各項では、移行に先立って検討すべきことを説明します。ガバナンスの確立
クラウド リソースの作成、アクセス、変更、破棄に関するパーミッションを誰に与えるかを明確にする必要があります。また、リソース コストの支払い方法も決めなければなりません。それには、IAM のベスト プラクティスに関するドキュメントが参考になります。ネットワークの作成
移行後に使用するネットワークは、VM の移行前に存在していなければなりません。アプリケーションの稼働後にネットワークを設定するのは難しいため、パーミッションやアカウントと同様に、事前に作成しておくことが重要です。運用計画の策定
クラウドで VM を稼働するようになれば、システムの常として、VM のモニタリングやロギング、運用上の管理が必要になります。移行後に慌てることがないよう、運用管理については事前の計画段階で考慮に入れておくべきです。クラウドへの VM の移行
こうした準備を整えてから最初の VM の移行に取りかかります。最初の移行は、将来の移行のテンプレートになります。移行を重ねるうちにプロセスは改善されていくはずですが、最初の移行では特にあらゆることを記録することが重要です。Google Cloud の移行ツールである Velostrata を使用すれば、VM の GCP への移行を迅速かつ安全に、そして大規模に行うことができます。Velostrata は、ストリーミング技術を使用して移行にかかる時間を短縮すると共に、適切なインスタンス タイプを選びやすくするために推奨サイズを提示してくれます。また、組み込みテスト機能とロールバック(必要な場合)も提供します。GCP に移行するお客様は Velostrata を無料で利用できます。
以上、VM をクラウドに移行する前に検討すべき項目を駆け足で見てきました。もっと詳しく知りたい方はこちらのドキュメントをご覧ください。
- By Ron Pantofaro, Cloud Solutions Architect, Google Cloud Platform and Tom Nikl, Product Marketing Manager